3・27 全国寄せ場・日雇い労働者春闘集中行動

日建連弾劾を闘う全国から結集した寄せ場労働者(3月27日)
日建連弾劾を闘う全国から結集した寄せ場労働者(3月27日)

3・27 全国寄せ場・日雇い労働者 対厚生労働省団交、対日本経団連・日本建設業連合会(日建連)追及―弾劾行動

 

        全国寄せ場交流会

 

山谷での総決起集会で春闘集中行動の決意を打ち固める

 

 3月27日、全国寄せ場交流会が呼びかける寄せ場春闘集中行動が東京で闘いぬかれた。

 3月27日、東京・山谷では、降りしきる雨を衝いて東京・山谷日雇労働組合(東京・山日労)をはじめとする全国の寄せ場・日雇い労働者が、早朝から「城北労働・福祉センター」(センター)前に結集し、寄せ場春闘集中行動にむけた準備と、闘いへの結集呼びかけを開始した。センターのフェンスに設置されている東京・山日労の立て看には、元請けゼネコン、厚生労働省、国土交通省、日本経団連のそれぞれに対する闘いの課題を書いたビラが拡大して貼ってある。各寄せ場で春闘を取り組んできた労働者は、その看板を読みながら情報交換をしている。その間にも越年・越冬闘争をはじめ、2017年の春季の闘いをともに闘ってきた山谷労働者が玉姫公園や、ドヤ、野宿(アオカン)している「イロハ通り商店街」からセンター前に結集してくる。

 午前7時半、寄せ場春闘集中行動にむけた決起集会が始まった。まず、司会の仲間が闘いにむけたシュプレヒコールを呼びかけ、「2017年春闘を闘うぞ!」「大幅賃上げをかちとるぞ!」「労働者の使い捨て攻撃を粉砕するぞ!」「闘って仕事をかちとるぞ!」「労働法制改悪を粉砕するぞ!」「『働き方改革』粉砕!」という決意のみなぎったシュプレヒコールがセンター周辺のドヤ街に轟き渡る。続いて、沖縄・首里日雇労働組合からの連帯メッセージが読み上げられ、集会の締めくくりに、全国寄せ場交流会に結集する東京・山日労、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」、そして福岡・築港日雇労働組合がそれぞれ春闘集中行動を最後まで戦闘的に闘う決意を明らかにする。

 

ゼネコンに「現場からの排除をやめろ!」「沖縄の新基地建設に加担するな!」と迫る

 

 午前8時半、日本建設業連合会(日建連)が入る八丁堀の「東京建設会館」前に集結した全国寄せ場交流会の仲間たちは、闘いの決意を込めたシュプレヒコールをあげ、職場に出勤する労働者に春闘への決起を呼びかけるビラまきとマイクアピールを開始する。日建連を追及する交渉団が編成され、元請けゼネコンを追及する闘いに入っていく。

 元請けゼネコン団体=日建連に対しては、(1)「社会保険への未加入」を理由にした日雇い労働者の現場からの排除をやめろ(2)戦争国家作りのための基地建設に加担するな、の2点をめぐって追及が行なわれた。

 今年4月から、日建連に加盟する大手ゼネコンを先頭にして、建設労働者に対して「社会保険(健康保険、年金、雇用保険)に加入していない労働者の現場入場を認めない」という攻撃がかけられようとしている。これは、建設労働者の社会保険加入率を上げることを目的にしている。だが、これまで日雇い労働者を現場の都合でコキ使い、使い捨てにして社会保険加入なぞまったく保障してこなかったのが元請けゼネコンだ。日雇い労働者は、「国民健康保険」「国民年金」に加入していれば現場入場は可能とされている。だが、その保険料を払える日雇い労働者は、ごく一部に限られている。実質的には、日雇い労働者の現場からの排除攻撃だ。交渉団は、この問題について、日建連を鋭く追及した。日建連の常務理事・山本は、「5年前から国土交通省、厚生労働省と協議会をやってきました」「下請け業者が雇用する労働者の保険料、法廷福利費を払えるような下請け価格を元請けも払うようにしてきています」「5年前から徐々に加入率は上がってきています」なぞと「成果」を強調し、「排除が目的ではなく、社会保険加入を進める下請け企業を増やすためです」なぞと言い訳に終始した。交渉団は、さらに、「元請けゼネコンは、これまで保険料を払えるほどの仕事と賃金を保証することはせず、今になって社会保険加入率を上げるという体裁を作るために、日雇い労働者を現場から排除しようとしている。これこそ『使い捨て』じゃないか!」と弾劾する。

 さらに、交渉団は、日建連に加盟する大成建設が名護新基地建設を請け負い、沖縄労働者人民に敵対することをやめろと追及した。これに対して日建連は、「いろんな意見があり、反対運動があることも承知しています」と言いつつ、「『国』に『やってくれ』と言われたら断れない」「東アジアの情勢は不安定で、尖閣諸島も危ない。安全保障政策は、必要です」なぞと言って戦争協力の国策会社の道を進む姿勢をあらわにしてきた。これに対して交渉団は、「戦前のような戦争協力を繰り返すのか!」という怒りの追及を叩きつけた。

「仕事をよこせ」と厚生労働省との団体交渉を闘う寄せ場労働者(3月27日)
「仕事をよこせ」と厚生労働省との団体交渉を闘う寄せ場労働者(3月27日)

 

「現場からの排除をやめろ」「『アブレ金』制度の改悪やめろ」「仕事を出せ」「労働法制改悪やめろ」と厚生労働省を追及

 

 寄せ場春闘集中行動の第2弾は、厚生労働省との団体交渉だ。八丁堀から霞ヶ関に移動した部隊は、雨の中を行き交う労働者に寄せ場春闘集中行動を告げる情宣を開始する。午前11時からの団体交渉を前にして、部隊全員で交渉議題の確認を行なう。議題は、(1)社会保険未加入と現場入場制限を連動させるな(2)「5日後の『アブレ金』口座振込みなどの制度改悪を撤回しろ(3)「働いて生きて行きたい」という日雇い・野宿労働者の声に応えろ(4)「働き方改革」と称した「残業代ゼロ化」などの労働法制改悪をやめろである。

 (1)~(4)の議題に対して、厚生労働省は、年金局事業管理課、職業安定局雇用保険課、職業安定局就労支援室、労働基準局労働条件政策課の担当者が合計10人で対応した。社会保険未加入と建設現場からの排除をめぐった厚生労働省の回答は、「国土交通省は、建設会社の社会保険に入れない労働者には国民健康保険や国民年金に加入することを求めており、その保険料が未納かどうかは問わないと言っています。ですから、とにかく年金手帳と健康保険証を手に入れてください」というものであった。この回答からも国土交通省が「建設現場からの排除」とセットで強行しようとしている「建設労働者の社会保険加入率を高める」なる政策が、加入率という数字を求めるだけのものであり、日雇い労働者を含む建設労働者に健康保険を保障するための政策ではないことが暴露された。「保険料を払えなくても保険証だけ作れ」というアリバイ作りだ。しかし、これとて住民登録が困難な野宿労働者、ドヤ暮らしと野宿を繰り返す日雇い労働者にはできないことだ。「住民登録できない日雇い労働者はどうしたらいいんだ!」という当然の追及が行なわれた。これに対して厚生労働省は、「そういった想定はしていなかったので、担当者が来ていません」なぞと逃げる。

 次は、「『アブレ金』の5日後の口座振込みへの変更」や「2ヵ月連続で同じ業者の雇用保険印紙を18枚以上貼っていたら、日雇雇用保険の対象外とする」という制度改悪をめぐってだ。交渉団から「その日その日の稼ぎで食いつないでいる日雇い労働者に『5日間飯を食うな』ということか!」「飯場に入ると同じ業者に行かされる労働者は、『アブレ金』を受けられなくなるじゃないか!」という当然の追及が行なわれた。これに対して、厚生労働省は、「口座が作れない人は、これまで通り当日窓口で現金支給します」「18枚以上貼っていても、常用雇用でなければ、『継続認可』の手続きをすれば『アブレ金』は受給できます」と回答してきた。今回の貼付印紙の枚数をめぐった制度改悪は、会計検査院が「日雇雇用保険を厳格に運用しろ」と注文をつけてきたことが発端となっている。1ヵ月に18日以上同じ業者で働く日雇い労働者は、「常用労働者だから一般の雇用保険に切り替えろ」というのが会計検査院の注文だ。だが、これは、建設現場の都合や人夫出し業者の都合で就労と失業を繰り返させられる建設労働者の実態を見ない「机上の空論」を強制するものでしかない。

 「仕事を出せ」という要求に対しては、厚生労働省は、「『緊急失業対策法』をめぐった過去の国会での評価があり、再び失対事業をやることはできません」「ハローワークの活用や技能講習、『生活困窮者自立支援制度』を活用してください」というこれまで通りの回答を繰り返した。これに対して、交渉団からは、「『ハローワークで仕事を見つけろ』と言うが、携帯電話も持てない労働者が仕事に就くことができると考えているのか!」「『生活困窮者自立支援制度』に入っても、行った先が人夫出し飯場じゃ、そのうち野宿に戻るのは分かり切っているじゃないか!」という批判と弾劾の声が飛んだ。

 最後の議題である労働法制改悪をめぐっては、安倍が「1ヵ月100時間残業」の法制化を強行しようとしていることをめぐって追及が行なわれた。厚生労働省は、交渉団からの「これは『過労死ライン』とされる1ヵ月100時間の残業を労働者に強制できる法律になるんじゃないか!」という指摘に対して、「その恐れはあります」なぞと答えるありさまだ。さらに、「そうならない措置はどうするんだ!」という追及に対しては、「労働基準監督署が提出された『労使協定』が守られているか監督します」なぞと答えてきた。これもまた、「机上の空論」であり、労使協定さえ結ばずに長時間労働を強制している資本を野放しにするということに等しい姿勢だ。

「働き方改革粉砕!」と日本経団連を弾劾する寄せ場労働者(3月27日)
「働き方改革粉砕!」と日本経団連を弾劾する寄せ場労働者(3月27日)

国土交通省を弾劾し、日本経団連に「『働き方改革』粉砕!」「『死の商人』化を許さんぞ!」と弾劾を叩きつける

 

 全国寄せ場交流会の部隊は、厚生労働省から国土交通省に移動し、「社会保険未加入」を理由にした日雇い労働者の建設現場からの排除を煽動する国土交通省に弾劾の声を叩きつけた。建設業を監督する官庁である国土交通省は、「建設労働者の社会保険加入率が低い」「若年労働者が建設業に入ってこない」と騒ぎ立てている。日雇い労働者から仕事を奪う国土交通省に怒りのシュプレヒコールが叩きつけられた。

 続いて、部隊は、大手町の日本経団連に移動した。日本経団連は、日本経済を支配する日帝資本の牙城だ。2017年春闘に対しては、「経労委報告」で「『働き方改革』で生産性を上げろ」と主張し、賃下げ、労働法制改悪、さらなる「非正規化」を煽動している。

 部隊は、ただちに、怒りのシュプレヒコールを叩きつける。「2017年春闘を闘うぞ!」「大幅賃上げをかちとるぞ!」「『働き方改革」粉砕!」「労働者の使い捨て攻撃を粉砕するぞ!」「日本経団連は、日雇い労働者の声を聞け!」。

 用意した抗議文を読み上げる。抗議文を読み上げた代表の仲間を先頭に、全国寄せ場交流会の部隊は、経団連会館の正面玄関に押し寄せる。「日本経団連は俺たちの声を聞け」「2017年春闘を闘うぞ」というシュプレヒコールを叩きつけ、抗議文をガードマンに受け取らせ、日本経団連を弾劾する闘いをやりぬいた。

                             〈全国寄せ場交流会〉