6・16韓国サンケン労組解雇撤回闘争勝利報告会

「労働者の尊厳をかけて闘い、勝利した」と報告するキム・ウニョンさん(6月16日)
「労働者の尊厳をかけて闘い、勝利した」と報告するキム・ウニョンさん(6月16日)

6・16

「韓国サンケン労組 解雇撤回闘争勝利報告会」

 

100人を越える結集で「解雇撤回闘争勝利報告会」

 

 韓国サンケン争議は、整理解雇を撤回させ、組合員16人全員の原職復帰という完全勝利をかちとった。昨年9月30日の整理解雇から246日、日本遠征闘争229日を経ての画期的な勝利だった。

 6月16日午後6時半から、「韓国サンケン労組」と「韓国サンケン労組を支援する会」の主催で、「韓国サンケン労組 解雇撤回闘争勝利報告会」が、東京・全水道会館で行なわれた。「韓国サンケン労組」の争議当該5人をはじめ、全国金属労組の副委員長、慶尚南道支部長なども参加し、日本の支援団体・個人を加えて100人以上が結集した。共に勝利の美酒を味わい、労働者の国際的な連帯闘争の前進に向け闘うことを誓った。

 「韓国サンケン労組日本遠征団」を受け入れた全国労働組合連絡協議会からの主催者あいさつの後、「韓国サンケン労組」分会長のヤン・ソンモ氏が、報告とお礼を述べる。「昨年9月30日の解雇時に34人いた組合員は16人となったが、全員が原職復帰を果たした。今後、ひと山もふた山もあるだろうが、会社がどんな攻撃を仕掛けてきても揺らぐことはない。これまでの八ヵ月より、もっと厳しい闘いが待っているかもしれない。しかし、私たちは、みなさんの思いを胸に刻み、労働者として胸をはって活動していきたい」。

 「韓国サンケン労組 解雇者復職闘争委員会」共同議長で、日本遠征団の中軸を担ってきたキム・ウニョン氏は、「資本が投げ出す『慰労金』というエサに食いつかない勝利をかちとった。労働者の尊厳をかけて闘ってきた。雨の日も雪の日も、早朝の本社前行動を支えてくれた日本の支援者がいなければ、この勝利はなかった。私たちは、仲間のことを同志と呼ぶ。何も相手に望まず、見返りを求めず、相手のために身を投げ出す。それが共に闘える同志だと思う。皆さんを同志として胸に刻んでいく」。また、キム・ウニョン氏は、文章で「お礼の言葉」を述べ、「みなさんに最初から最後まで約束していた原職復帰! 『慰労金ではなく原職復帰の闘争勝利で応えます』、と言っていた約束を守ることができて心から喜んでいます。私たちの勝利は、韓国サンケン分会の勝利ではなく、韓国の労働者と日本の数多くの仲間たちと私たちすべての勝利です。ありがとうございました」と結んでいる。

 全国金属労組副委員長のファン・ウチャン氏は、「昨年、朴槿恵政権打倒の闘いで、『暗闇は光に勝つことはできない。真実は沈むことはない』と言ってきた。必ず、私たちは、勝てるということだ。労働者は、ひとつだという真実の下で皆さんとともに歩んでいく」。

 全国金属労組慶尚南道支部支部長のホン・ジウク氏は、「韓国では文在寅政権を誕生させた。新政権がどういう政策をとっていくか未知数だが、労働者の権利のために闘う。世界の労働運動の前進に貢献していく」。

 乾杯の後、「思い出のあの場面」として、韓国サンケン争議を映し出したDVDが上映され、争議団連絡会議などの連帯あいさつ、「韓国サンケン労組」によるユルトン(律動)が披露される。閉会のあいさつを「韓国サンケン労組を支援する会」の尾澤孝司氏が行ない、「身体をはった門前闘争があり、それに共感した日本の人たちがいて闘いの輪が広がった。その結果としての勝利だった」とし、最後に、「団結ガンバロー」で報告集会は締めくくられた。

 

国境を越えた労働者の日・韓連帯、国際連帯の闘いを

 

 2016年12月27日、慶南地労委は、最終的に「韓国サンケンの整理解雇は不当」と認定、「韓国サンケン労組」被解雇者の復職を命じた。これに対し、会社側は、今年1月に入り、地労委の命令を不服として、中労委に提訴した。この間、4月28日の中労委の決定が下りるまでの間に、34人の労組員に対する、切り崩し攻撃を激化させ、18人が家庭の事情や、様々な理由で解雇撤回闘争から離脱し、16人の組合員が残った。

 4月28日、中労委でも、韓国サンケンの整理解雇に対して、「解雇は不当」との判定が下された。韓国サンケンは、これを逆手にとって、労働組合と何も協議せず、5月11日、一方的に、組合員16人に対し、「明日(5月12日)から出社しろ」という「復職命令」を送ってきた。しかも、「生産部門の廃止」、「工場の売却」は変わらないという。

 5月12日、組合員が復職した職場は、生産現場ではなく、椅子が16個あるだけのガランとした空間であった。トイレ以外には自由に行き来することができない「監禁」である。さらに、韓国サンケンは、生産部門で働いてきた労働者に、営業や技術開発や設計部門に配置するというのだ。中労委の決定は、〝韓国サンケンの解雇は不当解雇であり、労働者を原職に復帰させろ〟というものだった。これに対して、会社が行なったのは、労働者を「低成果者」として再び解雇するための狡猾な仕打ちであり、あるいは、労働者が自ら退職するように仕向けてきたのだ。

 これに対して、全国金属労組は、「韓国サンケンは、偽装的な復職とパワハラを中断せよ」との声明を発し、「韓国サンケンは、今からでも中労委の原職復職の裁定を誠実に履行せよ」とした。

 これ以降、水面下での交渉を含めて、一気に攻防が煮詰まっていく。「韓国サンケン労組」は、以下のような具体的要求を提示する。「1、工場の正常化(生産部門の再稼働)に最大限努力し、生産部門の再稼働時には直ちに生産職として原職復帰を行なう。2、生産部門の再稼働前までは雇用を全面的に保障する。2016年9月30日付の解雇を取り消す。生産職に対する実質遂行可能な業務を与える。今後、解雇や懲戒に関する一切の措置を行なわない。3、労働組合の活動を保障し、組合への弾圧を禁止する。4、現行の労働協約と労働条件を維持すること。5、今後、重大な雇用問題が発生した際には、組合側と合意に達してから行なう。6、工場正常化のための様々な努力を行ない、合意書に書かれていない追加の諸事項については労使合意で進める」。

 こうした中で、6月2日、韓国サンケンが、中労委の「不当解雇判定」に従って、整理解雇が「遺憾」であることを認め、合意が成立した。

 合意内容は、「①整理解雇の撤回、②生産部門の廃止を撤回し16人の整理解雇者全員を生産職に復職させる、③労働組合の存在を認めて活動を保障する、④これまでの労働協約を維持する」というものだ。整理解雇を撤回させ、原職復帰をかちとった画期的な勝利である。

 この勝利は、「韓国サンケン労組」の断固とした闘いと、これに連帯した日帝足下の労働運動がかちとったものだ。国境を越えた労働者の日・韓連帯、国際連帯の闘いを断固として闘いぬこう。

                            〈東京・山谷日雇労働組合〉