世田谷地区労事務局長 全労交呼びかけ人 根本善之さん

地域から闘う労働組合を作る決意を表明する根本さん
地域から闘う労働組合を作る決意を表明する根本さん

 皆さん、ご苦労様です。昨年もこの春闘集会でごあいさつしましたが、今年2014年の取り組みを含めて若干皆さんに報告をし、共に闘うことをお約束していきたいと思います。皆さんのお手元にブラック企業に関するビラがあるかと思いますが、それを見ていただきたいと思います。皆さんもご存知かと思いますが、安倍首相は「世界で一番企業が活動しやすい国を作る」ということを掲げ、「派遣雇用」労働者を無期限、無制限に使い捨てられるようにすることや、低賃金でいつでも解雇できる「限定正社員」、あるいは、残業代ゼロでただ働きさせる「正社員」をつくることを唱え「ホワイトカラー・エグゼンプション」などの導入を目論んでいます。こうした労働法制の「規制緩和」は大量の「非正規」労働者を生み出しています。いまや「非正規」労働者は2000万人を超えています。そして労働者の4人に1人が、女性労働者の過半数が、1100万人もの人が年収200万円以下の「ワーキング・プア」として生活保護の基準以下という状況に追い込まれているのです。年収200万円以下の収入で家計はもちろん苦しい、不安定な雇用のために結婚はできず、子供も生み育てられない。こうした「非正規」労働者の増大や低賃金の蔓延が地域社会の基盤を揺るがしているだろうと思います。また、皆さんご承知のように「ワタミ」や「ユニクロ」などは、若者をいいように過酷な労働条件の下で働かせ、こき使い、使い捨て・使い潰すということをしています。そういうような企業が、「ワタミ」や「ユニクロ」などのほかにも増えていると言われています。「精神疾患」にもなったり、「過労自殺」に追い込まれている人たちも増大していると思います。ILOは「ディーセント・ワーク」(“働きがいのある人間らしい仕事”)を提案しています。労働基準の尊重、そして遵守、良質な雇用の確保、職場の安全と社会保障の拡充、労使尊重と国を交えた対話ということを呼びかけています。そういうILOの提起を私たちが運動の中で使いながら、今の安倍の暴挙、暴走をひとつでも止めていく。そしていつでも解雇できる、一生涯派遣、無制限の長時間労働、労働者の雇用や賃金や労働条件を破壊する安部の雇用制度の大改革を許さないことが必要だと思っています。そういうことで、ビラは東京地評で作られたものですが、それを世田谷で作り変えていま駅頭で、職場で配布しています。と同時に、そういう行動を地方自治体から政府に働きかけさせようということで、区議会への陳情を出そうと準備しているところです。駅頭では一番大きな三軒茶屋、そして京王線なり小田急線なりで週に1回ぐらいずつ取り組み、続々署名が集まったので一万人ほどの署名を出そうと準備しています。これからもご協力をお願いしたいと思っています。

 自治体の関係では、自治体の労働者の中にも「派遣労働者」や「臨時職員」の問題が大きくなっています。そのことも若干報告したいと思います。東京地評が「臨時職員」の関係で取り組みを毎年行なっているんですが、世田谷でも2月のはじめ、都知事選の最中でしたが、世田谷区に申入れを行ないそのことについての回答を期待しながら、自治体を追及するということもやってきました。そもそも自治体と言うのは住民の暮らしを支え、福祉の向上を目指すということが基本になっているんですけども、そういうことで行政事業がますます増えるという中で、自治体は100パーセント出資の公社とかサービス公社とか作りながら、そこに事務員を移していったり、最近ですと第三セクターを作って仕事を全部委託する、またNPOを作らせてそこに業務委託をするというようなことも含めて行なわれ、そういう下で自治体の業務をやってきているわけです。世田谷区では5100人の「正規職」がいるんですが、一方で昨年の4月段階では「非常勤」2634人、「臨時職員」357人。そういう人たちを前提としながら業務が行なわれているわけです。しかもこういう人たちについては、東京の場合は最低賃金の関係で2013年の4月から856円と言うことに軒並みなっています。最低でも900円以上ということで、民間で働く人たちも含めてそういう風になっているにもかかわらずにです。大体一般事務補助と言うことで1週間で28時間、週4日勤務で14万円、あるいは図書館の司書なんかは週15時間で、月8万4000円、飯も食えないような状況にあって、そのことについて自治体の姿勢を問い、安心した生活ができないということで、要請行動なんかをやっています。不安定な「非常勤」や「臨時職員」について言えば、いつでも使い捨ての状況になっています。自治体からも「非正規」労働者を無くしていく、住民サービスの先端を担っている人たちがいるわけですから、「非正規」労働者を少しでも減らして、「正規」労働者の雇用をかちとっていくということで地域でも闘いを強めて行きたいと思っています。あと、地域の取り組みとして解雇争議と言うことで、もう15年になりますが、日本体育大学の准教授の解雇争議を闘っています。そういう取り組みを中心に全労交の下、闘う労働組合を目指して、地域から飛躍をかけてやっていきたいということを申し上げてあいさつを終わります。