乾坤一擲(けんこんいってき)
安倍政府は、「共謀罪」=「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法」改悪案を、参院本会議で強行可決した。戦後刑法体系は、「既犯」(実行行為)の処罰を原則としていた。だが、「共謀罪」成立によって、それは根底から覆り、国家権力が実行行為が無くとも処罰できる権限を持つことになる。「『治安維持法』の復活」と言われるゆえんだ。▼国家権力は、闘う労働者人民の団結(組織)に対して何の定義もなく、恣意的に「組織的犯罪集団」と規定し、スパイや密告、盗聴などによる情報収集・証拠収集を強行してくるだろう。昨年、強行成立させた改悪「刑事訴訟法」等によって、「盗聴法」改悪や「司法取引」導入が強行されている。安倍は、これらを駆使し、「新たな捜査手法」をさらに拡大し、「一億総監視社会」「密告社会」を作ろうとしている。▼戦前の労働運動は、「治安維持法」による弾圧と、右翼ファシストによる白色テロに屈服し、「産業報国会」に転落し、朝鮮―中国―アジア労働者人民の虐殺に加担していった。われわれは、この痛苦な歴史を何としても突破しなければならない。▼「共謀罪」制定を強行した安倍は、次には改憲に突き進もうとしている。秋の臨時国会に「自民党改憲案」を上程すると息巻いている。「残業代ゼロ化」の「労働基準法」改悪案に賛同し、「産業報国会」への転落を深める「連合」を突破して闘う労働組合運動の建設が急務だ。改憲攻撃と正面から対決する労働組合運動、「共謀罪」弾圧や右翼の白色テロを打ち砕く労働組合運動の建設に全力をあげよう。(木村)