6・26東京けんり総行動

     稲森氏の職場復帰要求を拒否するヤンマーを徹底追及
     稲森氏の職場復帰要求を拒否するヤンマーを徹底追及

6・26 「東京けんり総行動」  

 

対ヤンマー東京支社行動

 午後2時45分、東京八重洲口に近いヤンマー東京支社前にはすでに多くの参加者が結集している。雨と風が強く吹きつける中、司会が集会開始を宣言する。
  まず、「東京総行動実行委員会」から「東京総行動は40年の歴史がある。地方の闘いが、東京での闘いとして取り組まれている。この10年間を見ても、いろいろと地方から東京の本社に出向いて不当に解雇された労働者が厳しく追及して闘っている。東京総行動はこうした闘いを支えていきたいと思っている。ヤンマーも日本を代表する国際企業。しかし、やっている中身が派遣労働者の使い捨てです。世界の大企業、これを私たちはみんなで束になって闘っていきたいと思う。ともに頑張ろう」。
  ヤンマー争議の経過を「ヤンマー闘争を支える会」が報告する。「ヤンマー争議は滋賀県地方労働委員会で結審し、8月末には命令が出るというところに来ている。おそらく不当命令が出ると思う。争議組合員は二人いましたが、佐々木氏が残念ながら今年2月に亡くなり、今稲森組合員がひとり職場復帰を求めて、不当労働行為の救済を求めている。ヤンマーは震災復興特需で儲けて、『雇い止め』にした分、どんどん雇い戻している。なぜ、稲森組合員が戻れないのかを団交で迫っているが、『裁量の自由だ』と言いながら職場復帰を拒否している。中労委のこれまでの命令で、組合員を採用しなかったことを不当労働行為であると断じた判例がある。明らかにびわ湖ユニオンの組合員だけを雇い戻さない不当労働行為が継続しているとしてヤンマーを追及している。もう一つ、ヤンマーは滋賀で発展し、大きな工場を構えている。滋賀県の労働協定はヤンマーなどにすべて牛耳られている事がはっきりした。ヤンマーに代表される地元産業が牛耳り、そしてそれに傾倒する企業内組合がいるというのが現状です。びわ湖ユニオンの組合員が団交をやって是正を求めていく闘いのなかに立ちはだかっているのが滋賀県労働行政であるという構図です。労働法が違法状態のような滋賀県の中で、本当に労働者の立場に立って闘いを展開するこのヤンマー争議は、労働者の『首切り』『解雇』が自由に行なわれる社会にあって、極めて意義の大きい闘いです。前年度何百パーセントも利益を上げながら、労働者を使い捨てにするヤンマーの態度を徹底的に糾弾しながら労働者の権利を守り抜く闘いをしていきたい。その中で東京総行動の意義は大きい。私たちも皆さんと一緒に闘って行きます」。
 連帯あいさつが行なわれ、19年間「雇止め」争議を闘っている東芝ライテック雇い止め解雇裁判の当該・稲葉氏、キヤノン非正規労働者組合の阿久津氏、JAL不当解雇撤回裁判原告団と続いた。

団体交渉要求の申入れを拒否するヤンマーに対して争議当該の稲森氏を先頭に厳しい追及をおこなう
団体交渉要求の申入れを拒否するヤンマーに対して争議当該の稲森氏を先頭に厳しい追及をおこなう

 最後に、ヤンマー争議当該・稲森氏が闘う決意を表明する。「ヤンマーは長浜工場の一角に『グローバル研究棟』という建物を建て、その研究棟の玄関に置いてある石碑には『品質はメーカーの良心である』と刻まれている。『良心』を語るのであれば、あたりまえの責任を果たし、そして亡くなった佐々木さんの霊前に謝罪をしてから語っていただきたい。私たちは、ヤンマーが長年『派遣労働者』あるいは『請負労働者』を使ってきて、それを是正しろという事で2008年9月16日から『直接雇用』された。その際ヤンマーは、『雇用の安定を図る、よほどのことがない限り雇用の継続は期待していただいて結構です』と言い続けました。しかし実際には、最初の五ヵ月で『直接雇用』した500人の『派遣社員』のうち、252人という大量の解雇を行なった。『直接雇用』は決して安定した雇用ではなかった。とくに私に至っては、職場の機械の不備で労災にあい、ヤンマーが労災を認めようとしなかったことに異議を唱えたことで、職場の同一ラインの中で私ひとりを指名解雇しました。私は、ヤンマーから解雇されるようなことは何一つしていません。『偽装請負』あるいは派遣期間の制限違反、そして私が解雇されて5年の間に二度も脱税で国税局から指摘される、そのような違法行為をし続けているのがヤンマーです。あの時、雇用の安定と言ったのであればその責任はきちんと果たしてほしい。ヤンマーは『〝リーマン・ショック〟というやむにやまれない理由があったから解雇した』と言い続けてきた。しかしヤンマーは、震災特需で2012年度の決算は前年度対比400パーセントもの利益増です。この情報をもとに私たちびわ湖ユニオンは、新たな雇用として雇入れを考えてほしとヤンマーに要求した。しかしヤンマーは、『企業には裁量権があるから、あなた方は絶対に雇いません』と言い放った。そういうのであれば、今まで裁判や労働委員会で自ら主張していたことが全くのウソであったという事を証明したことになる。今後は、この事で中央労働委員会で改めて闘っていく。ヤンマーに対して徹底的に闘い、そして職場に戻りたい。これからもご支援よろしくお願いします」。
 要請団を送り出し、ヤンマー東京支社に向かって「ヤンマーは雇用責任をとれ」「稲森さんを職場に戻せ」とシュプレヒコールを叩きつけ、ヤンマー東京支社前での行動を終えていった。

  237人の解雇撤回に向けトヨタに怒りのシュプレヒコール
  237人の解雇撤回に向けトヨタに怒りのシュプレヒコール

対トヨタ東京本社前行動

 東京総行動最後の抗議先であるトヨタ東京本社前に、二手に別れて行動していた支援者が続々と再結集してくる。
 まず最初に、「フィリピントヨタ労組を支援する会」の代表・山際氏が、「237人の不当な解雇に対する争議を支援するために日本において『支援する会』を結成した。現地では13年を超える闘いが続いている。フィリピントヨタにおけるこの問題をきちんと解決しなければ、恨みつらみもどんどん大きくなっていくことをトヨタはしっかり受け止めてほしい。トヨタは、労働者に対して世界の基準に基づいて対応しているかといえば、‥‥運動の結果も含めてILOからは5回にわたって勧告を受けるという状況にある。世界企業としてのトヨタがフィリピンにおいて労働者に対してとんでもない事をしているということをILOが世界に、そしてフィリピン政府に向かって発表している。ILO勧告は、ルール上その国に対して行なうという事になっている。なぜ勧告が行なわれるかといえば、フィリピンにおいて不当な解雇に関わってILOが許されないとの判断で勧告が出されているのは明らかです。にも関わらず、『フィリピン政府に対しての勧告だからトヨタは関係がない』という判断はとんでもないことです。トヨタは、ILOやフィリピン政府に顔向けができない状況に今ある。この状況の中でトヨタは、刑事事件さえデッチ上げて、働く者を厳しい状況に追い込むという事までやってきた。刑事事件をフィリピンでデッチ上げて労働組合を弾圧することまでやってきたのだ。この事件では、私たちや現地労働者の努力でトヨタを追い詰め、刑事罰を科すことができないとトヨタが告訴を取下げ、永久却下の決定を得るという全面的勝利をかちとっている。そして、トヨタが首切り問題についてしっかりと解決するよう強くトヨタに要求していく。最後の最後まで闘いぬく事を決意して、皆さんの支援をお願いしたい」。
 続いて、事務局長・小島氏から争議の報告を受ける。「先ほども話にあったように、昨日現地において刑事事件が解決し、あとは解雇問題を何とか解決するために、昨日解雇者たちがフィリピン政府、雇用労働省に申し入れをする事を軸にフィリピントヨタに抗議行動を行なっている。私たちは、『支援する会』としてできるだけ早期に問題を解決したい。できれば一年以内に解決したい。9月22日、23日は日本にフィリピントヨタ労組のエド委員長をはじめ代表を派遣してもらいます。最後の追い込みとして、フィリピンと日本の共同で労働者の連帯を築きながら解決していきたい。ご協力、連帯をお願いしたい」。
  司会から、本日三時から申入れが行なわれたと報告がなされた。全造船関東地協事務局長・早川氏は、「2001年に行なわれたストライキ闘争潰しのためにデッチ上げた刑事事件の勝利は画期的な勝利。解雇撤回はまだ課題があるが、この勝利は労働運動の前進を図るというところで大変大きな意味をもっている。フィリピンにおける労働条件の課題は自分たちの課題でもあると思っている。これからも237人の解雇撤回に向けて頑張っていく。ぜひ皆さんのお力を借りていきたい。ともにがんばろう」。主催者から「雨の中、それぞれの行動を最後まで闘い抜いたとおもう。今日は二手に分かれて合わせて14ヵ所を回った。次回の総行動は秋に予定している。各単組の中で今日の行動を総括していただき、次の総行動につながる議論をお願いしたい。今後も東京総行動を盛り上げていこう」。ここでトヨタに対してシュプレヒコールが叩きつけられた。「解雇を撤回しろ!」「組合つぶしを許さないぞ」「交渉に応じろ」と雨の中力強いコールが響き渡る。
  続いて、JAL不当解雇撤回裁判原告団、東芝ライテック雇い止め解雇裁判の当該・稲葉氏、ヤンマー争議当該・稲森氏から連帯のあいさつが行なわれ、再度シュプレヒコールがトヨタ東京本社に叩きつけられた。団結ガンバローと本日のまとめが提起され、第153回東京総行動が締めくくられた。
〈東京都地域連合労働組合〉