9・17「君が代」不起立被処分者に対する「再発防止研修」粉砕闘争
2013年度都立校での入学式の場で、教職員に対し「君が代」斉唱がまたもや強制された。2003年の「10・23通達」から10年が経過したが、東京都教育委員会の強制にもかかわらず、式場の現場で、都の人事委員会や裁判闘争の場で、強制反対の闘いが教育労働者や労働者人民の粘り強い取り組みによって続けられている。
都教委の介入は2003年以降、「日の丸」「君が代」問題をテコに飛躍的に強化されてきた。しかし、都教委の処分にも動ずることなく10年後の2013年も「教育への行政権力の介入」に抗い、不起立で闘う教育労働者が存在している。
2013年度入学式では、3人の闘う教育労働者が自らの信念を守り、処分を受けつつも闘いに起ち上がった。
その3人の教育労働者の仲間に対し、都教委は「再発防止」を名目にしながら、教育労働者一人ひとりを呼び出し、「研修」を強制的に受講させている。
この間、2013年度入学式被処分者3人に対しては、5月8日に東京都教職員研修センター(水道橋)に呼び出して、まず第1回目の「再発防止研修(センター研修)」が強行された。その後、個別に各被処分者の勤務校での執拗な「研修」が繰り返され、その一連の総仕上げとして、再び、「センター研修」(2回目)を受けさせるものとなっている。
この最後の「センター研修」は、第1回目の「センター研修」とは違って、わざわざ別の日に一人ずつを呼び出して行なうという陰湿なものだ。
8月16日、9月10日と「再発防止研修」が強行され、最後のTNさんに対しての2度目の「研修」が9月17日に設定されたのである。
TNさんは、今回の2013年度入学式以外にも直前の2012年度卒業式でも不起立を貫いた。そのため、この半年間で、TNさんは「センター研修」だけでも通算3回も受講させられている。また、以後の被処分者に対する処分が「戒告」止まりとなっているにもかかわらず、TNさんに対しては、「減給」処分が強行されているのである。
この日は台風一過のすがすがし朝を迎えたが、研修センター前には相変わらずものものしい厳戒態勢がしかれた。正面の通用門はバリケードで閉鎖され、内側には都教委職員が警備のために動員されている。研修センターの前の外堀通りをはさんで反対側の歩道には公安刑事がひしめき合っている。また、所轄の本富士署からはワゴンパトカーが張り付き、抗議の闘いに対する弾圧の体制で臨んでいるのだ。
午前9時、闘いを呼びかけた「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」の共同代表である岩木氏が司会し集会が始まった。「被処分者の会」の近藤徹事務局長がこの日の行動について説明を行ない、TNさんの勤務校であるI特別支援学校の地元地域でTNさん支援の市民運動を担っている仲間、根津公子氏がアピールする。「研修」を受講する当該のTNさんがセンターに到着すると仲間たち全員がシュプレヒコールの声をあげ、センター構内に入っていくTNさんを激励していった。門前での集会が続行される。「被処分者の会」の星野共同代表が発言し、司会の岩木氏は9月に連続して下された「君が代」処分の最高裁判決でも、「減給」以上の処分を受けた25人の仲間への処分を取り消すよう、命じていることに触れ、TNさんへの違法な「減給」処分を弾劾していった。
「研修」終了直前の11時20分、再び研修センター門前に結集した仲間たちが集会を再開する。後半の集会の司会は、「被処分者の会」事務局の加藤氏が担当した。加藤氏は、この日で今年9回となる「再発防止研修」ではこれまで延べ500人を超える仲間が抗議の行動に参加したことを報告した。シュプレヒコールをあげている中、「研修」を終えたTNさんが研修センターから戻ってくる。TNさんは早速、門前での集会に合流し、今回の「研修」の内容の報告を行なった。TNさんは、「命令が思想及び良心の自由に反した場合には、再び『服務事故』とされる事態はあり得ると答え、控えめではあるが転向しない」とのきっぱりとした決意を仲間たちに明らかにした。TNさんの決意を受け止め、近藤事務局長が今後の行動を提起し、最後に怒りのシュプレヒコールを都教委にたたきつけ、この日の行動を締めくくった。
〈東京・山谷日雇労働組合〉