世界の労働運動
ストライキ、道路封鎖で闘うブラジル労働者
「新興市場国(BRICs」の一つに数えられるブラジルで、1月~2月に自動車産業労働者が整理解雇反対を掲げた高速道路占拠デモとストライキを闘い、2月~3月にはトラック運転労働者がデーィゼル燃料価格引き下げを要求して国内11州で街道封鎖を闘っている。
1月12日、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、フォードなどの多国籍自動車メーカーの労働者3万人がブラジルのサンパウロ市郊外の高速道路で高速道路占拠デモを闘った。「新興市場国」・ブラジルは、アメリカの「量的金融緩和」の停止を受け、流入していた資金が引き揚げられ、国内需要全般が下落し、自動車の国内需要は7パーセントも下落している。こうした中で、自動車メーカーは、整理解雇を乱発している。昨年8月にゼネラルモータースは、900人以上を「大量解雇を避ける措置」と称して5ヵ月間にも及ぶ「一時解雇」と停職を強行し、メルセデス・ベンツは、1万1000人の労働者のうち1000人を解雇し、フォルクスワーゲンは、800人を解雇した。ブラジルの自動車製造産業協会によれば、自動車産業で働く労働者の数は2013年の15万6970人から2014年には14万4632人と1万人以上減っているという。1月12日の「3万人高速道路占拠デモ」は、フォルクスワーゲン労働者1万3000人の10日間ストライキ、1月8日のメルセデス・ベンツ労働者1万人の24時間ストライキがさらに拡大したものとして、ストライキには至らなかったフォード労働者も合流して闘われたものだ。さらに、2月25日にはサンパウロのゼネラルモータースの労働者5200人が労働時間カットや800人の解雇に対決するストライキを闘っている。一連の闘いによって、フォルクスワーゲンは、800人の解雇を撤回した。闘いの成果だ。ブラジルの自動車産業の生産高は全ブラジルの生産高の4分の1を占め、世界第5位の規模だ。ブラジル・ルセフ政府(労働者党=PT)は、昨年の大統領選挙の前に自動車産業が打撃を受けたことに対し、 低利の融資と税金減免などの措置を導入する方式でこの産業を支援していた。しかし二期発足後、新しい経済政策チームは財政赤字を減らすために支援措置を撤回した。ブラジルの自動車産業労働者の闘いがさらに拡大するのは必至だ。
トラック運転労働者も闘いぬいている。2月23日以降、ディーゼル燃料の価格高騰に抗議するトラック運転手らが街道の封鎖を1週間以上続け、一時はその規模が国内11州に達した。要求は、ディーゼル燃料価格と高速道路料金の引き下げ、貨物運送料金の標準化などだ。これに対してルセフ政府は、闘いを弾圧するために、国道の封鎖に関して1時間当たり1万レアル(約40万円)の罰金を定め、道路封鎖を強制解除するために警察による催涙弾使用で応じている。だがトラック運転労働者は、これに屈することなく、封鎖対象を国道から州道に変更して、粘り強い闘いを貫徹している。
「サッカーワールドカップ」の騒ぎの背後では実力で要求をかちとるブラジル労働運動の闘いが前進していたのだ。