乾坤一擲(けんこんいってき)
昨年の11月16日、元全日自労中央執行委員長の中西五洲氏が自力で栄養を摂取することが困難になり、衰弱のため91歳で逝去された。逝去される1ヵ月前に「全労交通信」に掲載した全日自労の闘いの教訓や現在の日本労働運動への提言を、インタビューに応じる形で快く引き受けていただいた。まだまだ多くのことを聞き、闘いの糧としたかったが、それは叶わぬこととなった。非常に残念である。▼中西氏は、300人の逮捕者を出しながらも勝利した「仕事よこせ」の松阪職安闘争や、最大時23万人の組合員の先頭で「反失業」の対政府闘争を牽引された。「資本主義経済は失業と貧乏と戦争を必ずもたらす」「労働者が資本主義体制を作り変えるために闘うことは不可避」。労働運動を闘う者は、このことを基本に据えきるよう、中西氏は強く訴えられていた。▼中西氏が現在の日本労働運動の現状を憂い、その突破の鍵を「一つには、職場から生きいきとした運動を構築すること。二つには、未組織の労働者を組織すること。三つには新たなセンターを構築すること」と提起されたことを、全労交は全力で実現しなければならない。▼現在、2014年春闘の真っ只中にある。「資本主義経済防衛」と同義である「デフレ克服」のための「アベノミクス」にひたすら期待し、「政労使合意」や「労働者派遣法」改悪に合意しても恥じない「連合」などの既成の労働運動は労働者にとって桎梏物だ。何としてもこれを突破して闘う労働者の新たな結集軸を打ち立てることをもって、中西氏への追悼としたい。 (山崎)