乾坤一擲(けんこんいってき)
安倍は、5月下旬の「伊勢志摩サミット」を「世界経済とテロ対策が最大のテーマだ」と言い放ち、全国で7万人の警察官を動員し、人口5万人ほどの志摩市に2万人の警察官を集中させて開催した。「サミット」をこのテーマで行なうということは、世界大恐慌爆発情勢の深化が止めようもなく、失業と貧困、飢餓に直面する労働者人民の決起の拡大が不可避だというブルジョアたちの危機感の表れに他ならない。▼「サミット」を前にして、安倍は、国会で翼賛「野党」を屈服させ、警察の野放図な電話盗聴を可能にし、「売り渡し」やスパイ育成に道を開く「司法取引」を新設する「刑事訴訟法」等改悪案を成立させた。「サミット」で「テロ及び暴力的過激主義対策に関するG7行動計画」を採択し、9月召集とされる臨時国会で「共謀罪」を成立させ、戦時国家体制を作るに当たって不可欠の治安弾圧立法を整備しようとしている。▼ 一方で、消費税を増税すれば「日本発世界大恐慌」の引き金を引くことになりかねない日本経済の惨状=「アベノミクス」の破産を「リーマン・ショック級の世界経済の危機」のせいにしようという目論見は各国首脳から不興と冷笑を買うばかりであった。▼参院選にむけて「アベノミクスは失敗していない。道なかばだ」と強弁しているが、それは、「残業代ゼロ化」や「同一労働同一賃金」で低賃金・「非正規化」をさらに強め、労働者人民を犠牲にし、改憲に突き進むという宣言だ。これを粉砕する労働組合運動の建設が急務だ。(木村)