6・19「労働者派遣法」改悪案の衆院採決阻止の対国会闘争
東京都地域連合労働組合
「労働者派遣法」改悪絶対阻止
6月19日、東京都地域連合労働組合、神奈川県地域連合労働組合、東京・山谷日雇労働組合は、闘う仲間たちともに、「連合」、全労連がアリバイ的な登場さえも放棄するなか、「労働者派遣法」改悪案の衆議院採決を阻止する対国会闘争を闘いぬいた。
安倍極右政府が3月13日に上程した「労働者派遣法」改悪案は、「派遣期間制限」を業務単位から人単位に変更したうえで、これまで「派遣期間制限」の対象外になっていた秘書、通訳などの「専門26業務」の区分を廃止し、すべての派遣業務について「派遣期間制限」を3年とすること、民主党政権時代の2012年改悪で新設した「労働契約申し込み見なし制度」を無効化することを主眼としている。 この改悪によって、資本はあらゆる業務で人さえ入れ替えさえすれば永久的に派遣労働を利用できるようになる。派遣労働者にとっては、企業が3年ごとに業務を替えることによって連続的に「物品」扱いの派遣労働(=「生涯派遣」)を強制されるか、3年ごとの「派遣切り」によって失業を強制される。さらに、「労働契約申し込み見なし制度」は、資本の意を汲んだ2012年からの3年間の猶予期間を経て、今年10〇月1日施行予定であったが、今回の改悪によって廃止される。これまでさまざまな違法派遣を「やり放題」にしてきた資本は「直接雇用」の義務から逃れ、これまでの原則1年・最長3年の「派遣制限期間」を超えて派遣労働に就いてきた派遣労働者は派遣先企業への「直接雇用」の道が閉ざされる。
このように今回の改悪は、安倍極右政府が派遣労働の永久的利用で利益を確保しようとする資本と、派遣労働の拡大によって利益を拡大しようとする派遣業資本の要請に応えようとする労働法制の大改悪攻撃だ。資本が今回の改悪を機に、正社員を削減し、派遣労働者に切り替えて「九割非正規化」攻撃を強めるのは火を見るより明らかだ。また、「規制改革論者」の竹中平蔵が会長に就いている「パソナ」をはじめとする派遣業界は、「今回の改正で自由に派遣労働を利用できるようになる」なぞと言い、正社員から派遣社員への切り替えを煽動している。安倍はこの悪辣な攻撃を隠蔽するために、「今回の改正案は、派遣労働の道を選ぶ人には待遇を改善し、正社員の道を希望する人には道を開いていくためのものだ」なぞと言っている。だが、安倍が「(派遣労働者の)雇用安定措置」と強弁しているものは、何の実効性もないシロモノだ。それは「3年働いたら派遣会社に①派遣先に直接雇用を依頼、②次の派遣先を紹介、③自社で無期雇用などの『雇用安定措置』を義務づける」というものだが、「直接雇用の依頼」は、派遣元の依頼を派遣先が拒否すればそれで終わりであり、「次の派遣先の紹介」も、紹介さえすれば次の派遣先が決まるかどうかは問われないものであり、「派遣会社での無期雇用」も、派遣会社は今でも平然と「無給の自宅待機」を「無期雇用」と強弁しているありさまであり、何一つ実効性はないのだ。
翼賛政党と「連合」の茶番を許すな
この「労働者派遣法」改悪攻撃に対して、反革命国会の翼賛政党は安倍と日帝資本の意向を実現するために、派遣労働者をはじめとする「非正規雇用」労働者の怒りや要求を踏みにじり、陰に陽に党利党略をめぐらせた。民主党は支持基盤の「連合」が「非正規問題にも取り組んでいる」というアリバイ作りのために動いた。「連合」は6月12日の衆院厚生労働委員会での採決―本会議採決に対して「反対行動によって採決を阻止した」というアリバイ作りで「反対運動」を集約―幕引きしようとして、「国会前座り込み」―「日比谷野音集会」・デモを設定した。これに対応して民主党は厚生労働委員会理事会で「12日採決」には反対し、1週間後の「19日採決」に同意することで与党と「手打ち」した。さらに、民主党・維新の党・生活の党は、「労働者派遣法」改悪案の悪辣さを隠蔽するための「イチジクの葉」として「同一労働・同一賃金推進法案」なる議員立法を進めていたが、「大阪都構想」住民投票での敗北―橋下の引退表明で分裂の危機に直面した維新の党が自民にすり寄ることで延命しようと考え、自民・公明との三党修正案に鞍替えした。
闘う部隊は、このような翼賛政党の腐臭極まる党利党略、帝国主義労働運動・「連合」の「非正規問題にも取り組んでいる」というアリバイ作りを許さず、「直接雇用」「無期限雇用」の原則を資本に強制し、「労働者派遣法」を撤廃する決意を全身にみなぎらせて国会前に登場した。
午前9時、国会前に到着した闘う部隊を阻止しようと駅改札出口に警視庁公安デカが待ち構えているが、部隊の気迫に圧倒されて一指も触れることができない。「『労働者派遣法』改悪阻止!」と大書した横断幕を先頭にし、闘う部隊は、衆議院前に布陣する。委員会採決―本会議採決が強行されようとしているにもかかわらず、対国会闘争を闘う勢力はわれわれのみだ。布陣と同時に闘う部隊は、シュプレヒコールを衆院に叩きつけ、アジテーションを轟かせる。午前10時過ぎ、厚生労働委員会での採決が強行されたという報がもたらされ、午後1時40分、本会議で採決が強行されたという報がもたらされる。闘う部隊は怒りを倍化して弾劾のシュプレヒコールを叩きつける。18日の厚生労働委員会理事会で民主党は19日の委員会採決に同意し、委員会採決時には「反対」、本会議採決時には退席した。「12日採決を阻止した」という「連合」のアリバイ作りができたから、後は「ポーズだけとればいい」ということだ。「連合」は9日と同様に「雨天」を理由にしたのかどうかは不明だが、「採決阻止の国会前行動」は放棄し、採決が強行された後に「弾劾行動」の写真を撮るためだけに国会前に現れただけだ。