世界の労働運動
労働法制改悪阻止へ4月ゼネストを準備する韓国労働運動
韓国では、民主労総が朴槿恵政権が狙う労働法制改悪阻止にむけて4月ゼネストを準備している。3月8日には、民主労総公共運輸労組公務職本部が「4月ゼネストおよび総選挙実践団」を発足させた。
朴槿恵政権は、昨年末に労働関連五法(「勤労基準法」「期間制労働者法」「派遣労働者法」「雇用保険法」「労災法」)の強行採決を狙っていた。だが、9月に上程していた五法案は、民主労総の数次にわたるゼネスト決起によって環境労働委員会での審議を行なうことができないまま通常国会の会期を終えた。
朴槿恵は、新年の談話と記者会見で有期雇用の期間を延長する「期間制労働者法」を後回しにして「派遣労働者法」など四法案を至急通過させて欲しいと訴えた。「派遣労働者法」改悪案は、現行の「派遣法」で禁じられている製造業をはじめ、派遣が可能な業務を大幅に広げるという内容だ。韓国では、不法な派遣や請負が蔓延している。早く不法派遣を「合法化」しなければ、裁判で使用者側が敗訴するケースが続出しかねないと朴槿恵は危惧しているのだ。
労働法制改悪の攻撃は四法案だけにとどまらない。1月22日には、雇用労働部長官が仕事の成果が低い労働者を解雇できるようにする「一般解雇制度」の導入と「賃金ピーク制」(雇用を保証するする代わりに一定の年齢以降は賃金を引き下げる)の導入について、労働組合が協議を拒否し、同意しない場合、「社会通念上の合理性」に基づき、就業規則変更の効力を判断できるようにするという「二大指針」を発表した。
これらに対して、民主労総は、ゼネスト臨戦態勢を取り続け、動きがあれば即刻ゼネストに突入し、闘争で法案を粉砕すると宣言した。韓国労総は、昨年9月に、「経済発展労使政委員会(労使政委員会)」で合意した労働市場改革をめぐる合意を破棄すると発表し、「労使政委員会」への不参加を表明している。
韓国では、野党の協力(野党の5分の3以上の賛成)がなければ法案の上程ができないと規定する「国会先進化法」が存在する。朴槿恵は、野党を引き付けるために、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「水爆実験」を取り上げて危機感を煽っているが、野党は、昨年末の「日韓慰安婦合意」をめぐって朴槿恵への批判を強めている。また、朴槿恵の与党・セヌリ党は、国会での議長による職権上程や強行採決を禁じた「国会先進化法」について、過半数の賛成で上程を可能とする内容の「修正案」を提出し、強行採決を可能にしようとしている。
韓国では、4月13日に、一院制の国会の総選挙が行なわれる。民主労総は、「労働改悪中断!民衆生存権保障!財閥体制打破!労働者・民衆の総団結で民衆の世の中を早めよう」と、労働法制改悪阻止・朴槿恵打倒への闘争体制を強化しているのである。