5・10「君が代」不起立被処分者に対する「再発防止研修」粉砕闘争
東京都教職員研修センター前で抗議と激励
2016年度卒業式において、「日の丸」「君が代」を強制する東京都教育委員会の「10・23通達」と対決する教育労働者2人が、「君が代」不起立を闘った。この闘いに対して、都教委は、4月13日の第7回定例会で2人の懲戒処分(不起立4回目の工芸高校教員A氏に減給10分の1・1月、不起立3回目の葛西南高校教員B氏に戒告)を決定し、4月20日に処分発令を強行した。都教委は、処分を発令した2人を、5月10日、東京都教職員研修センターに呼び出し、「服務事故再発防止研修(再発防止研修)」の受講を命令した。当該教員2人のうち1人は東京「君が代」裁判3次訴訟原告として「減給処分取消」が確定しており、もう1人は同4次訴訟原告として東京地裁で処分取り消しを求めて係争中である。これらの事案について「服務事故」と決めつけ、命令で「研修」を課すことは、「学校教育法」・「教育公務員特例法」が定める「研修」の趣旨から著しく逸脱するものであり、司法判断さえも無視して思想転向をせまる攻撃だ。絶対に許してはならない。
5月10日、早朝から都教職員研修センター前には当該を支援する教育労働者など50人が駆け付け、都教委に対する抗議とA氏、B氏を激励する行動に起ち上がった。
午前8時20分、この日の行動を呼びかけた「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会(被処分者の会)」の岩木共同代表が司会を務め、早速、門前での抗議集会が開始される。集まった仲間たちが怒りのシュプレヒコールを立ちはだかる都教委職員に対して浴びせかけた。「『再発防止研修』反対!」「『再発防止研修』を中止しろ!」「都教委は、思想・良心の自由を侵すな!」「教育の自由を侵すな!」「『日の丸・君が代』強制反対!」「不当処分を撤回しろ!」「『10・23通達』を撤回しろ!」「当該と連帯して闘うぞ!」
都教職員研修センター総務課長を追及
「被処分者の会」の近藤徹事務局長が当日の行動提起を行ない、「再発防止研修」の不当性と闘いへの呼びかけを行なう。「朝早くから不当な憲法違反の『再発防止研修』に抗議する闘いに参加され、ありがとうございます。本日の『再発防止研修』は、私たちの信念の行動に対して『服務事故』と決めつけ、『研修』を課すという極めて不当なものです。2004年7月、東京地裁は、『そのような研修をくり返せば、違憲・違法の可能性がある』との決定を下しています。都教委も、この決定を受け入れています。そのような憲法違反の疑いのある『再発防止研修』を、都教委は、13年間も強行してきました。このようなことは決して許されるものではありません。憲法を投げ捨て、踏みにじり、憲法にもとづき自らの思想・良心の自由にもとづいて起立しなかった人をいじめる弾圧である『再発防止研修』を決して許すことはできません。『再発防止研修』は、被処分者に対するイジメであり、反省すべきは都教委です。私たちは断固として本日の『再発防止研修』に抗議する闘いを闘います」。
続いて、都教職員研修センター総務課長に対する、「被処分者の会」の抗議声明が読み上げられ、「許すな! 『日の丸・君が代』強制、止めよう! 安倍政権の改憲・教育破壊全国ネットワーク」(「ひのきみ全国ネット)、「河原井さん根津さんらの『君が代』解雇をさせない会」が「『再発防止研修』を中止せよ」という申し入れを行なう。これに対して、総務課長・ミズナガは、「本日の『研修』は、予定通り行ないます。以上であります」と答えるのみであり、さらに「総務課長は、2004年東京地裁決定を知っているのか」という追及に対しても、「答える立場にありません」という紋切り型の「回答」であった。
シュプレヒコールと拍手で該当者を激励
「研修」開始時間の9時が近づき、「研修対象者」の2人を拍手で送り出し、シュプレヒコールが都教職員研修センターに対して叩きつけられる。「送り出し」の後も「研修」という名の転向強要攻撃と対決する当該を、激励するための集会は続けられた。
「東京『君が代』裁判第4次訴訟原告団」は、「4次訴訟は、3月15日に結審し、9月15日が判決日となりました。14人の原告団は、東京地裁で3年間闘ってきました。原告団は、裁判で『〝教育の自由〟が蹂躙されている』、『都教委のやり方は〝不当な支配〟だ』と主張してきました。今日、『研修』を受ける1人は、不起立4回目で『減給』処分を課せられています。最高裁判決は、累積加重システムを断罪しています。都教委は、断罪された累積加重システムを復活させ、『4回目以上』の線引きを行ない、それ以上の不起立は『減給処分で行くんだ』と恥知らずにも宣言しています。絶対に許すわけにはいきません。これを跳ね返す決意をもって、9月15五日の判決を迎えます。森友学園の問題を逆手にとって『教育勅語』を使うことを閣議決定するということが行なわれています。新『学習指導要領』では、幼稚園・保育園でも『日の丸・君が代』を強制しようとしています。教育の反動化、政治の反動化に対しても共に連帯して闘って行く必要があると思います。われわれの闘いは、『戦争させない闘い』と不可分に結びつき、重要性が増していると思います。連帯して闘い、勝利しましょう」。
弁護団の平松弁護士、都教委から懲戒免職処分を受けた元公立中学校教員の発言に続いて、東京・山日労は、「今日、東京・山日労の組合員は、この『再発防止研修』を許さない闘い、国会前での『共謀罪』阻止の行動、韓国サンケン労組の解雇撤回闘争の支援の行動と、3つの闘いの現場に行っています。安倍の戦争にむけた攻撃に対して、私たちは『反戦・反失業』を闘いの基調として闘っています。今年の春闘では、『社会保険未加入』を理由として日雇い労働者を建設現場から排除する攻撃を許さず闘いました。安倍と資本家たちが労働者の闘いを弾圧する攻撃、戦争に動員して行く攻撃を許さぬために、『日の丸・君が代』強制攻撃を共に打ち砕きましょう」と発言した。
最後に、「研修」終了時刻の午後〇時15分に、再度、研修センター前に結集することが確認され、抗議・激励行動は一旦終了した。
2人の当該が「研修」への怒りと闘う決意を表明
午後〇時15分すぎ、再び研修センター前で、抗議集会がシュプレヒコールをあげて、再開された。「被処分者の会」の星野共同代表は、「480人が『10・23通達』以来、不当処分を受けてきました。憲法99条には、『公務員は、憲法を守れ』と書いています。憲法を踏みにじり平気でウソをつく安倍や、天下りをやっている文部科学省の役人が、子どもたちに『道徳』を押し付けようとしています。一番『道徳』から遠い連中がです。都教委がやっている『再発防止研修』も、安倍がやっていることと同じです。人権侵害そのものです。裁かれるのは、都教委です。絶対に許すわけにはいきません」とアピールした。
「研修」を終えて出てきたBさんは、「今日から『研修』のスタートの日だ。自分は、定時制の教員で夕方から授業がある。しかし、本日は、勤務時間を変更され午前9時からとされた。生徒の学ぶ権利を奪ったのは、『再発防止研修』だ」と批判した。Aさんは、「工芸高校で9年目になります。今日は、電車が遅れて満員電車となり大変だった。しかし、『研修』の方が苦行だった。3時間、無為に過ごしたようなものだ。12時30分まで目いっぱいで、途中休憩はない。講義後に『振り返りシート』があり、『どう考えますか?』などと聞かれ、回答しなかったが、突っ込まれることもなかった。2004年の地裁決定が効いていると思った。これからの裁判闘争をしっかり闘い、権利侵害をさせないようにしたい」と決意を語った。
集会の最後に、近藤氏が、「われわれの闘いは、戦争への道を許さぬ闘いとして意義があると自負しています。裁判と行動を両輪にして闘いましょう。2人の『研修』は、これで終わらず、長期の『所属校研修』、月1回の『指導主事所属校訪問研修』、2回目の『センター研修』があります。長期の闘いになりますが、皆さんの励ましが力を与えてくれると思います。共に頑張りましょう」と呼びかけ、1回目の「センター研修」当日の行動を終えていった。
〈神奈川県地域連合労働組合〉