5・9「ノーモア尼崎事故 生命と安全を守る集会」とデモ

  安全無視の公共交通合理化との対決を確認した集会
  安全無視の公共交通合理化との対決を確認した集会

5・9「ノーモアJR尼崎事故 生命と安全を守る集会」とデモ


 2005年4月25日、107人の命を奪い562人の負傷者を出した「JR尼崎脱線事故」が発生し、今年で10ヵ年を迎えた。

 5月9日、「ノーモア尼崎事故、いのちと安全を守る集会実行委員会」主催で、尼崎での集会と事故現場への追悼デモ・献花行動が取り組まれた。

 午後2時から、JR尼崎駅のすぐ近くにある尼崎・小田公民館ホールで約80人の闘う労働者の結集で集会が開始される。

 国労兵庫地区本部の有田修氏が開会のあいさつを行ない、続いて呼びかけ人の「闘う国労闘争団を支援する京都の会」の野坂昭生氏が主催者あいさつを行なった。野坂氏は、「国労の分割・民営化によって儲けを最優先とし安全をないがしろにしたため尼崎事故が起きた。原発事故も根っこは一緒である」「安倍首相は、企業が世界一活動しやすいようにするんだと言っている。自衛隊の『集団的自衛権の行使』を閣議決定し、憲法改悪へと向かっている」「韓国労働者の民営化に対する闘い、今後の韓国労働運動についての報告を受けていく」「資本の思いのままの社会を少しでも変えていける社会を目指していきましょう」と述べる。

 続いて、尼崎事故被害者遺族・藤崎光子氏の発言をうける。藤崎氏は、「分割・民営化は闘う労働組合潰し、闘う労働者の弾圧であった。それがあって軍国主義へむかう安倍内閣が生まれた」「安全無視し利益優先にする、公共交通としてあってはならない」「裁判では全て敗訴になったが、やったんだという思いがある」「最高裁はどうなるか分からないが最後まで希望を捨てないようにしている」と思いを語る。

 基調提起が国労近畿地本の山脇氏より行なわれる。「JR西日本は51530人で新会社を発足させたが、2014年4月時点で半数以下にまで人員削減を強行した。そして一昨年、『新たな中期計画』を掲げ、更なる大合理化を始めた」「それは、(1)『儲ける』スローガンの復活、(2)社員への『増収活動』の強要、(3)『契約社員』等『非正規』労働者の拡大。現在近畿圏で約2200人、(4)駅窓口閉鎖や無人化・営業時間の短縮、(5)運転士の『日勤教育』や労務管理の強化、(6)保線・電気職場の見張りや点検業務の省略・外注化、などである」「効率化という名の合理化で社員数も国鉄時代の半分以下。40歳代不在のいびつな年齢構成で技術継承も深刻。重要な検査業務はグループ会社などに外注化され、そこでも長時間過密労働とサービス残業が蔓延している」。

 「KTXの分割・民営化反対! 23日スト弾圧と闘う韓国鉄道労働者」の記録映像が上映される。来日中の崔殷哲氏(前・韓国鉄道労組事務総長)、羅判洙氏(現・韓国鉄道労組労働安全局長)が紹介され、崔殷哲氏が代表して発言に起つ。「23日間に及ぶ民営化反対のストライキは公共性を維持しようという、国民の意思のあらわれであった」「組合への弾圧、強制配転、懲戒解雇、停職、減給、組合や個人への損害賠償請求などの報復弾圧がかけられている」。

 続いて、各団体・労働者からの報告として、「JAL不当解雇撤回裁判原告団」、JR労働者(国労大阪)、郵政産業労働者ユニオンの発言が行なわれ、集会の最後に、主催者からの力強いまとめの発言で集会は締めくくられた。

 午後4時30分、事故現場への追悼デモが開始される。デモ後、当時の傷跡がまだ部分的に生々しく残る事故現場のすぐ横で、デモ参加者による献花行動が行なわれた。参加者は、「二度と事故を起こさせない。生命と安全を守るため闘っていく」という決意を固め、この日の行動を終えた。

                                    〈反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会〉