サントリー争議団体交渉が闘われる

サントリー争議団体交渉が闘われる

 

神奈川県地域連合労働組合

10・7第2回団体交渉

 

 10月7日午後7時より、星陵会館においてサントリーパブリシティサービス株式会社(SPS)と神奈川県地域連合労働組合の第2回目の団体交渉が行なわれた。
 組合は、「革命的労働者協会(解放派)=反社会的勢力・団体」と規定し、それを理由に川村委員長を「雇い止め」にするのであれば、「反社会的勢力・団体」と規定する法的根拠を示してほしい、法的根拠もなく会社の主観で「反社会的勢力・団体」と決めつけ、就業規則違反だとして「雇い止め」にするのであれば、それは不当労働行為であること、「(川村委員長が)革労協の構成員である」と言うなら、立証義務はそう主張する会社側にあることを指摘し、厳しく追及する。
 サントリー(SPS)専務取締役・宇野は、革労協は「暴力団・暴力団員その他これに準ずる者等反社会的勢力であると、会社として決めた。法的根拠はない」などと言い張るだけであった。
 「革労協は、『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律』いわゆる『暴力団対処法』でいう暴力団と同じなのか」という組合からの質問には、「暴力団と決めているわけではないが、市民社会に不安・脅威を与えていることをもって、会社として今回、反社会的勢力と決めた」と言う。「市民が不安に思っているという事実はどこにあるのか」という組合の追及の前に、「会社の思い」でしかないことが明らかにされていく。
 「社会に不安を与えると言うのであれば、東京電力の原発事故はまさに不安と脅威を与えている。東京電力は会社の規定に沿って言えば、まさに反社会的勢力なんですね」との指摘に対して、宇野は、「原発事故が市民社会に不安を与えているというのは事実ですか?」と、信じられない反問を投げかけてくる。このような屁理屈でしか、対応することができなくなってしまったのである。組合は、「思想・信条で解雇したり、労働条件を不利益にしてはいけないというのは労基法3条で定められていることだ。今回の処分は労基法3条違反であり、明らかなレッド・パージだ」と突きつけた。

 

レッド・パージとは何ですか? ―専務取締役・宇野

 

 ところが何と、宇野の返答は「レット・パージとは何ですか?」。その意味さえ知らないのだ。専務取締役の肩書きを持ちながら、やっていいことといけないことの区別さえついていないのだ。結局、「革労協=反社会的勢力」との規定には「法的根拠はなく、会社が決めた、会社として決めた」と同じ回答に戻る。その主張がまさにレッド・パージであることが、理解できないのである。組合は、「普通、どういう政党を支持しているとか、どういう宗教を信じているとかを、いちいち聞くことはないでしょう。企業活動でそんなことをやりますか?どんな思想・信条を持っていようが、そういうことにはタッチしないのが企業でしょう。そこに踏み込んだら、サントリーはそういう思想差別をする企業だということですよ」と追及する。返す言葉を失くした宇野はただ、「思想・信条で排除するわけではない」とくり返すばかりだった。露骨に、思想・信条で排除しているというのに。最後に組合から関係資料の提出日を確認し、次回団交の日程についての連絡方法などを決定し、第2回団交を終えた。

 

11・6第3回団体交渉

 

 11月6日午後7時より、星陵会館においてサントリー(SPS)と神奈川県地域連合労働組合の第3回目の団交が行なわれた。
 今回の要求は、「『雇い止め』通告と『自宅待機』命令を撤回し、職場に戻せ」のほかに、「契約更新のための面談を行なえ」の2点。これは、次年度の契約を更新するか否かの面談を毎年11月中に必ず行なっているため、「自宅待機」中といえども処分の撤回を求めている当該にとっては、至極当然のことである。「面談の申し入れ」について会社側は、「12月31日で雇用契約を更新せず、契約満了とすることを決定した。それまでの期間を『自宅待機』とし、その間の給与保障と早期自主退職を提案している」として、これを拒否。
 さらに、雇用契約を更新しない理由は何かという追求には、「①革労協が反社会的勢力・団体であり、川村さんが構成員であることは、企業倫理綱領、就業規則、労働契約に違反している、②また逮捕・勾留されていた期間、虚偽の理由によって欠勤していたことは、就業規則上『無届欠勤』と判断する。即時、労働契約を終了すべき事案だが、川村さんの生活に配慮し先の提案をした」と回答した。

 

会社側が処分理由を変更

 

 サントリー(SPS)の主張で今までと大きく違うのは、「雇い止め」の理由として、今回、「無届欠勤」だと言い出したことだ。確かに第2回団交の際にも、「就業規則に複数違反している」「虚偽の申請をしたことは会社との信頼関係を破壊する」などと言ってはいたものの、会社側の主張のほとんどは、「革労協との関わり」に終始していた。
 しかし今回は、「雇い止め」の理由の一つの柱にまで据えてきたのだ。就業規則34条(「事前に届出のできないときは、事後速やかにその理由を届け出なければならない。理由の認められない欠勤または虚偽の理由による欠勤は無届欠勤とみなす」)を持ち出し、「虚偽申請による無届欠勤」を主張し始めたのである。それは、「革労協=反社会的勢力」「川村=構成員」で処分するには無理があると気づいた会社側が、「就業規則」から苦し紛れに別の理由を引っ張り出してきたものである。
 しかし真相はこうだ。川村委員長本人は不当にも突然逮捕・勾留されたため、「事前の連絡」など不可能であった。知人が出勤予定当日の早朝、会社に欠勤の連絡を入れた。川村委員長本人としては、釈放後すぐに自身が会社に連絡を入れており、出勤日には朝一番で担当上司に事実を隠さず説明をしている。その日の午後にはコミュニケーション本部部長・大高とも話をし、その上で「今後も継続して仕事をしてほしい」との返事を受けているのである。組合は、その事実を突きつけ、「虚偽申請による無届欠勤」の主張を完膚なきまでに論破した。処分をしておいて、後から処分理由を変更する。果たしてそんなことが許されるのか。
 次回団交の議題はこの日の継続ということで、おおよその日程を決め、第3回団体交渉を終了した。