全逓労働運動の歴史的限界を突破する郵政労働運動の構築を

全逓労働運動の歴史的限界を突破する郵政労働運動の構築を
           

                   全労交呼びかけ人 吉田明夫(郵政労働者)
 
 郵政グループにおいて20万人を超える「非正規社員」が雇用され、「正社員」との賃金、労働条件の相違・格差は大きなものである。「期間雇用社員」の格差是正、均等待遇を求める取り組みの前進に向けて、郵政会社における「正社員」と「非正規社員」との労働条件等の主な相違・格差を比較する。
 まず、事業会社では25万人のうち15万人、郵便局会社では16万人のうち4万人、ゆうちょ銀行1万7000人のうち6000人、かんぽ生命7000人のうち2000人が「非正規社員」として働いている。全事業の半数近くが「非正規社員」である。社員の内訳は、「正社員」、「短時間社員」、「高齢再雇用社員」と「期間雇用社員」で構成され、また「期間雇用社員」は「スペシャリスト社員」(本社)、「エキスパート社員」(本社)、「月給制契約社員」(6~8時間)、「時給制契約社員」(6~8時間)、「パートタイマー」(6時間未満)、「アルバイト」(8時間以内)と細分化されている。なお「正社員」は、雇用契約期間の定めのない社員で、「期間雇用社員」とは雇用契約期間の定めがある社員である。郵政の場合、半年ごとに契約の更新が行なわれ、もちろん「雇止め」もある。
 次に、基本賃金であるが、「月給制契約社員」(月給制)は内務作業で最高で約14万円、外務作業で最高23万円、「時給制契約社員」(時給制)では基本給(地域別基準額+職務加算額)と加算給(基礎評価給+資格給)の合計からなっており、A・B・Cの三ランク、それぞれに習熟度の有無で六段階評価されている。内務時間給最低660円最高1020円、外務時間給最低740円最高1520円。以上の時間給を月額に換算(月21日)すると、内務最高約19万円最低約11万円、外務最高26万円最低12万円となる。最高額は「A習熟度有り」で、何年勤務してもこれ以上の賃金アップはない。「期間雇用社員」賃金は「正社員」の平均賃金31万円よりかなりの低額となる。さらに、「期間雇用社員」は、最高額になるとそれ以上の賃上げはなくなるが、「正社員」は55歳まではベースアップは別として四号俸の定期昇給が保障される。
 仕事の内容、勤務のあり方は「正社員」とまったく同じであるにも関わらず、労働条件については大きな「格差」が生じている。一方、懲戒・解雇の規定はまったく「正社員」と同一であり、スキル評価等においても「指導責任」を明示する、誤配等の郵便事故についても個人責任を厳しく追及され、謝罪等も「期間雇用社員」本人に押しつけられている状況にあるなど、業務における責任のあり方も「正社員」と同一と言っても過言ではない。営業に至っては「期待数」と称して実質販売ノルマが「正社員」と同様に求められ、さらに「自爆」まで強要されている職場もある。
 「郵政見直し」と言う状況の中、国民新党・亀井による「期間雇用社員の正社員登用」発言により、何千人単位の「正社員」登用が実現したが、これもまた「期間雇用社員」間での競争をあおり、さらに当局の企業戦士としての洗礼を受けている。「正社員」登用に向けて先ず、「時給制契約社員」の六ランクの最高位で、作業能率評価がよく管理者の推薦があって、「月給制契約社員」の試験を受けることができる。今年、合格は二割程度か。さらに「正社員」にむけて「月給制契約社員」から受験。これまた評価等厳しく、もちろん営業成績も評価対象になっている。義務・責任だけは「正社員」と同じ対応とし、雇用条件には大きは「格差」をつけている郵政クループ会社を断じて許さず、「正規」・「非正規」社員を貫く運動を構築していきたいと思う。ともに頑張ろう。