「乾坤一擲」

「乾坤一擲」(けんこんいってき) 


 8月14日、安倍が「戦後70年談話」を発表した。「談話」は、「私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます」と言っている。だが、「力による打開」が何を指しているのか不明である。▼この「談話」には主語がない。「植民地支配」といった文言を使い、「従軍慰安婦」をめぐっては、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」なぞと言っている。だが、「誰がやったのか」という主語は意図的に避けている。天皇制ファシズム下の日本帝国主義がやったとは決して言わないのだ。▼「謝罪」や「おわび」であれば、「自分がなにをやったか」を明確にしないことはありえない。つまり、安倍は、「談話」で「侵略」、「植民地支配」、「従軍慰安婦」の歴史と事実に居直ることを宣言したのだ。▼また、「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」なぞという安倍の歴史観は、侵略戦争の正当化そのものだ。そして、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と言い、居直りと正当化を煽動している。▼結局、「談話」は、「積極的平和主義」の名の下に「安保法制関連法」案=「戦争法」案制定を正当化することを目的としたものにほかならない。「戦争法」案ともども「談話」を粉砕しなければならない。(木村)