争議支援のお願い

公判報告

 

                    キヤノン電子労働組合専従書記解雇事件当該
                                      眞壁とし子
 
 会社と労組による退職強要に対して損害賠償を請求した損害賠償事件の第13回期日の公判が、10月1日にさいたま地方裁判所熊谷支部で行なわれました。皆様のお陰で前回同様、48席の傍聴席は、ほぼ満席になりました。遠いところであるにもかかわらず、本当にありがとうございます。
 また、裁判終了後、報告集会・意見交換を行ないました。不慣れな部分もあり、十分な話し合いができませんでしたが、皆様に活発な議論をしていただくことが出来ました。私の裁判だけに限らず、皆様と連帯し、協力し合っていけるように、これからも意見交換会を行ないたいと思います。裁判所に対して、公正な審理を強く求めるためにも、皆様のご支援を心よりお願い致します。
 次回、第14回期日は、2012年12月11日(火) 午後1時30分開廷、さいたま地方裁判所熊谷支部401号法廷(4階)です。
 裁判終了後、報告集会及び意見交換を行う予定でおります。是非、ご参加下さい。
 次に労働条件の不利益変更に不同意の意見表明をしたことを最大の解雇理由とする解雇事件に対する「地位保全等仮処分申立」について報告します。
 地裁、高裁ともに、この不同意の意見表明が、関係法令で保護されている行為であるにもかかわらず、「労組の従業員には許されない行為である」として、解雇を認める決定をしています。最高裁に特別抗告していましたが、10月22日、最高裁判所第1小法廷の櫻井龍子裁判長裁判官、金築誠志裁判官、横田尤孝裁判官、白木勇裁判官、山浦善樹裁判官は、「特別抗告(平成24年(ク)第1014号)」を、「民事事件について特別抗告をすることが許されるのは、民訴法336条1項所定の場合に限られるところ、本件抗告理由は、違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するものであって、同項に規定する事由に該当しない」ことを理由として、棄却しました。
 この事件は、私一人に関する、企業年金の給付減額に対して不同意の意見表明をしたことを、最大の解雇理由とする解雇事件ですので、過半数代表者(加入者)に対する保護法令に違反していることは間違いありません。
 しかし、本当に大事なことは、司法が、「私唯一人のみの財産に対する、やむを得ない理由の無い、不当な侵害に対して(幸福追求権 憲法13条、財産権 憲法29条)、私が、個人の自由な意見を表明したこと(自由権 憲法19条)自体を、私がキヤノン電子労働組合の事務員であることに照らすと権利の濫用・不当な行為であるとして(平等権 憲法14条)、解雇理由として認め、不当に苦しめていること(生存権 第25条、勤労権 第27条)」なのです。明らかに、基本的人権の侵害です。
 さいたま地方裁判所秩父支部の飯塚宏裁判官の「原審決定(平成22年(ヨ)第3号)」、東京高等裁判所第22民事部の加藤新太郎裁判長、竹内純一裁判官、長谷川浩二裁判官は、これら基本的人権の侵害を容認し、解雇を有効と認めました。
 私の意見表明は、私自身の労働条件について意見表明です。私自身の労働条件について、「私は、何一つ、意見表明さえしてはいけない」なんて許されることなのでしょうか?そもそも、これらの決定では、当該意見表明を、解雇理由とすることの当否についてさえ、まったく触れていないのです。
 それゆえ、最高裁判所には、これら基本的人権の侵害、特に、「個人の自由な意見の表明」(幸福追求権の憲法13条、自由権の憲法19条、財産権の憲法29条)について、法の下の平等(平等権 憲法14条)であることを否定していることについて、公正な審理を求めたのです。しかし、審議すらされなかったことは、非常に残念です。
 この結果は、仮処分制度における、特別抗告、許可抗告の制度自体の、根本的な欠陥の結果であると考えます。仮処分制度では、迅速な裁判のために、という名目で、法令違反・判例違反を判断する「許可抗告制度」と、違憲を判断する「特別抗告制度」を設ける、司法改革(改悪)を行ないました。「許可抗告制度」はある事件を棄却決定した裁判官が、当該決定に法令違反・判例違反が含まれていると判断した場合に、抗告が許可される制度であり、「特別抗告制度」は個人の権利を規定した法律の全ては、憲法が具体化されたものであるため、憲法違反があれば、同時に、法令違反があるにもかかわらず、憲法違反があっても、法令違反があるなら、抗告は棄却される制度ですから、これらの制度が、いかに滑稽な制度であるか、ちょっと考えれば、すぐ分かることです。
 しかし、法の下に平等であり、公共の福祉には一切反していない「個人の自由な意見の表明」、すなわち、民主主義の根底をなす、重要な行為そのものが、権利の濫用・不当な行為とされていることは、決して許してはならないと考えます。
 最後まで闘い抜く所存でありますので、皆様の温かく心強いご支援を、今後も宜しくお願い致します。
 詳しくは、ホームページ「年金解雇 http://nenkin-kaiko.angry.jp/」をご覧いただけると幸いです。ホームページには、特別抗告棄却にあたっての、代理人の渡邉弁護士、大口弁護士のコメントもありますので、ぜひご覧下さい。

 

 

地労委報告
        

                    ヤンマー争議当該 びわ湖ユニオン書記長 

                                     稲森秀司

 

 びわ湖ユニオンへのご支援と「ヤンマー闘争」へのご支援ありがとうございます。
 去る、10月29日にヤンマー不当労働行為救済申立事件の第1回調査が開催されました。
 第1回調査が開始されるに先立って公正委員から、救済申立事件の詳細な求釈明を要求され、アルバイト・派遣・パート関西労働組合が申立主体となった救済申立と同様の単なる蒸し返しととらえての求釈明で、第1回で却下になるのではと心配していましたが、何とか、第3回目の調査までの審査計画が出され、ホッとして居ります。
 今回の救済申立事項は以下のとおりです。
 1、2009年2月15日以降雇い止めされなかった期間従業員(非組合員)の実に92%が技能員登用され、更新の上限を定めない技能員として現在も雇用が続いていることは、2009年2月15日に雇い止めされた多くの組合員(意図的に組合活動をしていない組合員を2人のみ残した)は、技能員登用試験を受験する機会すら奪われたことと比較すると著しく権利の侵害を受けているものとしての救済を一点とすること。
 2、多くの組合員とともに解雇された、非組合員の中には雇いもどしを受けているものが数名存在することが第1次不当労働行為救済申立のヤンマー総務部長 藤田 修の陳述で明らかになりました。びわ湖ユニオン書記長稲森・委員長佐々木も復職を求めて、裁判闘争・地労委闘争を行っているにもかかわらず、いまだ復職の機会を与えないのは組合敵視の不当労働行為であるという要求。
 3、上記2を補充する形で、2012年8月11日に長浜市内にある派遣会社「クローバー」で求人募集があったヤンマーでの派遣社員募集に応募し、派遣会社の面接は合格しましたが、最終的にヤンマーが履歴書の提出をさせて、採用を拒否するという事実を突き付ける形で、ヤンマーがびわ湖ユニオン(稲森・佐々木)の排除を行なっているということを、明らかにする。
 今後も引き続きご支援をよろしくお願いいたします。