「連合」10・14中央委員会
「連合」(689万人)は、10月14日、2年ごとの定期大会の中間年に行なう中央委員会を福島市で開催し、「2017年度活動計画」(「活動計画」)を決めた。
会長・神津は、冒頭のあいさつで、安倍政府が進めている「働き方改革」に関して、「安倍政権が長時間労働の是正を標榜する一方、長時間・過重労働を助長させかねない裁量労働制の対象業務拡大や『高度プロフェッショナル制度』を導入するための労働基準法の改正案を下ろしていない」「提示されている内容は、明らかに長時間労働是正の流れに逆行するものであり、是正あるいは撤回すべきである」と強調した。
「活動計画」では、「働くことを軸とする安心社会の実現に向けた総がかり運動」として、「社会的対抗軸をつくり国民世論を動かしていくため、格差の是正・縮小に向け昨年の大会後にキックオフした『クラシノソコアゲ応援団 RENGOキャンペーン』の第二弾を展開する」として、労働相談、地域での対話活動、「労働組合と距離感を感じている若者・女性層にもSNS動画配信などわかりやすく伝わるような工夫をする」としている。
「活動計画」の政策実現事項としては、「労働基準法関係では、『時間外労働限度基準』告示の法律への格上げと、すべての労働者を対象とした『休息時間(勤務間インターバル)規制』や、特別条項付き三六協定における上限時間制の導入などの法改正に取り組む」としている。また、「雇用・就業形態にかかわらない均等待遇原則の法制化に向けて、労働政策審議会のあり方を中心とする労働政策決定プロセスの見直しについては『公労使の三者構成原則の重要性を再認識し、その維持と一層の強化が図られるよう対応をはかる』」としている。
安倍政府が「一億総活躍社会の実現」を打ち出し、参院選後の改造内閣の「最大のチャレンジ」として「働き方改革」を強調している。安倍は、9月27日の第1回「働き方改革実現会議」で「働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段。働き方改革は、社会問題であるだけでなく、経済問題です」と言い放った。
「連合」・神津は、この「働き方改革実現会議」の23人の委員中、ただ1人「労働側代表」として参加している。この「働き方改革実現会議」に参加するに当たって、「連合」は、9月16日に、中央執行委員会を開催し、「『働き方改革』に関する連合の対応について」という確認文書を決定している。その中では、「安倍総理が提起した『働き方』に関する同一労働同一賃金の実現や長時間労働の是正などの政策課題は、連合が実現を求めてきた政策と共通する部分も多い。こうした政策課題の実現を、真に実効性のある法規制などとして実現することが重要である」としている。
「連合」は、一方では、「裁量労働制の対象業務拡大や『高度プロフェッショナル制度』を導入するための労働基準法の改正案を下ろしていない」と安倍を批判するそぶりを見せている。しかし、実際には、世界大恐慌爆発情勢の深化の中で、延命のために画策する安倍と一体となり、資本主義経済の防衛のために「労働生産性の改善」を至上命題として追求する輩供だということだ。そのために「働き方改革実現会議」に参加し、安倍に「労働側の意見も聞いた」という口実を与え、過労死するほどの長時間労働、「非正規雇用」労働者の使い捨て、女性や高齢者、外国人労働者を低賃金と劣悪な労働条件で狩り出す攻撃に加担しているのだ。「連合」が「真に実効性ある法規制の実現」なぞと称して、「労働基準法」改悪、「解雇の金銭解決制度」導入に加担することを許してはならない。安倍の「働き方改革」は、戦時国家体制形成と一体のものだ。戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動へと突き進む「連合」を突破して闘う労働者の結集軸を早急に建設しなければならない。
全労連第28回定期大会
全労連(約106万人)は、7月28日~7月30日、東京で第28回定期大会を開催した。
大会以降2年間の運動方針をめぐっては、基調として、「(1)すべての加盟組織が2016年度に増勢に転じ、社会的影響力の拡大と150万全労連にむけた新たな前進・飛躍を開始、(2)アベノミクスのグローバル競争国家づくりに反対し、賃金底上げをはじめ暮らしと雇用をまもる課題で地域を基礎に共同の前進、(3)戦争法廃止、安倍政権退陣を重点課題に改憲策動と戦争する国づくりをストップさせる」の3点を提起した。
この3つの基調の上で、8つの重点課題として、「(1)「新4ヵ年計画」を円滑にスタートさせ、新たな前進を開始、(2)実質賃金の底上げを実現する運動を総合的に推進、(3)安倍「雇用改革」を跳ね返し、働き続けられるルールの確立、(4)社会保障や教育の拡充を求める取り組み強化、(5)持続可能な地域経済・社会への転換を求める取り組みの強化、(6)国民的な世論と共同で、戦争法を廃止し、改憲策動を打ち破る、(7)震災復興、原発ゼロ、核兵器廃絶を求める取り組み、(8)人権と民主主義をまもり、政治の民主的な転換をめざす」を掲げている。
全労連は、方針で、「社会的な賃金闘争の強化」を打ち出している。その一環として、最低賃金をめぐって「労働団体や若者などとの共同を強めて、政府に『今すぐ最賃1000円以上』の緊急的な政治決断を強く迫る」とし、2017年春闘において、「広義の最賃闘争というイメージで強力に展開する」と強調しており、大会では、「全国最賃アクションプラン」を採択し、「社会的な賃金闘争」の戦略的な中心課題として、「全国一律最賃制の実現を大きく位置づけ、取り組みを抜本的に強化する」としている。
また、かねてから打ち出している「雇用の安定と社会保障拡充を中心にした安全・安心を求める大運動」(全労連大運動)と、それを具体化した「地域活性化大運動」を引き続き重視するとして、「賃金の底上げや中小企業支援」「労働法制」「社会保障・教育の充実」などを課題としてあげており、全労連議長・小田川は、「全労連大運動、その具体化としての地域活性化大運動、そしてその中心的な取り組みとしての全国最賃アクションプランは、全労連としてのアベノミクスに対抗する戦略的な運動の提起だ」と強調した。
さらに、2020年7までの4年間を実施期間とする新たな「組織拡大強化4ヵ年計画」を決定した。全労連は、1998年の153万人から2016年6月時点で106万人へと組合員の減少が続いている。この現状に対して、「非正規雇用」労働者や青年・女性などあらゆる階層の労働者を対象にして毎年10万人を超える既存組織内での拡大の実現、単産と地方組織の連携による「総がかり作戦」、「全労連専任オルグ」5人の配置などによって4年間で20万人を超える労働組合への加入・結成を実現し、「150万全労連」を目指すとしている。
全労連議長・小田川は、大会冒頭のあいさつで、「安保法制関連法」をめぐった攻防の直後に日共が打ち出した「戦争法廃止の国民連合政府」構想と、それが頓挫した後の「野党共闘」の成果を強調し、全労連の最も集中すべき課題は、「市民と野党の共闘を、戦争法廃止・立憲主義回復の一致点を基軸にさらに発展させること」とした。それは、労働者階級の怒りと要求を「自衛隊・日米安保容認」「天皇制擁護」を内容とした小ブルの「国民主義」「議会主義」の路線に利用し、物理力化するものだ。階級性を蒸発させ、労働者階級の闘いを制動する全労連を突破する革命的労働運動の建設をなんとしても実現しなければならない。
自治労第89回定期大会
自治労(約80万7000人)は、8月25、26日、長崎市で定期大会を開催した。今大会は、昨年の定期大会で決定した運動方針の中間期にあたるため、地方自治体の給与改訂に向けた「2016自治体確定闘争」などの当面の方針を決定した。
8月8日に、人事院が国家公務員の給与等に関する勧告を行なった。人事院勧告は、国家公務員を対象としているが、地方自治体の職員の給与にも大きな影響を与える。人事委員会が置かれている地方自治体では、人事委員会が人事院勧告を勘案した給与勧告をすることが通常となっている。今年の人事院勧告の中味は、「①民間給与との比較で、月例給で0・17パーセント(平均708円)、一時金で0・1月下回っているとして、俸給表の水準と一時金の引き上げ、②1日8時間ではなく、午前7時から午後10時の間で勤務する『フレックスタイム制の導入』、③月1万3000円の配偶者手当を2017年度は1万円、2018年度には6500円に半減し、課長級は2020年度に廃止」を主な内容としている。ただし、①については、一見「賃上げ」に見えるが、実際には、2014年人事院勧告の「給与制度の総合的見直し」によって平均2パーセント、高齢層では最大4パーセントもの賃金削減が強行されており、実際には賃上げにはならない。
これに対する自治労の「当面の闘争方針」―「2016自治体確定闘争の重点課題」は、「人事院勧告が、原資を基本給にあたる俸給表だけではなく、一部を地方にはない本府省業務調整手当の引き上げに配分させていることは、霞が関と地方との公務員の給与格差をさらに拡大させるものであり、問題だ」と主張したうえで、「人事評価制度の導入や運用などについては、労働組合との交渉・協議・合意を前提とすること」「フレックスタイム制については、制度導入の可否も含め、労働組合との十分な交渉・協議を行なうこと」「諸手当ての見直し、とくに配偶者にかかる扶養手当の見直しを検討する場合は、労働組合と十分な交渉・協議を行なうこと」と、すべて「十分な交渉・協議」のすえに容認する姿勢を示している。2014年に安倍政府が「地方公務員法」を改悪し、「人事評価制度の導入により能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図る」としたことに、自治労は、「職に求められる責任と役割を果たしているかを内外に立証するためにも人事評価制度は必要」とし、労働者人民からの検証ではなく、管理者からの検証を受け容れるとした屈服の姿勢が貫かれているのだ。
自治労委員長・川本は、委員長あいさつで、安倍の「働き方改革」に言及し、「それが真に労働者にとっての利益・権利の向上につながるかどうかは、これまでの派遣法改悪、残業代ゼロ法案などを見れば疑問を抱かざるを得ません」「『連合』に結集して取り組みを進めていく必要があります」なぞと言い、まったく対決する姿勢を放棄し、「『連合』まかせ」に終始している。また、「自治体で働く臨時・非常勤等職員の仲間は70万人を超え、公共サービス提供に欠かせない存在です。処遇改善とともに、組織化・拡大の取り組みが必要です」なぞと言い、「非正規雇用」を前提にしている。昨年の大会で打ち出した「非正規労働者10万人組織化」についての中間総括では、「現時点での達成は困難。各単組での取り組みを進め、第2ステージ期間中での取り組み前進をめざす」とし、アリバイ的な方針さえ実行しない姿をさらしている。「平和運動の推進」では、「『連合』が安保関連法反対の姿勢を示したことは大きな前進である。引き続き『連合』が平和運動の重要な役割を担うよう求めていく」と、「連合」を持ち上げる始末だ。
「帝国の官吏」への道を転がり落ちる自治労本部を突破し、公務員労働運動解体攻撃を粉砕するために、現場での反合闘争を闘い、生活苦に直面する労働者人民との地区共同の闘いを闘いぬかねばならない。
日本郵政グループ(JP労組)第9回定期大会
JP労組(約24万人)は、6月1、2日、神戸市で第9回定期大会を開催した。委員長・小俣は、日本郵政社長・長門を招いて開いた大会冒頭のあいさつで、「2016年春闘で正社員の一時金水準の4・0月への回復や、期間雇用社員の無期契約への転換時期の前倒し実施などの改善が実現した」と成果を強調し、「さらなる処遇改善の追求、格差是正に向けた議論を深めていく」とした。組織拡大では、当面の目標である「25万人組織の達成」に向け、「正社員」や「期間雇用社員」の組織化を強化するとした。
日本郵政グループの日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険は、昨年11月、株式を上場した。2007年に民営化・分社化が強行され、その後、郵便の減少を補うための宅配便事業統合が頓挫し、日本郵政は、債務超過の危機に直面した。この時、JP労組は、一時金の大幅引き下げで郵政資本の危機を救済した。小俣が強調する「一時金水準4・0月への回復」は、JP労組が郵政資本と労使運命共同体となり、株式上場を実現した「成果」を自慢するものにほかならない。
2013年に改悪された「労働契約法」の「5年の有期雇用で無期雇用への転換申込み権の発生」が2018年から始まる。小俣が成果と強調する「期間雇用社員の無期契約への転換時期の前倒し実施」は、日本郵政では前倒しして今年10月からそれを開始するというものだ。小俣は、「期間雇用社員の雇用不安の解消につながる成果」と自慢している。しかし、この「前倒し実施」には、様々な条件がついている。日本郵政とJP労組が締結した労働協約には、「契約更新要件制度」なるものが入っている。これは、今年10月以降に採用される「非正規雇用」労働者(「時給制契約社員」)は、「スキル評価」によって5年で解雇(雇い止め)にするという内容が含まれているのだ。管理職の恣意的な評価で解雇・再雇用を決定するものだ。その中身は、「①スキル評価がB以上、②直近2回の基礎評価のどちらかがすべて『できている』、③直近半年間に懲戒を受けていない、または見込みがないこと」。このすべてをクリアしない労働者は、5年で解雇するというものだ。また、9月末までに採用された労働者は、「無条件で無期転換」とされているが、現行では「非正規雇用」労働者にはない「定年」が、「60歳で定年」とされ、郵便局の統廃合などで勤務場所がなくなれば解雇するとしている。「期間雇用社員の雇用不安の解消につながる成果」なぞと呼べるものではない。
さらに、小俣は、「① 高齢者等雇用安定法の改正により、定年退職者が希望すれば、基本的にはその全員が高齢再雇用社員として採用される ② 労働契約法第18条の新設により、無期雇用への転換を実現できた ③ 国民年金法等の改正により、本年10月から短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大が行なわれる」などを挙げ、「民主党政権時に成立した法律が順次施行され、日本郵政グループにおいても、少しずつその成果が現出している。それぞれは地味かもしれないが、着実に労働者・生活者の暮らしの改善につながる法整備がはかられた」として、「その具体化に向けた対応をはかるとともに、連合との連携はもちろん、民主党の綱領の根幹部分が引き継がれている民進党との連携をはかっていく」と表明した。
株式上場を資本と共に推進し、「厳しい市場競争のなかにおいて勝ち残っていく」なぞと労使協調路線を極め、「非正規雇用」労働者を踏み台にするJP労組本部を突破して闘う郵政労働運動の建設を、何としても実現しなければならない。
国労第85回定期大会
国労は、7月28、29日、群馬県伊香保町で第85回定期大会を開催した。
国労本部委員長・坂口は、大会冒頭のあいさつで、「憲法を守り抜き、戦争法廃止と改憲絶対反対を訴え続けなければならない。更に、労働法制改悪阻止、原発再稼働反対・辺野古移設反対の闘いに全機関をあげて取り組む」「JR各社に共通する課題として『安全第一の企業文化』の構築にむけ精力的に取り組んでいく」「国労運動の歴史を未来につなげていくために労働組合としての組織と運動の組み立てを全体での議論でより深めたい」と呼びかけた。
昨年の大会では、役員改選で「党員協」系中執が一斉に当選を辞退し、再選挙で千葉地本から委員長、高崎地本から書記長が選出された。その背景には、全国単一体の国労をJRのグループ会社ごとに分割しようとする動きと、「連合」への加盟の動きがあった。
今回の大会では、本部の「2016年度運動方針案」に対して、2本の「修正動議」が出された。1本目の「修正動議」は、「昨年大会の方針では、『闘いの基調』の部分で、『組織の展望や運動の展開、ナショナルセンターとの関係や連携の強化など、共闘関係についても引き続き議論していく』として承認されている。ところが、今回の方針では、『全国単一組織としての国労の歴史と伝統を堅持し』とし、昨年と方針が大きく変更となっている。昨年大会の方針に差し替えることを求める」というものだ。2本目の「修正動議」は、「2017年春闘について、『職場・地域からストライキ態勢を確立して』とあるのは『ストライキありき』であり、『中央執行委員会は、戦術判断について中央戦術委員会の判断に委ねる』とすべきだ」というものだ。
この2本の「修正動議」に対する本部答弁は、「組織の拡大に全組合員が全力を挙げようと確認し、本部執行委員会は、そこに全エネルギーを集中した。組織のあり方の議論については、議論してこなかった。全国単一組織の役割と運動が終わったとは思っていない」、「規約26条において中央執行委員会として戦術判断を行なうために諮問委員会として戦術委員会をもうけているが、諮問委員会に戦術判断を委ねているわけではない」という答弁であった。「修正動議」についての採決は、代議員49名中、賛成24票、反対25票という結果で、2とも否決されている。
今回の国労大会は、昨年大会で「党員協」が本部中執から退き、スト指令が出せない国労の組織現状、未だ国労のJRグループ会社ごとへの分割―「連合」への加盟を指向する動きがあることを示している。
UAゼンセン第5回定期大会
UAゼンセン(153万6000人)は、9月7、8日、横浜市で第5回定期大会を開催した。役員改選を行ない、会長と「連合」事務局長を兼任していた逢見直人に代わり、書記長の松浦昭彦(本部―「帝人労組」出身)が新たな会長に就任し、新書記長には流通部門事務局長の木暮弘(イオンリテールワーカーズユニオン)が就いた。向こう2年間の新運動方針では、中期ビジョンの実現に向け、短時間組合員担当局を設置するなど本部の機構改革などを行なうとしている。
UAゼンセンは、「連合」に加盟するわが国最大の産業別労働組合で、製造から流通・小売、外食などまで幅広い業種で組織化を進めている。会長・逢見は、大会冒頭のあいさつで安倍政府が進める「働き方改革」に言及し、「われわれは、働く人たちを軸にした政策を中心にして、その実現に取り組んでいる。政府が唱える『働き方改革』が、われわれが求める方向と一致するなら、その議論にも積極的に加わっていきたいと思っている」と、「働き方改革」に加担することを宣言した。
政治情勢については、「自民党にとって代わる二大政治勢力の一角を占める中心となるべきは、やはり民進党だ」とし、「次の総選挙はいつになるかわからないが、衆院選挙は参院選挙と違って政権選択選挙となる。参院選の一人区では、共産党も含む選挙協力が行なわれたが、それは中間選挙としての参院選の性格からできたものであって、政権選択選挙では、野党第一党である民進党が政権をとった場合には、どのような政策を実現するかを国民の前に示すことが求められる。理念や基本政策が大きく異なる政党との政権の連立はあり得ない、つまりは共産党と政権を共にすることはあり得ないと思う」と、衆院選での「野党共闘」を否定した。
大会で報告されたこの一年間の組織拡大状況によると、新規加盟した組合数・組合員数は、「製造産業部門」が9組合・469人、「流通部門」が39組合・1万7918人、「総合サービス部門」が18組合プラス1分会・2万651人で、三部門合計では66組合プラス1分会・3万9038人だった。一方、企業内組織拡大の実績は、3部門合計で42組合・4万1424人。これにより、新規加盟と企業内組織拡大を合わせた組織化実績は、8万462人の増加となっている。この間、UAゼンセンは、業界戦略としては大手外食の組織化に集中してきた。また、ドラッグストアについては、業界大手の組織化がほぼ終息したことから、中小規模の未組織企業に重点をおいている。大会では、新規加盟組合を代表して、〝ブラック企業〟と批判を受けてきたワタミの労働組合・「ワタミメンバーズアライアンス」の中央執行委員長があいさつし、「二度と同じようなことを起こさないためには、我々自身の意識改革が必要と感じ、組合を立ち上げた。働く仲間が会社に不満があるならば自分たちが話し合い、会社に提案を上げていきたいと思う」と発言した。
UAゼンセンは、今年1月の中央委員会で、「2025中期ビジョン」を決定している。「ビジョン」の内容は、「(1)一人ひとりが希望する働き方を選択でき、能力を発揮し、十分な生活を営める雇用をつくる(2)持続可能で魅力ある産業をつくる(3)一人ひとりが、心豊かに生きていくために安心を築く(4)人のつながりや助け合うことを基盤に、持続可能で安心できる地域社会をつくる」というものだ。この「ビジョン」は、あえて政治性を抜いた表現になっているが、本質は、「日の丸」を掲げた資本主義経済の防衛であり、そのために安倍の「一億総活躍社会」―「働き方改革」を先頭で推進し、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動の尖兵になるということだ。地域連合労働組合運動の前進で絶対に粉砕しなければならない。
金属労協(JCM)第55回定期大会
「自動車総連」、「電機連合」、「JAM」、「基幹労連」、「全電線」の金属関連五産別労組で作る金属労協(JCM、約201万4000人)は、9月6日、都内で定期大会を開催し、2017~2018年度の運動方針を決定した。
金属労協は、2016年春闘で賃金構造維持分を確保した上で、「3000円以上」の賃上げ要求を掲げた。回答を引き出した2761組合のうち、1560組合が賃上げを獲得し、その平均額は1224円となっている。
議長・相原は、大会冒頭のあいさつで、「『連合』方針を踏まえ、『人への投資』と『家計の改善』を通じて、デフレ脱却、『経済の好循環』を目指してきた」と、「アベノミクス」のための春闘を闘い、「前進があった」と総括した。
大会で確認した2017~2018年度の運動方針は、①「第三次賃金・労働政策」に基づく雇用環境の整備、賃金・労働諸条件の改善、②「攻めの産業政策」を基本とする政策・制度要求、産業政策の推進、③国際労働運動の推進、④組織強化への対応とより効率的な運動の構築」を活動の柱に据えている。
「『攻めの産業政策』を基本とする政策・制度要求、産業政策の推進」をめぐった具体的な方針としては、「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)批准のための国内体制整備を第一番目に要求している。これは、「連合」が「わが国経済を持続的・安定的な成長軌道に乗せ、雇用の創出・維持をはかる上で、とりわけ成長性の高いアジア太平洋地域との経済連携体制の構築は重要であると認識し、TPPはその第一歩になり得るものと受け止めてきた」とする立場と同じように、金属労協も「TPP賛成派」であることを示している。
「国際労働運動の推進」では、日帝資本の海外事業拠点での争議の増加について、方針として「直近の労使紛争の実態なども踏まえた、中核的労働基準の遵守に対する理解活動と建設的な労使関係の構築に取り組む」としている。「中核的労働基準」とは、「国際労働機関」(ILO)が決めた「結社の自由・団体交渉権の承認」、「強制労働の禁止」、「児童労働の禁止」、「差別の撤廃」の四分野からなるものだ。金属労協は、海外に進出した日帝資本に対して、この「中核的労働基準」への理解をお願いし、「建設的労使関係」の名の下に、労使協調の労働組合を育成すると言っているのだ。
今大会で決定した「第三次賃金・労働政策」では、「『同一価値労働同一賃金』を基本にした均等・均衡待遇の確立」として、「ILOが『同一価値労働同一賃金』の評価基準として挙げる、知識・技能、負担、責任、ワーキング・コンディションに則り、あらゆる勤労者間の『同一価値労働同一賃金』を基本に、均等・均衡待遇の確立を目指す」としている。これは、今、安倍が「働き方改革実現会議」で、「同一労働同一賃金の実現」と称して、「非正規雇用」を前提化したうえで、「正規」と「非正規」の待遇差の「良い例、悪い例」の「ガイドライン」作りに入っていることを尻押しするものにほかならない。金属労協は、「賃金制度の整備」と称して「非正規労働者に関しても賃金制度を整備」なぞと、「非正規雇用」の固定化を主張している。
原発再稼働を推進し、防衛省が先頭にたった武器輸出体制の整備を歓迎し、日帝の「死の商人」としての世界展開と一体となった「労働運動」を推進する金属労協は、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動の尖兵としての位置にある。この帝国主義労働運動の跳梁を許さない革命的労働運動の一挙的な前進を実現しなければならない。