全国寄せ場で盛大に夏祭り
8・13~15山谷・夏祭りの大成功をかちとる
東京・山谷日雇労働組合
東京都特別就労対策事業では、城北労働・福祉センター(以下センター)を紹介窓口として出してきた仕事数が3年連続で削減されてきている。東京都産業労働局は、この特就予算の一部を使って、昨年10月から「継続就労支援事業」なるものを始めている。この「継続就労支援」は約2ヵ月の40日間、連続勤務が就労希望者に義務付けられている。そのため現金日払いの仕事を中心に、複数の業者を相手に仕事を見つけて働く大多数の山谷労働者は応募することもできない代物なのだ。
東京・山谷日雇労働組合と山谷労働者は山谷・夏祭りの準備の過程でも、「仕事よこせ」の闘いを緩めることなく活動した。7月29日、東京都の福祉保健局生活福祉部山谷対策係、産業労働局雇用就業部就業推進課との団体交渉を闘いぬいたのだ。交渉では、①就労問題―仕事を増やせ、雇用保険未加入事業主への加入を義務付けろ、特就の仕事で出される弁当の質を改善しろ、②センターの運営と利用に関して―就労希望者・援護希望者の切り捨てをやめろ、娯楽室を休日も開放しろと、要求書を突きつけて追及していった。
一方、夏祭りの成功をかちとるべく、運営資金づくりのための活動を7月始めから開始した。街頭においては広く労働者人民にカンパを訴え、また設備・資材・車両・発電機など夏祭りで使用する物品の提供を、団体・個人に対して要請した。
8月13日から15日の3日間、東京・山谷の玉姫公園で山谷・夏祭りの大成功をかちとった。お盆休みで現場・飯場が休みとなるこの時期、収入もなく、野宿を強いられる仲間が急増する。東京・山日労と山谷労働者は、山谷・玉姫公園を拠点に、アブレと野たれ死に攻撃をはねかえし、仲間の命は仲間の団結で守るべく夏祭りを今年もやりぬいた。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、大型公共工事の受注が今後5年間は継続するといわれている。また一般の建設投資の拡大も予想されて、ゼネコンや国土交通省などは2020年まで、労働力不足対策のために、外国人労働者の導入で乗り切りを図ろうとしている。またもや外国人労働者の使い捨てで建設資本は肥え太ろうとしているのだ。さらに急増する建設需要の最中、安全対策がズサンな結果、労災事故が多発している。今年上半期では建設業での労災事故による死亡者は159人となっており、建設資本の利潤追求のツケが労働者の犠牲によってあがなわれているのだ。
建設業界での「労働力不足」状況とはほとんど関係なく、山谷ではデズラもあがらず、求人数はほとんどゼロという有様だ。上野職安・玉姫労働出張所(玉姫職安)では7月の民間求人件数はわずか85人分だけにすぎない。賃金の面でも、玉姫職安にトビ・土工の求人を出す一業者がこれまでのデズラ額、一日1万2500円をわずか500円あげたにすぎない。このように相変わらず恒常的なアブレ(失業)地獄が山谷労働者を襲っているのだ。学校など臨時の改修工事などの現場、また大雨・洪水に伴う災害復旧関連の土木作業など夏の時期に出てくる臨時の仕事でも、近年はそうした求人も寄せ場にはほとんど皆無となってきている。
開会の集会では、基調に続いて大阪・釜ヶ崎、福岡・築港、沖縄・首里の各寄せ場からの連帯アピールが紹介され、東京都地域連合労働組合、神奈川県地域連合労働組合、明治大学社会思想研究会が発言した。
開会の集会を終え、恒例のゲームが始まる。8月13日は、ビール早飲み、綱引き競争、14日にはあいにくの雨でゲーム・カラオケは中止になったが、15日にはスイカ割りと綱引き競争がそれぞれ行なわれた。ゲームの後には、カラオケ大会で仲間が自慢のノドを披露する。ゲームの後には、13日は「山谷(やま) やられたらやりかえせ」の上映、14日には雨にもかかわらず、「山日労・軽音楽部」、「東京大衆歌謡楽団」が歌と演奏を披露し、15日には寸劇「人生、山あり谷あり」が演じられた。さらにその後は、盆踊りで締めくくりとなる。太鼓のパフォーマンスで華麗なバチさばきを見せる叩き手にあわせ、「山谷の玉三郎」が先頭で踊ると、その後には労働者が続々と踊りの輪に加わった。
今年の夏祭りでは、雨となった14日も炊き出しをやりきり、3日間で約1000食分の炊き出しを仲間たちに提供した。