乾坤一擲(けんこんいってき)
安倍政府が「働き方改革」と称した労働法制の改悪に突き進んでいる。労働者を保護するための労働時間規制―「8時間労働制」の解体が当面の焦点だ。長時間労働を強制されて「過労死」「過労自殺」が頻発し、社会問題化していることを逆手にとり、「時間外労働の上限規制」なぞというペテンで「残業するのが当たり前」「残業しなければ生活できない賃金」を強制しようとしているのだ。▼安倍が主催する「働き方改革実現会議」では、「上限規制案」を「年間で月平均60時間、繁忙期には月100時間」としている。厚生労働省が労災認定の「過労死ライン」としている基準は、「1ヵ月で100時間超」または「2~6ヶ月平均で月80時間超」であり、「上限規制案」は何の規制にもならない、「過労死するまで働け」とするものだ。▼安倍がこんな攻撃をかけているのは、労働力人口の減少で危機に直面する資本家を救済するためだ。日本経団連は、2017年版「経労委報告」で「『働き方改革』で生産性向上を」と叫んでいる。「連合」傘下の労働組合が労使協調路線で無制限の「時間外労働」を可能にする「三六(サブロク)協定」を結んでいることが背景にある。▼安倍は、国会に上程している「労働基準法」改悪案の「高度プロフェッショナル制度」創設や「裁量労働制」の適用範囲拡大で「残業代ゼロ化」を強行し、労働時間規制―「八時間労働制」解体を狙っている。安倍の翼賛勢力化を深める「連合」、全労連の制動を突破して二〇一七年春闘の爆発をかちとり、労働法制改悪を阻止しよう。(木村)