■ 6・24全労交結成集会報告

6・24全労交結成集会(台東区生涯学習センター)
6・24全労交結成集会(台東区生涯学習センター)

 6月24日午後1時30分より、東京・台東区生涯学習センターで、全国労働組合運動交流会(全労交)の結成集会が開催された。この結成集会は、佐久間忠夫氏(元国鉄労働者)を代表よびかけ人、石渡正人氏(仙台市職労中央執行委員)、吉田明夫氏(郵政労働者)、吉岡力氏(パナソニックPDP争議当該)、川村朱美子氏(神奈川県地域連合労働組合)、鈴木ギャー氏(全国寄せ場交流会)をそれぞれ呼びかけ人にして実現された。
 午後1時30分、熱気で包まれた会場で、呼びかけ人の一人である川村朱美子氏が集会開始を宣言する。集会のはじめにシュプレヒコールがあげられる。そして司会が、結成集会に至る経過を報告する。佐久間忠夫氏の代表呼びかけ人あいさつ、沖縄・首里日雇労働組合と日本基礎技術・見習い期間中解雇事件当該の本田福蔵氏のメッセージ、石渡正人氏、吉岡力氏、ヤンマー争議当該・稲森秀司氏、中四国地域連合労働組合委員長・浦川美貴子氏、鈴木ギャー氏の発言と続き、いよいよ結成宣言の採択だ。結成宣言が、割れんばかりの拍手で採択され、その後、行動提起、「団結ガンバロー」、司会の閉会あいさつが行なわれ、結成集会は終了した。闘う労働者の待望久しい全労交が、遂に結成された。

 

呼びかけ人である神奈川県地域連合労働組合・川村朱美子氏の経過報告

 

 「私たちは、昨年12月の第30回反安保全国労働者研究交流集会での佐久間氏からの全労交結成に向けた呼びかけに応え、今年にはいってから呼びかけ人会議を開催し結成集会の準備を進めてきました。世界で労働者が生き抜くために闘いに起ち上がっています。日本では、『非正規雇用』労働者の拡大が進行し、容赦ない首切りが横行し、資本に対して、生活を命を守り抜くために労働条件の改善を求めるだけで、会社に逆らうやつはいらないとばかりに不当な『雇い止め』や、重労働の強制のすえに解雇され、路上へと放り出されるなど労働者切り捨て自由の状態が続いています。いつ首を切られるか不安の中で重労働に耐え続け、泣き寝入りを強いられている労働者は数え切れないほどでしょう」「佐久間氏は日ごろから『戦後労働運動のあり方が間違っていた』と言われています。何よりも『日本労働運動の天王山』といわれた国鉄闘争が、一人の雇用も約束されないまま和解という形で終わってしまったことは、今闘われている争議が『金は払うが、雇用はしない』という方式の拡大に繋がったといえるでしょう。そして司法はその手先といわんばかりに争議に不当判決を打ち下ろし、『公正・中立』なぞどこにあるのか、と疑わざるを得ません」「戦後労働運動の敗北を乗り越え、新たな労働組合運動をつくりあげていかなければ労働者は展望を見出せません。とりわけ多くの若い労働者が『非正規雇用』でしか仕事が見つからない今の現状に、未来への展望なぞどうして持つことができるでしょうか」「『連合』が政府の資本の片棒を担ぎ『政権を支える労働組合』に成り下がっているこの状態を何としても突破していかなければならないと考えます。労働者が自分の問題として闘う労働者を支援し、連帯し、団結して闘っていく労働運動のその結集軸を目指して本日全労交の結成集会を迎えました。労働者のつながりを強く、太くしていければとの思いで、一つの団体の枠を超えて作っていきたいと思っています。本日結集された皆さんと共に本集会の成功を勝ちとっていきたいと思います。よろしくお願いします」。

元国鉄労働者・佐久間忠夫氏の代表呼びかけ人あいさつ

 

 多くの結集にお礼を述べたあと「先ほど司会から結成に向けたあいさつがありましたが、私も最近ではどこに行っても言うんですが、最近はテント広場にいっていろいろ話をしているんですが、私は1945年の4月25日に国鉄に入りました。当時14歳でした。それですぐ8月15日に敗戦を迎えた。そのとき思ったのは、今まで「鬼畜米英」と言っていたのに、8月15日を境に『民主主義』だ『自由主義』だとみんなが言い出した。最近自分より少し下の人と話をしたが、その人は当時小学生だった。やはり15日を境にして、学校の先生が手のひらを返したように、今後は『自由だ』『民主主義だ』と言い出した。実際そう話していた。残念ながら日本人は、自分がやってきたことへの自己批判というのがきちっとできない人種なのかと思って非常に残念に思う。その流れがずっと現在の日本社会情勢に生きているのではないかと思う」。
 「私もいろいろな関係で、中国やフランスに行ったりしている。確かに日本人は勤勉で優秀です。しかし残念ながら一人ひとりが自分の考えを口に出して、それを実行するということがなかなかできない。皆さんもご存知かとおもうが、日本人は『寄らば大樹の陰』だとか、『出る釘は打たれる』だとかいう歓楽的な思いがすっとある。私はどちらかというと言いたい放題なので『釘は打たれるためにある』と言っているが残念ながら全体的にはなっていない。先日も原発テント広場でハンガーストライキに入って、5日間やりました。報道でもありましたが、鎌田慧が中心になり瀬戸内寂聴など五人が激励に来た。瀬戸内さんが来たときあの方はもう90歳ということですが、一番印象に残った話は、自分と同じで、百人が集まれば百人が一人ひとり自分の考えがある。それは自らが考え、考えたことを実行していくことで日本人はこれの訓練が少ない、残念だ、ということを話していた。私もそういうことで一人ひとりが自分で考え実行していくことが大事だと思う」。
 「ヨーロッパでは少数意見を大事にする。そうしなければ進歩が無いだろうと思う。そうした中で、最近ではちょっと変わってきたなと思う。大体全労交の提起がなされたということがある。そしてテント村に行くとよくわかる。最初若い人がハンストした。その後福島の女性が来た。横断幕に『金より命』と書かれている。私は本当に言うと女性は正直だと思う。やはり女性は子供を育てていく中でやはりウソはつけない。でないとやっていけない。日本の労働運動は残念だが、金で済ます、しかし雇用はさせない、という。違うんです。逆なんだ。金ではない、雇用なんだと、命なんだという運動を続けていきたい。テント村はよく行きますが、毎日知らない人がきてカンパしていく。名前を書いてくれと言っても書かないで、自分もがんばるのでがんばって下さいと激励していく。組織も大事だが、組織がどうのこうのではなく、自分の思いで運動をやっていく。金より命という考えがテント村を通して全国に広がっていくと思う。私たちも本日全労交を結成して闘う仲間と共に全国、世界に向けて闘っていきたい。今後もよろしくお願いします」。

沖縄・首里日雇労働組合のメッセージ

 

 「全労交の結成に尽力してきた多くの仲間たちに敬意を表します。全労交結成に沖縄でも闘う労働者が大きな期待をもって注目しています。
 沖日労は、去る6月16日、安保粉砕・政府打倒闘争に決起しました。オスプレイ配備阻止・普天間基地解体を掲げて普天間基地に進撃する圧倒的なデモを闘いぬきました。青ヘル部隊の闘いは多くの市民の共感をかちとっています。仲間たちは『もっと闘える』と確信を強めています。わたしたち沖日労の課題は、第一に日雇い・野宿の仲間たちの要求に応えきる豊かな解決力をつけること、第二に団結を強化し基地・軍隊への怒りを具体的な闘いへ練り上げていくことです。こうした課題をすべての労働者人民に分かりやすく提起し、全労交の呼びかける『決戦を決戦として闘わない』不徹底さを突破する労働組合運動」を、沖縄の地においてもすすめられるよう奮闘します。具体的な闘いの只中からともにスクラムを組む仲間を獲得し、沖縄と『本土』を貫く団結と末期的な資本主義社会を根底から覆す闘いをつくっていきましょう」。

 

日本基礎技術・見習い期間中解雇事件当該の本田福蔵氏のメッセージ

 

 「この度は、全国労働組合運動交流会(全交労)結成おめでとうございます。また、東京・山谷日雇労働組合の皆様には、日ごろから私の争議行動に参加いただきましてありがとうございます。本日は大阪で反原発の取り組みに参加するため結成会には出席できず、大変恐縮ですがメッセージにて連帯アピールといたします。
 今回、一つの団体の枠を超えて、つながりを強く、太くするために貴会を結成される点に期待しています。昨年、『アラブの春』、欧米の『We are the 99%』、韓国の『希望のバス』等に象徴される代表無き運動が呼応するように芽吹きました。
 私は、昨年韓国の希望のバス企画に参加し、整理解雇撤回を求め高空籠城を続けるキム・ジンスク氏を応援しようと集まった市民に対する警察権力の弾圧を目の当たりにしました。韓国では日本以上に労働者の非正規化が進み、若者の失業が増えています。このままでは国の経済が破滅してしまうという絶望的な不安をかかえた人たちが、その出口を探しに希望のバスに集まってくるのです。古くからある大きな労働組合がなかなか有効な手をうつことができない現状の中で、市民一人ひとりが希望を作り出そうと集まってくるのです。それを潰そうとする資本が最も懸念しているのは、人々の繋がり、連帯なのだと実感しました。ジンスク氏は言います『世紀を超えて、地域を超えて、国境を越えて、代々受け継がれている資本の連帯はこの様に強固なのに、私たちはどれほど連帯できていますか? 非正規職を、障害者、女性、農民を、彼らを見て見ぬふりをしていては、我々は資本に勝つことはできません。資本が正しいから勝つのではなく、我々が連帯できていないから負けるのです。』この様な、既存の枠にとどまらず一つの問題に対して同じ問題意識を持つ一般の人々が現場に集まり声を挙げるという動きは、日本でも原発廃炉を求める動きとして、世代、職業、地域の枠を超えて全国的に広まり続けています。呼び掛け文にありますように、全ての原発を廃止するためには、下支えしてきた現場の労働者、地元の方、そして消費地である都市市民が、お互いが顔の見える関係となり、先入観を払拭し、互いの立場を尊重しながら共に行動を起こさなければなりません。『派遣法改悪』『有期労働契約』の法制化や多様な正社員論など、資本側のさらなる分断政策が迫る中、労働者が自分の問題として闘う労働者を支援し、連帯し、団結して闘っていく労働運動のその結集軸として全労交が結成されることは大変重要だと思います。貴会が、真に解決力のある労働運動の一翼を担う団体として、その存在意義を増分に発揮されることを期待しております。最後に、ジンスク氏の言葉を一つ。『笑って、最後まで、共に、闘おう!』」。

 

呼びかけ人である仙台市職労中央執行委員・石渡正人氏の発言

 

 「本日はご苦労様です。皆さんに呼びかけ人の一人として名を連ねていますが、本名をあまり出したことは無いです。
 私は自治労の組合で役員を30年間ほどやってきた。先ほど佐久間氏が言われたように労働組合の運動というのは、やはり組織に頼った運動で、一人ひとりがものを言って職場の中でやる運動というのがここ20年くらい欠落をしてきていると私は思っている。私自身もやはり自治労の中で1995年、オウム事件が起きた時に、ゴミの『リサイクル法』の法案対策をずっと迷っていた時があった。その時に私の主張したことに対して、自治労の幹部というか、委員長、副委員長という人たちが『あいつはつぶしてしまえ』と。つまり私は今でもそう思ってますが、『リサイクル法』を作った中身はあれは非常な折衷案で本当のやり方からすれば、そこに労働者雇用を含めてきちんと把握をしなければならなかったということがある。そういう意味では今の既存の組合、連合やあるいは自治労の組合もそうですが、ここ20年くらい体たらくになっていると思う」。
 「そういう中で、『非正規雇用』労働者がいま三割を越している。自分の組合は今4500人いるが、そのうち『非正規雇用』労働者の組合が五つ、1000人いる。つまり自分の組合も三割が『非正規雇用』労働者です。その意味で、これは単に仙台市の職員労働組合という組織だけではなく、自治労全体がそうなっていると言える。三分の一以上の『非正規雇用』労働者が公務員の中にも入っている状況がある。今会館や施設の運営は役所がやっているが、新自由主義が進められている中で、こうした施設はほとんどが民間で運営している。民間と言っても出資した会社を作ってやらせる、いわゆる『指定管理制度』で実際多く入ってきている。そういう中に『非正規雇用』労働者がいる。うちの中で言うとスポーツ関係の施設、会館などの組合があるが、10人が正規職員で、それ以外は『非正規雇用』労働者です。この団体は市の職員ではなくて、市の外郭団体と言っていますが、そういう風な組織になっている。その団体はほとんどが『非正規雇用』労働者が組合に結集してやっているというのが現状になっている。これがずっと続く中で常に『非正規雇用』労働者は今の制度のなかで雇用問題、一年雇用が何年続くのかという不安を抱いている。労使交渉の中で決められなければ、来年クビだという状況がある。そういうことに対して連帯して闘わなければならないにも係わらず、今現在なかなか孤立無援な闘いになっていると思うし、民間でも労働組合すら作れない状況がある。実際は労働組合は作れるが、そういう認識ができなくて、困ったけど明日から来なくていいといわれれば、止めざるを得ないと思っている。こういうことをくり返していくのが日本の社会かと思う。ここに結集された皆さんが共同した闘い、そしてお互いの情報交換をしながら、これから全労交がより発展をしていくということを期待して私も積極的に参加しながらこの運動を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします」。

呼びかけ人であるパナソニックPDP争議当該・吉岡力氏の発言

 

 「パナソニック争議当該吉岡力です。大阪では釜ヶ崎の皆さんにお世話になっていますし、また東京総行動では山谷の皆さんにいつもパナソニック東京本社前行動に参加して頂き本当に感謝しております」と寄せ場労働者への支援に感謝を表した。
 「全労交という今日の結成集会ですが、私は争議当該として山谷の皆さん、釜ヶ崎の皆さんだけでなく、もっと原発の運動のように大きなものにできないかなと思っています。そういうものに、やはりパナソニックの問題だけではなく、労働運動というものに関して、多くの人が自分の生活の糧を得るということは働くと言うことなので、多くの人が労働問題ということに関心を持つようなそういう運動をしていかなければならないと思っている。全労交という組織が今日起ちあがるが、そういう組織、多くの人が関心を持つ運動ということでやっていきたい。今日佐久間さんからもあいさつがありましたが、私も組合の関係者の人から、国鉄闘争を見習ってとか言われたりするが、もちろん見習うべきところもあると思いますが、反省と言う部分がやはり戦後の労働運動をやってきた方たちの中で弱い部分があるのではないかと思う。やはり反省すべきところは反省しなければならないと思っていますし、あと、偉そうなことを言っていますが、やはり新しいものを作っていかなければ、労働運動というものが、若い人たちから嫌われていると言う実情があるのは戦後の労働運動の悪い点があるからやはり嫌われているわけですので、そうではないものを作っていかなければならないと思っています」。
 「今の運動の悪い点ですが、どういうところが悪いかといますと、『連合』、全労連、全労協もそうだと思いますが、例えば、『労働者派遣法』については、私たちは『労働者派遣法』は無くせという運動をやっているが、抜本改正とか、中途半端でしかない。抜本改正というのは正式な言葉ではなくて、労働者の要求ではないと思います。そういうとことが本当にダメだとおもいますし、あと労働組合の幹部の人たちがそういう抜本改正ということを言って、それに追随するような形で組織の末端の人もその運動に借り出されているという実情だと思う。例えばこの抜本改正という言葉について、日本弁護団とかが声明を出す。すると日本弁護団が声明を出しているからこれでいいだろう、という自分の頭で物を考えないような運動、これが運動をダメにしていっているんだと思います。本当に闘っている労働者の要求、この要求に基づいた運動でなければ、多くの労働運動に関心のない人たちは理解を示さないと思います。『労働者派遣法』を無くせ、『非正規』労働という差別的な働かせ方を無くせと言う要求は誰もが当然のことだと思っている要求だと思います。まず、こうしたところで『非正規雇用』問題、『労働者派遣法』の問題と言うところで闘っている当該として『連合』、全労連、全労協、いろいろな様々なところの上の人間が何を言おうが、自分の言っていることは誰もが皆言っているんだというところで皆さんと一緒に、全労交というところで、今後ともこの運動をもっと大きなものとして作り上げたいと思っています」。
 「私はホームページとか作っていますが、いろいろ弁護士とか、労働組合とかでも情報発信しています。タブーといわれている部分にも触れたりしている。それは何としてもやはり労働者の権利がきちんと守られるような、そういうものを作り上げていかなければならないというところで情報発信をしているというところがある。いろいろ僕に対する批判の声とか結構あるとは思う。しかしこれはやはり間違っていることは間違っていると言わなければならない。言わない運動というのはダメだ、と思う。ですので労働者を裏切るようなことをしている労働弁護士の幹部の問題へも誰も触れていないことで、触れるような形で情報発信している。私は何としても『非正規雇用』という差別的な働かせ方をさせられている人たちの権利、労働者としての権利をきちんと獲得する、そして差別的な働かせ方を無くしていくためにも、今後とも皆さんと共に取り組んでいきたい。また大阪の行動、東京の行動せも、今後もパナソニック争議、そして今日ヤンマー争議の当該の稲森さんも来ていますが、稲森さんの争議も今後ともご支援よろしくお願いしたい。以上です」。

ヤンマー争議当該の稲森秀司氏の発言

 

 「本日全労交にお集まりの皆さん、ヤンマー争議当該の稲森です。いつもヤンマーでの抗議情宣にご協力いただきありがとうございます。今後もよろしくお願いしたいと思います」と始めに引き続いての争議支援が訴えられた。
 「今日の集会に向けて本田福蔵さんの言葉の中で、非常に労働運動の本質に関係する一言が含まれてます。それは、『資本の側は世紀を越えて、地域を越えて、国境を越えて、代々受け継がれている資本の連帯はこのように強固なのに対して、われわれ労働者が連帯できていない』ということで確かに事実です。これは今までの労働運動というのが、労働者は労働者、そして学生は学生、そして家庭の主婦は家庭の主婦、という形ですべて分断されてきた中で、労働運動という枠組みが決められてきた、そういう部分に端的に現われていると思います。今の反原発の運動というのは先ほど佐久間さんがおっしゃられたように、若い人が動き、そして被害にあった主婦が動き、そしてそれを取りまく周りの心ある人が動き、そういう形でこの反原発の運動はいま官邸前での行動として大きく実を結びつつあります。私たちの労働運動も同じうように、すべての世の中の非合理と闘う仲間と連帯し根本的に働く人が幸せになる、そういった世の中を作っていかなければならない、このように感じています」。
 「私自身はヤンマーという会社で解雇に遭い、現在解雇から丸三年を経過して未だに闘っています。裁判闘争においては最高裁で原告の請求は棄却するという不当な判決が出されました。しかしながら、私の最高裁での不当判決というのは、大阪高裁で認められた『非正規雇用』の労働者であったとしても、違法行為の是正という形での行政指導があったのちの直接雇用であれば、雇用の継続を期待するのは致し方ないと、この経緯については認められたということです。私の最高裁での棄却の原因というのは大阪高裁の棄却の原因と同じ、リーマン・ショックというやむにやまれない世間の実態があったから、直ちにヤンマーの違法性を問うことができない、そういった形で打ち切られたわけです。全面敗訴という形ではありません。この、『非正規雇用』労働者であっても雇用継続の期待権、これを認められたという判決は大きいと思います。この判決を生かし、そして今ヤンマーが私たちに対して行なっている組合差別の事実、これを相手側に突き付けた形で今後も闘ってまいります。それにはやはり多くの労働者が声を上げて、そして世の中の不条理に対して断固として闘うという姿勢を示さなければ、この運動は先詰まりになってしまい、大きな発展にはなりません。是非とも皆さんの傍にいる本当に困っている人に声をかけて、そしてそういった人たちと共に闘うそういった運動につなげていきたいと思います。本日はありがとうございました」。

 

中四国地域連合労働組合委員長・浦川美貴子氏の発言

 

 「みなさん、ごくろうさまです。本日ここに日本の労働運動の未来を切り開いていく、全国労働組合運動交流会が結成される、そのことに本当に感動を持って参加し、そし共に新たな闘いを皆さんとやっていくそういう決意で、身の引き締まる思いを感じております」。
 「今本当に野田政府の下で、労働者に対する首切りや合理化、あるいは消費税の増税そして、原発の再稼働など本当に上げればキリのないほどの攻撃がかけられてきているだろうと思います。先日16日、大飯の原発の再稼働を決めて野田が記者会見をしていましたが、まさに福島の原発事故が終わっていないし、被災者が苦しみ続けているなかで、いけしゃあしゃあと再稼働を決めるとは本当に腹が立ちました。原発で働く下請け、あるいは日雇い労働者がどんなに被爆をさせられようが苦しもうが、再稼働が資本の為だから、そして核武装していくことだからとの理由でやっていることは間違いありません。そしてそのうえ、来週早々消費税が衆議院で可決すると言われています。本当に大増税が私たちにかけられようとしている。闘わなければ生きて行けない、これがスローガンではなく実際のものとして私たちの状況があるだろうと思います。闘う労働組合が本当に必要とされているなかでの、本日の結成がとても心強くそしてさまざまな闘いを皆さんと共に開始していける喜びを思っています」。
 「先日新聞報道にありましたが、資本と一体となって原発を推進してきた電力総連が原発に反対する議員に対して、圧力をかけてその反対を押しつぶしている、そんなことが書いてありました。原発がなくなれば、電力現場で働く労働者の仕事がなくなる、そんなふざけたことを言って原発を推進しています。労働者を被曝にさらすような、あるいは人の不幸の上に成り立つような、そんな仕事は拒否するのが労働組合ではないでしょうか。まさに連合はこのような資本と一体となって、資本に食い物にされたり、資本に使い捨てされたりする労働者をそれこそ守らない。だからこそわれわれはその対極でどんな労働者も、一人の労働者も見捨てない、苦しむ労働者と団結していくそういう決意です。それが当たり前の労働組合の運動であること、それを誇りにしながら闘っていこうではありませんか。このような、『連合』のようなナショナルセンターではだめだ、労働者に絶望しか与えないような労働運動はだめだ、まさに今こそ私たちが大失業、大増税、そして戦争へと突き進む野田政府を打倒す、そういう闘いを共に闘いぬいていきたいと思います。そして私たちの闘いを大きくしながら、まさにヨーロッパの労働者がゼネラルストライキやあるいは街頭デモで果敢な闘いをしていますが、そういう大きな大きな闘いができる階級的なあるいは革命的な労働運動の統一センターに向けて闘いを進めていきたいと思います」。
 「今課題は本当にたくさんあります。公務員制度改革のもとで、多くの公務員労働者がクビ切り合理化をされ、あるいは言われのないバッシングをされ、汲々としている状況があるだろうと思います。あるいは有期労働契約の法制化の中でますます『非正規雇用』が拡大され、そして無権利の状況の中で苦しむ労働者が増えているだろうと思います。私たちは中四国において地域連合労組としてそういう叫びたいけれども叫ばない、そういう人たちとたくさん出会いを作りながら組織し、一つ一つの闘いを大きな闘いとして勝ちとっていきたいと思います。明日、関西の仲間と共に大飯町の現地に行って原発再稼働を許さない闘いをぶつけていく予定になっています。頑張ってきます。本日の集会を何としても成功させながら、皆さんと共に団結を固めて闘っていきたいと思います。よろしくお願いします」。

 

呼びかけ人である全国寄せ場交流会・鈴木ギャー氏の発言

 

 「本日は東京・山谷、大阪・釜ヶ崎、そして福岡・築港から多くの寄せ場の仲間たちがこの場に結集しています。まず、全国寄せ場交流会の闘いを大雑把に紹介していきたいと思います」。
 「日雇い労働者は土木系産業の下請け的重構造のまさに最末端で、しかも常に景気の調整弁として、すなわち不況だったら真っ先に使い捨てられる、こういう形でこき使われ、使い捨てられてきました。結果、多くの仲間が野宿、野垂れ死にへと送り込まれています。闘わなければ『死』が待っている。これに対して私たち寄せ場の労働運動は、越年・越冬闘争、夏祭りに示されるように、一人の野垂れ死にも許さない、生きてやり返せ、やられたらやり返す、こういったことをスローガンに資本・権力・行政・ファシストとの闘いをやり抜いてきています。原発や三里塚空港、こういった建設などの国策事業などでも、多くの労働者が使い捨てられてきています。違法な中間搾取、僕らの言葉では『ピンハネ』と言っていますけども、そういったことを『こと』とする、末端の派遣業者、人夫出し業者、そして手配師、こういった連中は大体暴力団が絡んでいる場合が多いんですが、そのもとで、賃金の未払い、不払い、労災もみ消し、あるいはそういった業者による暴力といったことが日常のように行われてきている。こういったものと対決して闘い抜いてきています」。
 「私は今福岡にいますので、福岡のことを話させていただきますと、福岡においていま日雇い労働者への仕事というのはほぼ無い、と言っていいような状態です。しかし、公園などでは福島への出張仕事というのが声をかけられます。今も多くの日雇いの仲間が、福島第一原発の被曝労働を強いられているわけです。こういった状況が私たちの現状だと思います。これに対して、まず、資本、ゼネコンから末端の人夫出しを貫いて私たちは現場闘争を軸に労働争議をやり抜いてきています。賃上げ要求等も直接ぶつけたり、あるいはゼネコンなどは直接の雇用関係がないということで、元受責任を取ろうとしない、これに対して、追及をやり抜いてきています」。
 「また権力、とりわけ山谷や釜ヶ崎寄せ場の日雇い労働者が、常に治安管理の対象として、日常的な暴力を受ける、こういった状態があります。労働争議あるいは行政による公園からの叩き出しの際、あるいはファシストとの闘い、こういったものに常に国家権力が介入してくる、あるいは弾圧をしかける。多くの仲間がこういった弾圧を恐れず、はねのけ闘いに起ちあがってきています。行政については我々にアブレ地獄そして野垂れ死攻撃という形で攻撃をしかけて来ているわけですが、アブレと野宿の押しつけに対する責任を取らせるべく、とりわけ『仕事よこせ』の闘いは、国、都府県、そして市に対して公的就労対策事業要求を突き付けて闘ってきています。また、野宿する仲間の叩き出しを許さない、こういった闘いを重要なものとしてパトロールしています」。
 「ファシストとの闘い、そういうことでは寄せ場の闘い、福岡においても、『愛国党』だの『在特会』の連中が襲撃や様々な妨害等くり返しています。とりわけ山谷において、国粋会金町一家、天皇を掲げる右翼ファシストとの実力攻防が続けられています。これには全国寄せ場交流会として、金町一家との闘いをやり抜いています」。
 「寄せ場には多くの被差別部落出身の仲間や、在日朝鮮人の仲間などが生活しています。こういった労働者を分断・支配するための差別との闘いもやり抜いています。何よりも資本のくびきを断ち切り、労働者の、働く者が主人公となる新しい世界を生み出すことができる同じ働く仲間、全世界で闘う仲間と結びついてこそ、そうした労働者の新しい世界が生み出せるのですけども、こうした仲間たちを虐殺する戦争の動きが強められています。これに対決する闘いも力をいれてやり抜いています」。
 「次にこういう資料があります。これは今年の4月27日に厚生労働省が出した資料です。ホームレスの実態に関する全国調査、生活実態調査の結果というものです。これに因りますと『路上生活になった理由』ということで、仕事が減った34パーセント、倒産や失業27・1パーセント、病気やけがや高齢で仕事ができなくなった19・8パーセント、全体足すと90パーセントほどになります。要するに仕事がない、仕事したくてもできない状態になって、野宿へと至っているということです。続いて、平均月収。働いている仲間が何をしているかというと、77・7パーセントが廃品回収ということで、アルミ缶を集めたり、それを売って生活しているというような、廃品回収の仕事です。日雇い建設作業が9・0パーセント、ほかにサンドイッチマンとか、チケットの並びとか、雑誌の販売とかいうようなことが3・1パーセントということで統計が出ている。この調査は五年ごとに行われていて、五年前に比べて仕事がない人、39・6パーセントの人が存在しています。10パーセント増加です。これだけ生活が厳しくなっている、にも関わらず、求職活動をしていない、今後もする予定がないという人が、63・9パーセントにも上っています。なぜかというとあきらめさせられている、病気・高齢・住所がない、身元保証人がいないなどで難しいのではないかと思う人が多いです。ところがそういった人たちに軽作業を進められたら参加しますか、という質問に64・3パーセントの人が『はい』と答えている。実際に福岡で福日労がアンケートをしたのですが、生活保護を取った仲間のうち九割もの日雇い、野宿の労働者が生活保護より仕事がほしいと回答しています。福岡ではリーマンショック後の2009年、年頭から毎週市役所に押しかけ、仕事をよこせと要求を突き付けています。要求内容としては、例えば山谷では公的就労対策事業はわずかだが出ている、こういった仕事を福岡においても行政が作れと。その際には築港の寄せ場を集合の場所にしろとか、現金日払いで行なえとか、輪番制度を行なえ、あるいは現場への送り迎え。実際に行政が出している仕事、緊急雇用対策事業などでは、日払いはできない、送り迎えもできないそういう現場だ、というようなことであるいは日雇い雇用保険がない、ということで、ほとんど仕事に就くことができないということで、こういった要求を出しているわけです。全国寄せ場においても、国・都府県・市などに対する公的就労対策事業要求を行なっています。こうした実態を知りながら、先ほどのアンケート結果を知りながらわれわれの要求に一向に応えようとしないというのが現状です。原発や戦争には膨大な税金を投入し、日雇い・野宿の公的就労対策事業要求にはビタ一文出そうとしない。こんな政府がのさばって、さらに私たちに収奪し、使い捨てにしようという動きが強められている。こんな政府は私たちの力で打倒していくしかない。そのように思います。そして働けるうちは働きたいと、本当に切実に願っている労働者を、飢えさせる資本主義そのものを私たちはなくしていくべきではないかと考えています。こんな資本主義はいらないんだということをはっきりさせて闘いをやり抜いていこうではありませんか」。
 「最後に日本の労働運動の現状は惨澹たるものです。連合や全労連は寄せ場労働運動を切り捨ててきました。そうした中で、困難を抱えながらも寄せ場労働運動は反戦と仕事よこせの闘いを結集軸に資本や権力や右翼ファシストと闘いぬいてきました。今やすさまじい数の労働者が我々日雇い労働者と同じといっていい、厳しい境遇に立たされています。闘わなければ黙って野たれ死ぬしかありません。今ほど日本の戦後労働運動を塗り替える闘いと団結が求められている時はありません。そのような闘いの要となる結集軸が求められている時はありません。多くの本工主義労働運動が、寄せ場労働運動を切り捨てることで、腐敗し、自ら敗北してきました。だが、全労交は違うんだ、ということで全国寄せ場交流会は全労交に結集しました。いまや多くの労働者が様々な困難を抱え呻吟しています。だが、いや、だからこそ、本工・非正規・寄せ場の労働者が団結して、戦後労働運動を塗り替えていく第一歩をここから踏み出していこうではありませんか。激動の時代を共に闘いぬいていきましょう」。