Ⅱ部
尾澤孝司氏(日韓民衆連帯全国ネットワーク)の講演
馬山自由貿易地域の九〇パーセントが日本からの投資で、三万人の労働者が働いていた
こんにちは、日韓ネットの尾澤です。韓国サンケン労組の支援を行なっています。その報告と、今、韓国で「キャンドル革命」と言われて闘われている民衆闘争についてお話します。
韓国サンケン労組の韓国と日本での闘いのビデオを皆さんに観てもらって、イメージを持ってもらいます。
(約15分間、DVDを上映)
韓国サンケン労組の韓国での闘いと、日本に来ている遠征団の闘いが何となく分かったと思います。韓国サンケンという会社は、一般の消費者に接するような会社ではありません。皆さん、なじみはないと思います。資本金が209億円、従業員が全世界で1万人いる東証1部上場の会社です。工場は、アメリカ、中国、台湾、インドネシア、シンガポール、マレーシアや、ヨーロッパにもあり、全世界で展開している、いわゆる「グローバル企業」です。どういう物を作っているかというと、LED照明、半導体デバイス、今は自動車のコンピューターの半導体といった重要な部品を作っている会社です。
「韓国サンケン」は、日本の「サンケン電機」が100パーセント出資した会社です。今から40年以上前の1973年に作られた非常に古い会社です。「韓国サンケン」は、馬山という自由貿易地域に作られました。ここは、韓国政府が、輸出によって韓国経済を発展させるための拠点として作った場所です。朴槿恵の父親で、軍事独裁政権の朴正煕が、1965年に、日本と国交を樹立して経済交流を開始しました。輸出で韓国経済を発展させようとして馬山に自由貿易地域を作り、日本からの投資を呼び込みました。ここは、土地代はタダ。税金も減免されます。税関の手続きも簡略化されます。輸出しやすいように港も作っています。非常に優遇された環境の中で、日本企業は、活動できるわけです。日本企業でここに進出したのは、50社くらいです。馬山自由貿易地域の90パーセントが日本からの投資で、3万人の労働者が働いていました。
馬山自由貿易地域の特徴は、労働組合の活動が禁止されたということです。それが、1987年の民主化闘争と労働者大闘争によって、禁止されていた労働組合が全国的に結成され、何百、何千という数で、毎日どこかで労働組合が作られました。馬山自由貿易地域にも労働組合が作られました。「韓国サンケン」の場合は、2年遅れて1989年に労働組合が結成されました。最初は、「韓国労総」という御用組合の傾向を持つ労働組合として発足しました。それが、1994年に、今日本に来ているキム・ウニョンという人が分会長に当選し、「韓国労総」から脱退して、翌年の7月くらいに、「民主労総」に加盟します。闘う労働組合に変わったわけです。
馬山自由貿易地域には、たくさんの労働組合が作られていました。「民主労総」加盟の労働組合が作られようとすると、資本の側は「撤退する」と脅しをかけ、あるいは「韓国労総」に加盟させるということをやりました。皆さんも知っていると思いますが、「韓国スミダ」、「シチズン」、あるいは「山本製作所」といった「民主労総」の労働組合があった企業が撤退していきました。こうやって、韓国労働者の闘いを押さえ込みました。今、「民主労総」で残っているのは、「韓国サンケン労組」しかありません。
「民主労総」の役員は、「韓国サンケン労組は、非常に模範的な労働組合」だと言っている
「民主労総」の役員は、「韓国サンケン労組は、非常に模範的な労働組合」だと言っています。いろんな社会運動にも意欲的に参加しています。自分たちの労働条件の改善だけでなく、いろんな運動にも組合全体で参加するという特徴を持っている労働組合です。そういう労働組合だから、今回の解雇攻撃となったのではないかと思います。
1997年くらいには、インドネシアに移転するという話がありました。約100人の女性組合員が、1年半闘って株主総会で決まったインドネシア移転を撤回させたことがあります。それ以降、会社の方は方針転換したのかどうか知りませんが、従業員を増やしてCCFLという液晶テレビのバックライトを作って利益を上げ、大増産しました。従業員を若い男性を中心に400人も500人も採用しました。ところが、利益を上げたにも関わらず、利益を日本に持って行き、韓国には再投資しませんでした。それが今日の「韓国サンケン」の赤字を作る大きな原因の一つになっていると、労働組合は見ています。
液晶テレビのバックライトがCCFLからLEDの時代に変わり、「韓国サンケン」は需要が急速に減り、リストラをやります。2007年くらいから始まり、2015年には組合員が100人くらいになります。労働組合として認めた部分もありますが、会社側が一方的にやったことが大きいです。去年の3月から整理解雇の攻撃が始まりました。韓国サンケン労組が一番尊厳が傷つけられたと言っているのは、労働者が働いている時に会社が家族に解雇通知を送り、最初に親や子どもが解雇を知るということになったことです。解雇通知を見た家族の衝撃や「どうしたらいいのか」という戸惑いは、大きい。「明日からどうやって生活して行くのか」。労働者の家庭の中がギクシャクするということがあり、会社が労働者の尊厳を傷つけたことに非常に怒っています。
会社は、赤字を理由に3月に解雇通知を出し、6ヵ月間の猶予期間をおき、9月30日付けで生産部門を廃止して営業専門の会社にすると発表しました。会社側は、組合員の地位の変更などには組合の合意が必要であるとされている労働協約を守らず、9月30日付けで一方的に解雇しました。韓国サンケン労組はいろんな闘いを展開しましたが、解雇を食い止められませんでした。生産部門を廃止して営業専門の会社にするという会社の方針の大転換は、子会社だけでは決められるものではないことは明らかです。親会社の指示によって行なわれている。親会社ときちっと話をして撤回させなければならないと組合が考え、11月に、日本に3人の代表団を送り、ローテーションで交替しながら闘いを展開しています。
昨年の12月27日、韓国の地方労働委員会は、「整理解雇は不当である」と認定し、職場復帰と未払い賃金支払いの命令を下しました。ところが、会社は、地労委の命令に従わず、中央労働委員会に提訴しました。親会社は何と言っているかというと、「韓国の問題は韓国でやってくれ」「今、中労委で係争中なので、その動きを見て対応したい」というものです。日本に来ている代表団とも全然話をしないという不当な態度です。3月26日に、会社に対して「地労委の決定を履行しろ」「解雇を撤回しろ」「職場に戻せ」と迫る闘いを行ないます。是非、みなさんが集会に参加され、声を上げていただければと思います。
よく「民主労総」の人が言っているのは、この闘いは不当解雇を撤回させるということではなく、労働者が奪われた権利を回復し、人間として傷つけられた尊厳を回復する闘いなんだということです。韓国では、「解雇は殺人だ」と言われています。単に職場を失うということだけでなく、家庭の不和が起こったり、人間を傷つけるものだと思います。傷つけられた人間の尊厳を回復する闘いだととらえています。この問題は、一企業の問題ではなく、馬山自由貿易地域にいる企業は、「韓国サンケン」の動きを見ています。「韓国サンケン」で資本が勝ったら、自分たちも同じようなことをやろうと考えている。韓国サンケン労組は、この闘いは、日本の資本との闘い、外国資本との闘いとして位置付けて積極的に闘っています。グローバル時代に対抗する労働者民衆の闘いだと思います。是非、皆さん、連帯をして一緒に闘っていきましょう。
韓国がかちとってきた民主主義を後退させることが、朴槿恵の下でおこなわれようとした
次に、今闘われている「キャンドル革命」について話します。スライドを使って話しを進めます。最初の写真は、朴槿恵打倒にむけ、ソウルの町に100万人が集まった時の写真です。人が川のように、道路一杯に集まっています。今、「民主労総」のハン・サンギュン委員長は、獄中に捕らわれています。彼は、「10万人集まれば、情勢を揺るがせられる。50万人集まれば、労働法の改悪を阻止できる。100万人決起すれば、世の中が変わる」と言っています。まさにその通りになってきています。
3月10日、憲法裁判所で、朴槿恵の弾劾が、反対ゼロで決まりました。それに至るまでに、19回の「キャンドル集会」が行なわれました。延べ1600万人が参加しています。1600万人という数字がどういう数字かと言うと、韓国の人口の3分の1です。民衆の力に注目していく必要があると思います。
次に、「キャンドル革命」と言われている民衆の闘いの原因は何かという問題です。「新自由主義的な体制の没落、貧困・死の日常化」。韓国の自殺率は、もの凄く高いんです。「経済協力開発機構」(OECD)の中でも1位です。若者の失業率が高いことが大きいです。大学を卒業しても、7割は「正規職」に就けない。「死の日常化」といわれていますが、老人の自殺率が高く、10万人当たり六四人が死んでいます。OECDの中でダントツなんです。「民主主義の没落、ファシズムの復活」。これはどういうことかと言うと、朴槿恵は、大統領選挙の時に不正選挙によって大統領になっています。情報部がインターネットでいろんな操作をして世論形成をし、そういう世論のおかげで当選しています。もし公正な選挙が行なわれていたら、当選しなかっただろうと言われています。あるいは、統合進歩党という政党が解散させられてしまった。国会議員が6人いる政党が「北と同じ理論を主張している」という理由で解散させられています。このような「民主主義の破壊」は、大学教授の組合が非合法化されているということにもあります。「東北アジア体制の大転換、戦争の危機」というのは、南・北で軍事対立しているわけですが、今、南・北の和解の象徴である「開城工場団地」の閉鎖や、ミサイル防衛システム・THAADの配備で韓国と中国との対立が深まっています。「労働法の没落 労働の犯罪化」とは、韓国でも「非正規職」が多く、5割くらいが「非正規職」じゃないかと言われていることなどを指して言われる言葉です。民間企業では「成果年俸制」になっていて、成果によって給料が決まるようになっています。公共部門の鉄道や水道などには浸透していないんですが、公共部門についても「成果年俸制」を導入しようとしています。これは、「低成果者を排除する」という制度です。つまり、「成績の悪い人は、絶対数ではなく、比率で下から1パーセント~2パーセントは解雇する」という制度です。そこでは、労働組合の役割が奪われ、職場の団結もまったく解体されるという、非常に恐ろしい職場支配が生まれてきます。そういうものを導入しようとしている。幸いにして「キャンドル革命」によって、その動きは止まっています。
「政治体制の没落 古い体制での支配」とは、例えば、教科書の国定化ということが問題になっています。朴槿恵の父親の朴正煕は、弾圧して民主主義を破壊しました。一方で、「経済発展もさせた」と言われています。「『漢江の奇跡』と呼ばれる経済発展も実現した」と言われています。今までの教科書は、朴正煕の悪い面を強調して書いていました。朴槿恵は、それを全部消し去って、「経済発展させた大統領」というような古い理念、古い体制を賛美するような教科書を作ろうとしました。韓国がかちとってきた民主主義を後退させることが、朴槿恵の下でおこなわれようとしたのです。
言い忘れましたが、「死の日常化」ということで一番最大のものが「セウォル号」の沈没です。これは、ほとんど「人災」と言ってもいいものです。荷物の積み過ぎ、舟の改造、救助体制の無責任さ、あらゆる面で政府の無責任な、新自由主義的なやり方の犠牲に子どもたちがなった。韓国の今の社会の問題を象徴するような事件だったわけです。
こういうものが韓国社会に一杯蔓延し、一方でそれに対する闘いも行なわれていたんですが、社会を変えるほどに運動は行かなかった。やはり、運動圏に止まり、社会全体に浸透していなかった。崔順実の「国政横奪」と言われる、権限がない者が権力を振るって自分の利益を得る、国の方針を変えて行く、そういうことがあった。特に、特に国民を怒らせたのが崔順実の娘の梨花大学への裏口入学です。それは非常に厳しい受験競争に苦しんでいる高校生、大学生などの若い人の怒りを買ったわけです。そういうことがあって、これまでなかなか動かなかった国民もやっと気付いて、このような古い体質、古い体制を新しい体制に根本的に変えなきゃいけないというふうになって、今の「キャンドル革命」の事態が生まれています。その根本的な原因は、崔順実のことは一つのきっかけとしてあったのですが、底流には社会を覆っているいろんな問題について、膨らんだ風船に針を当てるような感じで爆発したというのが、今の「キャンドル革命」の原因じゃないかと思います。
今回の民衆抗争は、単なる「選手交代」ではない
次に、「2016六抗争の原因」の「速度」について。昨年の10月29日に、初めて決起集会が始まりましたが、その時は3万人です。その次の週は20万人、その次の週が100万人、その次が190万人、その次が232万人。40日間のこういう積み重ねによって、国会で弾劾訴追が決定されました。非常に早いスピードで、毎週毎週、一〇〇万人単位の集会を行なって政府を追及しました。「方向」というのは、直接民主主義。これは、「広場の民主主義」と言われています。与党は、もちろん朴槿恵の防衛のためにいろいろ頑張ったんですが、その与党も分裂させてしまいました。野党も、右往左往して、なかなか「退陣」ということを言いませんでした。グラグラしている所に対して、一歩野党が後退すると、次の週の土曜日には参加人数が増え、野党の選択に対して民衆が「NO!」と態度を表明しました。広場に集まる人によって世論が形成されていきました。それに政党も、従わざるを得ないという状況が作られました。それが、「直接民主主義」と言われています。民衆の意志で政治が動くという状況が、作られました。単に崔順実や朴槿恵の個人的な問題ではなく、韓国社会の問題として、大統領府、あるいはセヌリ党、全経連、マスコミのすべてが一体となって、今までの韓国社会の問題が作られてきた。特に、全経連は、財閥です。サムスンとか、現代とか、あるいはSKとか、LGとか、30財閥があると言われていますが、そういう財閥によって社会が支配されている。それに対して怒りが高まり、それをすべてひっくり返さなければ根本的な社会の変革はできないというところまで進んでいます。
どういう民衆抗争の志向であったかと言うと、今まで「韓国は、民主主義体制の下にある」と一応言っていましたが、「実は民主主義ではなかった」。大規模な集会、街頭闘争をを毎週闘い、ソウルでは零下15度、寒波が来るとマイナス20度くらいになりますが、そういう中でも何十万人という人が集まり、意志表示をする。「闘争の日常化」が行なわれました。「暴力/非暴力、違法行為/合法の境界が無意味に」。韓国では、「国家保安法」があり、「これをしゃべると法律に違反するんじゃないか」という自己規制がありました。「日常的な自己規制からの解放」というのは、そういうものが一切取り払われ、「自由に発言していいんだ」という状況が生まれてきているということです。
今回の民衆抗争は、単なる「選手交代」ではありません。朴槿恵から文在寅への大統領の交代ではない。今まで韓国社会を支配してきたものを根本的に変えていくような闘いとして闘われています。「大韓民国憲法」の第1条は、「大韓民国は民主共和制であり、主権は国民にあり、すべての権力は『国民』から生じる」という、非常に素晴らしいことが書いてあります。しかし、実際は、自由ではなかった。民主ではなかった。凄い抑圧の下に覆われて、自由にものが言えない社会だった。次の憲法は、「自由」を書き加えなければならないという指向があります。
労働者階級の政党を作り、韓国社会を変えて行く必要がある
「抗争の到達点」について言うと、第4週で朴槿恵の支持率が4パーセントになりました。「支持しない」が93パーセントです。大きな世論の変化がありました。朴槿恵の〝コンクリート支持層〟〝どんなことがあっても絶対支持する層〟が40パーセントくらいはいるのが、韓国社会だったんですが、それが崩壊しました。「国民の情勢認識に対する質的な発展」。朴槿恵は、3回くらい会見を開いています。「周りを管理できなかったのは過りだった」と釈明しました。しかし、その釈明のたびに、国民は、「釈明ではなく、言い訳だ。醜い」と怒りを高めていきました。今までは、「大統領が言うんだからちょっと聞いてみよう」とか「少し様子を見よう」ということがほとんどだったんですが、今回は、朴槿恵が言えば言うほど反感を買うという状況になり、民衆の認識が変わってきました。エピソードとして、写真のようにいろんな旗がありますが、これは今回の民衆革命の集会で掲げられた旗です。どういう意味かと言うと、韓国ではこれまでに「キャンドル集会」という闘いが3回か4回ありました。最初は、労働組合や農民の組合といった「進歩勢力」が主導しました。牛のBSE問題、アメリカ産の輸入牛肉の問題では労働組合の旗はなく、市民が中心でした。「労働組合の旗を降ろせ」ということが日本の原発反対の運動でもありましたが、韓国も同じようにそういう時期がありました。労働組合などの既成の「進歩勢力」の運動が、信頼を失っていた時期がありました。今回は、「誰が指導する」ということではなく、「自分たちがやりたいように、自分たちの旗を持って運動に参加しよう」という、多様な運動の旗が登場しました。非常に豊かな自由な運動になっています。私も、昨年の11月11日に民衆総決起に参加しました。若い高校生くらいの女性たちが自分たちの旗を持っていて「何だろう」と思いました。自分たちで好きなように旗を作って参加している人が非常に多かったのです。そういう特徴があります。
韓国の今の闘いでは限界があります。明確なビジョンを持った指導勢力が生まれない限り、勝利しないのではないかと私は思っています。組織された労働者、具体的には「民主労総」が大きな役割を果たさない限り、本当の変革は難しいと見ています。本当に世の中を変えようとすれば、運動の力量的、質的な発展が必要です。「第2の民主労総建設ブーム」を作るならば、闘っている大衆が入れるような「民主労総」に変えるべきだと思っています。「民主労総」が労働者階級で大きな役割を果たすためには、大きな大衆的な結集軸がなければならない。今の「民主労総」は、組織率が4パーセントくらいです。「正規職」「男性」「大企業」の労働者によって「民主労総」の主流が形成されています。韓国社会の半数以上は「非正規」です。「非正規」を中心に、女性や「障害者」、多様な社会の人たちで構成されるような労働運動、社会変革運動に変えていかなければならないと思います。労働者階級の基盤の上に、労働者階級の利益を実現するような政党を作らなければいけない。今の「キャンドル革命」によって切り拓かれた地平を本当に社会を変革していくものにするためには、政党を作って政権を握っていかなければならないと思います。
こういう方向性がありますが、残念ながら日本と同じように、韓国でもいろんな党派があり、それらが分裂状況であり、一つになっていません。「民主労総」は、今度の大統領選挙にむけて方針を作ろうとしましたが、なかなか合意に至っていません。いずれ、運動の発展の中で、強い意志を持っていけば、大統領選挙に対する大きな影響力を持つでしょう。2018年には、韓国で統一地方選挙があります。その統一地方選挙に大きな勢力として登場することができるんじゃないかと思い、期待しています。労働者階級の政党を作り、韓国社会を変えて行く必要があると思っています。どうもありがとうございます。
質疑応答
Q、日本では「民主労総」のようなナショナルセンターが存在しないことが、韓国と日本の運動の差になっているのではないかと考えています。運動の軸になり、核になるような組織が求められていると思います。そのあたりをどう考えておられるか、お聞きしたいです。
A、韓国と日本の大きな違いというのは、韓国では、労働組合のナショナルセンターが70万人から80万人を組織していると言われています。強固な団結と組織があります。社会運動の指導性を持っています。それが日本と韓国の大きな違いです。中央で決めて、運動を作るということをやっています。「民主労総」に加盟している労働組合が中心になり、軸になって地域運動を作っています。日本もそういうような社会運動の軸となる組織が、一時的なものではなく、恒常的に強固な運動の背骨になるような組織が絶対に必要だと思います。