特集「安保法制関連法」
東京・山谷日雇労働組合
東京・山谷日雇労働組合は、闘う仲間たちとともに、7月15日、16日と「安保法制関連法」案衆院採決阻止闘争を連続して闘いぬいた。
7・15衆院特別委員会採決
15日午前9時、国会前に到着した仲間たちは、青ヘルメット、ゼッケンを装着し、横断幕を先頭にして衆院への進撃を開始する、大半の勢力が議会内野党の尻押しを目的にし、攻防の焦点である衆院ではなく国会正門前でのカンパニアに終始する状況のなか、あくまで労働者階級人民の実力決起による「安保法制関連法」案粉砕、党利党略で腐臭を極める反革命翼賛国会粉砕にむけた進撃だ。実力闘争部隊の登場を想定していなかった警視庁機動隊は、実力闘争部隊の登場を見ても何が起こったのか分からず、公安デカによって指示されてやっと動き出すというありさまだ。実力闘争部隊を規制しようにも「想定外の事態」に直面した反革命治安部隊は、部隊の体をなしていない。やっと闘う部隊の前に到着し、公安デカに指示されて闘う部隊の進路を二重三重に塞ぎ、弾圧を画策するが、闘う部隊はこれを一蹴し、「『安保法制関連法』案を粉砕するぞ!」「反革命翼賛国会を粉砕するぞ!」とシュプレヒコールを叩きつける。
第一弾の闘いを貫徹した部隊は、つづいて第二弾の闘いを衆院前で開始する。衆院第二議員会館前の歩道に布陣した部隊は、安倍が民主、維新などの翼賛「野党」を取り込みつつ「安保法制関連法」案を衆院特別委員会で強行採決を強行することを阻止する闘いに突入する。部隊全体が衆院に対して「『安保法制関連法』案を粉砕するぞ!」「反革命翼賛国会を粉砕するぞ!」とシュプレヒコールを叩きつける。採決阻止の決意に燃えた闘う部隊の臨機応変な展開に対して公安デカや警視庁機動隊は一指も触れることができす、ただ指をくわえて遠くから見ているほかはない。「『戦争法』案=『安保法制関連法』案を葬り去るのは労働者人民の実力決起以外ない。議会に期待するものはなにもない。」「安倍は『審議は尽くした』『理解は深まった』と称して強行採決を正当化しようとしているが、『116時間もかけた』と強弁する審議時間は安倍のウソと論理破綻で埋め尽くされている」「憲法学者からの『違憲』批判に対して『政治家の責任』を対置して反批判しているが、これ自体安倍が『憲法なぞどうでもいい』『目的は戦時国家体制形成だ』と自認しているに等しい」「中東反革命戦争に参戦し、朝鮮反革命戦争に突入することを目的とした『安保法制関連法』案を粉砕しよう」「対案の提出で安倍の採決強行を『後方支援』しているのが民主や維新などの翼賛野党だ。薄汚い党利党略にまみれた反革命翼賛国会は粉砕あるのみだ」「60年安保闘争は国会突入の闘いで日米安保粉砕を闘いぬこうとした。われわれはその闘いの地平を後退させてはならない。労働者階級人民の実力闘争を爆発させ、『安保法制関連法』案を葬り去ろう」。熱烈なアジテーションに部隊全体が「異議なし!」の声で応じる。部隊の闘う決意はさらに高まる。闘う部隊は用意したビラを衆院前に結集した労働者人民に配りつつ断続的にシュプレヒコールとアジテーションを繰り返す。
午後〇時25分、特別委員会での採決強行の第一報が入る。闘う部隊はただちに弾劾のシュプレヒコールを上げる。衆院特別委員会は締め括りの質疑を行ない、自民・公明は質疑を打ち切って与党単独で採決を強行した。闘う部隊は徹底的に弾劾を叩きつけ、翌16日の衆院本会議での採決阻止の決意を固めていった。
7・16衆院本会議採決
7月16日も闘う仲間たちは、「安保法制関連法」案粉砕、反革命翼賛国会粉砕の実力決起を貫徹した。青ヘルメットでの衆院への実力進撃戦を追求した後、衆院前に布陣した闘う部隊は本会議採決阻止の決意に燃え、シュプレヒコールとアジテーションを繰り返し、労働者階級人民の実力決起による「安保法制関連法」案粉砕の闘いを呼びかけた。15日段階から安倍が本会議採決を16日の昼過ぎに狙っていることが分かっていたが、カンパニアに終始する勢力は、夕方過ぎを「最大動員」と設定している。「安保法制関連法」案可決の阻止が目的ではなく、抗議を目的としたものだ。こんなものは「60年安保闘争」の地平を後退させるものでしかない。中東労働者人民の虐殺に日帝が加担し、朝鮮労働者人民の虐殺に手を染めようとすることに対して、闘いの方針は実力阻止以外にはない。腐臭にまみれた翼賛野党に期待を寄せ、「野党ガンバレ」の声援を送り、可決後に抗議するなぞ、闘いの勝敗は〝二の次〟にした「動員のための動員」=カンパニアでしかない。こういった「闘い」の結末は、議会内政党が労働者人民の怒りと闘いを物理力として利用するという結果に行き着くのが歴史の教訓だ。闘う部隊は、こういった傾向を突破して労働者人民の荒々しい実力決起を実現するべく闘いに決起したのだ。
衆院前に布陣し、断続的にシュプレヒコールとアジテーションを行う部隊に午後1時過ぎに衆院本会議での採決強行の報が入る。闘う部隊は怒りも新たに弾劾のシュプレヒコールを叩きつける。衆院本会議では自民、公明が賛成討論を行ない、民主、維新、共産が反対討論を行なった。採決では自民、公明、「次世代の党」が賛成し、民主、共産、社民は討論後に退席、維新は自らが提出した対案の採決後に退席、「生活の党と山本太郎となかまたち」は本会議を欠席した。翼賛政党がやったことは安倍の採決強行の道を掃き清めただけだ。
「60日ルール」をもっての「安保法制関連法」成立の狙い
安部極右政府が5月14日に閣議決定し、5月26日から開始した「安保法制関連法」案の審議は、およそ審議とは言いがたいものであった。安倍の答弁は、審議時間を稼ぐだけが目的の、クロをシロと言いくるめる詭弁と強弁だけだ。「戦争」を「平和」と称し、武力行使を「安全」と呼ぶ。戦争法案を戦争法案と言ったら「レッテル貼りだ」、「無責任だ」、「恥ずかしい」と口を極めてののしる。自衛隊を世界規模で展開させ、最前線の戦場に送って「殺し殺される」関係のただなかに置いても、「自衛隊員のリスクは高まることはない」(防衛相・中谷)と平然とウソをつく。「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と結論づけた1972年の「政府見解」の一部の文言を取り出して、真逆の結論である「集団的自衛権の行使」の論拠にする。こんな論理的破壊をやっても、「これまでの憲法解釈との論理的整合性と法的安定性は保たれている」とぬけぬけと言い放つ。「集団的自衛権の行使を可能にする法案は憲法違反だ」という多くの憲法学者たちの指摘には「国際情勢に目をつぶり、従来の解釈に固執するのは政治家の責任の放棄だ」なぞと「政治家の責任」で「反論」ならざる「居直り」をやってみたり、「個別的自衛権」しか問題にしていなかった最高裁の「砂川判決」の文言を勝手に拝借してきて「合憲」の根拠にするという具合だ。
「憲法解釈の変更」の是非についても安倍は、「その時々の内閣が、必要な自衛の措置とは何かを考えるのは当然だ」と強弁している。「その時々の内閣」が勝手に憲法解釈を変更し、内閣の裁量や判断で勝手に戦争を始めていいなら、「立憲主義」は死ぬ。安倍がやろうとしているのは、憲法9条の破壊であるだけでなく、憲法そのものの破壊だ。安倍にとってすべてが「集団的自衛権の行使ありき」、「戦時国家体制形成のため」であるが故に、「立憲主義」なぞ「どうでもいい」ものとなり、結局は「安全保障環境の変化」を「集団的自衛権行使」の理由とし、「政府が総合的に判断して」「存立危機事態」「重要影響事態」なる規定をこじつけて自衛隊を世界中に殺戮部隊として派兵することが目的なのだから、論理性も客観性もない、はじめから「戦争屋」にだけしか理解できない理屈しかないのだ。安倍自身がこんな状態だからその〝取り巻き〟連中からも「『安保法制関連法』に法的安定性は必要ない」なぞというウルトラな発言も出る始末だ。安倍が口にする「法治主義」や「国際協調」なぞ、本音ではまったく考えておらず、結局「私が首相だ。私が決める」という独裁者ばりの手法で「安保法制関連法」=「戦争法」を制定しようということなのだ。
安倍は〝戦後最長の95日間延長〟を衆院で議決し、9月27日までの会期中に「安保法制関連法」を成立させるために、衆院での可決から参院送付後60日以内に採決されない場合、衆院の出席議員の3分の2で再可決できる憲法の「60日ルール」の適用を狙っている。7月16日の衆院可決強行によって、9月14日以降は「60日ルール」の適用が可能となる。安倍は「審議を尽くす」「理解を深める」などと言っているが、一方では「支持率が落ちてもやるときはやる」と豪語している。「審議が尽くされ」「理解が深まる」のであれば、支持率が落ちることなぞないはずだ。安倍の本音は「9月14日までは『審議を尽くした』『理解を深めた』というポーズを取るだけの期間だ」ということであり、最後は「60日ルール」による衆院での再可決―成立を狙っているということだ。また、安倍は「安保法制関連法」制定を強行するために、名護新基地建設の1ヵ月間の作業停止=「休戦」を言い出している。名護新基地建設の中止ではなく「一時停止」表明の狙いは、名護新基地建設強行への労働者人民の怒りと「安保法制関連法」成立強行への怒りが相乗的に拡大することをペテンを弄して鎮静化しようという魂胆だ。こんな子供だましの手法にまですがりつかねばならないほどに安倍は労働者人民の怒りと闘いによって追いつめられているということだ。
闘いの勝敗は、この1ヵ月余りをどう闘うかにかかっている。「60日ルール」をもっての「安保法制関連法」成立を阻止する労働者人民の実力決起を総力で組織し、反革命翼賛国会粉砕闘争の最先頭で闘いぬこう。