Q、私は、昨年末に「雇い止め」をされ、まだ闘いをはじめたばかりですが、先ほど吉岡さんがいろいろ良い点や悪い点を述べていましたが、労働委員会や抗議行動、裁判を駆使して闘って来られていると思うんです。これから争議を始める人に向けて労働委員会ではどんな点を攻めていけばいいのか、抗議行動ではどんな闘い方がいいのか、そのようなことで何かあれば教えていただければと思います。
A、労働組合である以上、団体交渉で、どうしても会社との折り合いがつかなければ、労働委員会を駆使して、「不当労働行為救済命令」をかちとる形でやるべきだと思います。組合ができるのは団体交渉、労働委員会、争議行動ができるわけです。気をつける点では、個人でやった場合は「営業妨害」、「威力業務妨害」という形で違法になるんですが、組合でやっているから認められている。民法上では労使対等とか言っていますが、使用者のほうが立場が強いわけですから弱い立場の労働者を守る法律が無ければ、言ってみたらいまの派遣労働と一緒で、使用者のひどい働かせ方がますます広がってしまうということで規制をかけているんですね、労働法で。だからそういう点で「基準法」とか「組合法」とか駆使して闘うことができるのは組合だからで、できることだったら労働組合として取り組むべきだと思います。気をつけるべきは労働組合だからと言って何でもかんでも難癖つけていい訳ではなく、ビラひとつ書くにしても、その点は気をつけないといけない。こっちが間違いを犯してなくて、向こうがおかしなことをしてきた場合は、正しいことを言い続けていたら必ず相手はボロを出してくる。いろんな労働争議を見てきましたが、そういうことがあるので、ボロを出してきたところを攻め立てると言う形でいったらいいんじゃないかなと思います。
Q、20年ほど前に日本航空で客室乗務員への攻撃があり、契約制の客室乗務員導入に反対して、すべて「正規職員」にするべきと原則的な主張をしていた。当時、「連合」も全労連も労働弁護士もほとんど取り上げていなかったと思います。そういう問題について、今後どのように突破していくべきか。
A、ひとつひとつの職場を見てみると「非正規」「正規」が分断されている実情があると思います。ひとつのいい実例をあげると、全労連系組合で、この組合では、ある会社で「派遣」を入れようとしたときがあって「派遣」を入れさせないようにしているんですが、派遣労働者がいたときに全員「正規従業員」にしたという組合なんですが、その派遣労働者で働いていた若者が、自分は束縛されるのがいやだから派遣のままでいいと、そのとき組合の関係者が言ったのは、君1人のために全従業員の労働条件が下がる。そういうことなら会社辞めてもらっても構わない、と。多分これが本来の組合のあるべき姿だと思うんです。派遣労働者を一人でも入れたら、同じ仕事をしているのに半分の給料で働いていたら、会社は使いがってのいいほうをさらに増やそうとする。一回悪いものを入れたら、だめになってしまうわけです。本来の労働運動というのは、制度があったとしても入れるべきじゃないということで闘うことが労働組合のあるべき姿で、そういう運動にもっていける、もって行くのはかなり難しいと思うが、きちんと問題意識を持った人が組合の責任者としてやっているところはちゃんとできるのかなと思います。労働弁護士ですが、オリンパスの弁護士、いまは弁護士ではないですが、何があったかというと、これも自分の話と似ているんですが、本人が承諾していないのに会社側に全面降伏するような形の文書を裁判所に出したという経過がある。自分が弁護士に支配されるんじゃなくて、自分が主体となって法律の勉強もして、弁護士に提案しないといけない。結局は自分の問題。ただ、相当しんどいなとは思います。地道にやるしかない。周辺住民とかの方に理解してもらうようなビラをまいていくそれで組合を強くしていく、周辺の人を巻き込むような運動ができないか自分でも模索しているところです。
Q、吉岡さんの闘いを今後多くの人に伝えたいと思いますが、吉岡さんもそうでしたが、いまの労働組合がわからないという若い人にどのようにしてこれから伝えていったらいいのか、吉岡さんの考えを教えてほしい。
A,若者の将来、まともな働き口があるのかなと漠然とした不安はあると思います。労働組合とかの存在をどう知らせていくか、これは地道にやるしかないと思います。東京東部労組とかは地道にがんばっていると思います。知識も豊富にしていかないといけない。努力して勉強してそこから信用が生まれてくると思います。あとは、地道にやって、インターネット駆使して、宣伝をどう打つか、そういうことだと思います。