乾坤一擲(けんこんいってき)
全労交に結集する労働者は、闘う仲間の呼びかけに応え、9月8日―9日、11日に「労働者派遣法」改悪阻止の対国会闘争、9月11日、16日~19日に「安保法制関連法」案成立阻止の最終決戦を、「反革命翼賛国会粉砕」の基調の下に闘いぬいた。▼1985年に制定された「労働者派遣法」は、「職業安定法44条」で規定する「偽装請負」状態を合法化するために制定され、以来、派遣労働者を資本が要求する「使い捨て自由の労働力」として拡大するために繰り返し改悪されてきた。しかし、今回の改悪で決定的なのは、これまで「労働者派遣法」が派遣労働をあくまで「一時的、臨時的な業務」に限定し、「正社員」を派遣労働者に置き換えることを禁止する「常用代替防止原則」を維持してきたことを最終的に解体することを目的にしていることだ。これによって、資本が「正社員」を派遣労働者に置き換え、「生涯非正規化」―「九割非正規化」攻撃が強まるのは必至だ。▼9月8日の参院厚生労働委員会採決、9日の参院本会議採決、11日の衆院本会議での「修正採決」を阻止する対国会闘争の現場に「連合」、全労連の姿はまったくなかった。「連合」は、民主党に与党とのボス交で「6月12日の衆院厚生労働委員会―本会議採決を阻止した」という茶番劇を演じさせ、「『連合』は、『非正規』問題にも取り組んでいる」というアリバイを作ったとしてすでに幕引きをしていた。全労連は、完全に闘争放棄だ。▼「安保法制関連法」案=「戦争法」案をめぐった最終決戦は、9月11日の対国会実力進撃デモ、16日から19日までの参院前を制圧した採決阻止闘争として連続して闘われた。9月18日には、闘う仲間の呼びかけに応えて陸上自衛隊東富士演習場での在沖米海兵隊による実弾砲撃移転演習阻止闘争を闘った労働者の部隊が参院前で「戦争法」強行採決阻止を闘う部隊と合流し、19日午前2時18分の参院本会議での強行採決までスクラムを組み、機動隊の阻止線と対峙して闘いぬかれた。▼9月16日に闘う部隊が参院前に登場すると、「野党ガンバレ」「平和国家を守ろう」なぞという度し難い議会主義、国民主義のコールを繰り返し、「ヘルメット、ゲバ棒は要らない」「警察とも仲良くやる」なぞと平然と言い放ち、「〝専守防衛〟の自衛隊、民主警察を守れ」と繰り返すカンパニアだけが目的の「シールズ」に嫌気がさした労働者人民が国会正門から攻防の焦点である参院前に移動してきて、実力闘争を基調とする部隊の登場に注目し、共感が広がった。▼「戦争法」に沿った自衛隊の実戦軍化が、「法」案成立前から激しく進められている。「日本版海兵隊」=「水陸機動団」に再編される陸自部隊は、水陸両用車やオスプレイを使い、朝鮮半島上陸訓練を米軍と一体となって強行しているのである。「戦争法」制定をもって戦時国家体制を構築する攻撃を粉砕する闘いは、議会内の攻防で決着が付くわけではない。自衛隊の南スーダンへの「国連平和維持活動」(PKO)派兵、ソマリア沖への陸・海・空三自衛隊派兵、在沖米海兵隊の実弾砲撃―「本土」移転演習に対して一つ残らず対決してきた仲間たちが東富士闘争を貫徹し、「戦争法」採決阻止の国会前攻防に合流したことは決定的に重要だ。▼「国民の理解は不十分でも採決する」「時が経てば間違いなく理解は広がっていく」という安倍の言葉に、「戦争法」をめぐる国会審議が内容抜きの「時間稼ぎ」とアリバイ作りでしかなかったことが示されている。「60日ルール」の適用が可能となる9月14日を前にして、安倍は拡大し続ける労働者人民の「戦争法」阻止の決起に対して「いつまでも国会デモに翻弄されたくない」と本音を漏らした。安倍の唯一の関心事は、国会を包囲する労働者人民の闘いが「野党ガンバレ」なぞという議会主義、国民主義を超えて「反革命翼賛国会粉砕」の実力闘争として爆発することだったのだ。▼解釈改憲で「集団的自衛権の行使」を合憲とし、ウソとペテンに満ちた国会答弁で「戦争法」案を成立させた安倍は、今度はこの「戦争法」を盾にして自衛隊の実戦軍化に拍車をかけ、解釈改憲につづく「本丸」の本格的改憲に突き進もうとしている。「戦争法」成立の翌日には南スーダンにPKO派兵している陸自部隊の「「武器使用基準」を緩和し、「駆け付け警護」の新たな任務を追加することを表明した。11月にフランスで起きた武装襲撃事件を利用して憲法に「緊急事態条項」を盛り込み、自衛隊の最高指揮権者である首相・安倍が「非常事態宣言」を発し、労働者人民のストライキ、集会・デモなどの一切の権利行使を禁じる体制を可能にすることを狙っている。▼2016年は、「戦争法」制定をもって戦時国家体制を形成する攻撃と全面対決する年となる。革命的労働運動を解体し、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動で日本労働運動を制圧する攻撃を打ち砕く闘いを、全労交が先頭に起って闘わねばならない。 (木村)