基調提起
全労交呼びかけ人 全国寄せ場交流会
山崎弘氏
(一)
春闘勝利総決起集会に結集した闘う仲間の皆さん!
2018年春闘は、3月14日に主要企業の集中回答日を迎えた。首相・安倍が企業に賃上げを求める「官製春闘」は、今年で5年目となった。
安倍が「賃上げ要請」を行なう目的は、「『アベノミクス』で賃金が上がった」というアリバイを作るためでしかない。3月14日には、トヨタやパナソニックなどの「大企業正社員」に対して1500円から3000円程度の「ベースアップ」回答が出ている。しかし、2000万人を超えた「非正規雇用」労働者や、中小企業労働者、未組織の労働者にとっては、「ベースアップ回答」なぞ「他人事」でしかない。それどころか、400万人もの「有期雇用」労働者は、「2018年問題」と呼ばれる「無期雇用義務化」から逃れようとする企業によって、「雇い止め」―首切り攻撃に直面している。
このように、安倍と資本家たちの攻撃が強まっているにも関わらず、日本最大の労働組合組織である「連合」は、「官製春闘」に依存し、経営者側から「幅を持たせた要求は、現実的な対応だ」なぞと評価されるような「春闘要求」を行ない、平然としている。
今、日本労働運動に求められるのは、資本に打撃を強制するストライキを「当たり前」の闘いとして打ちぬき、要求を実現する荒々しい運動だ。そして、「非正規雇用」労働者などの最も厳しい立場に立たされている労働者の怒りと要求に基づいた運動だ。さらに、資本家たちが世界を支配するための戦争によって労働者を虐殺することを許さない「反戦」の闘いも決定的に重要だ。朝鮮半島を戦場にする戦争への突入を煽りつづける安倍政府を打倒する闘いを春闘の只中で実現しなければならない。
本日の春闘勝利総決起集会の圧倒的な成功をかちとり、2018年春闘を「生きて行ける賃金を払え!」「大幅賃上げを実現しろ!」という要求を掲げ、反戦・反合・政府打倒春闘として闘いぬこう。
(二)(略)
(三)
安倍は、2018年通常国会を「働き方改革国会」なぞと銘打ち、「働き方改革関連一括法」案の成立強行を狙っている。実質的には「改憲勢力」と成り果てている「連合」をはじめとして、日本労働運動を戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動に転落させようとする攻撃だ。
「一括法」案をめぐっては、「企画業務型裁量労働制」の対象拡大を狙う安倍や厚労相・加藤が、「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」「厚生労働省が実施した実態調査のデータがある」なぞという答弁を繰り返したことで国会審議が紛糾し、ついには、「一括法」案から「企画業務型裁量労働制の対象拡大」を削除せざるを得ない事態となった。
「裁量労働制」は、実際の労働時間とは関係なく、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」分の賃金だけを支払う制度のため、「人件費抑制」を狙う資本家たちが「定額働かせ放題」の制度として、営業職などへの対象拡大を要求してきたものだ。安倍は、資本家たちの要請に応え、「長時間労働の是正にもつながる」なぞというペテンと粉飾をもってこれを導入しようとしたのだ。
安倍や厚労相・加藤が根拠とした厚生労働省の「2013年度労働時間等総合実態調査(実態調査)」は、同じ人の残業時間が一週間よりも一ヵ月の方が短いなどの不自然な数値が数百件も出たり、「裁量労働制」労働者の労働時間と一般労働者の労働時間の算出方法が違うなどといった問題が露見した。「実態調査」が検証に耐えないシロモノであることが満天下になるに及び、安倍は「一括法」案から「企画業務型裁量労働制の対象拡大」の削除を指示せざるを得なくなった。しかし、安倍は、「労働時間規制」から除外する「高度プロフェッショナル制度」の創設を規定した「労働基準法」改悪案の成立強行はあきらめていない。
「高度プロフェッショナル制度」は、年収1075万円を超える金融ディーラーなどを「労働基準法」が定める労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規制の対象から外すという「ホワイトカラー・エグゼンプション」そのものだ。資本家たちは、「高度プロフェッショナル制度」の創設を突破口にし、すべての労働者に対する「残業代ゼロ化」「8時間労働制」解体を狙っている。
安倍が「長時間労働を是正するため」「同一労働同一賃金を実現するため」なぞと称して強行しようとしている「働き方改革」の真の狙いは、労働者階級を長時間労働で過労死するような生産性向上に狩り立て、労働者保護法制を一掃して資本の責任をなくし、団結権・団体交渉権・争議権を奪い取り、戦争翼賛の労働運動で制圧しようとするものだ。安倍は、朝鮮半島を戦場にする戦争への突入の時期を計りながら、改憲と一対のものとして「一括法」案の成立強行を狙っている。戦争遂行のためには、労働者階級の団結を解体し、「戦争に協力する職場」「戦争翼賛の労働運動」へと日本労働運動を転落させることが不可欠と考えているのだ。2018年春闘の爆発をもって「一括法」案粉砕をかちとろう。
(四)
「連合」は、「過労死」の労災認定基準となっている「一ヵ月80時間」を超える「一ヵ月100時間の時間外労働」を容認し、「時間外労働の上限規制」を「労働基準法」に書き込むことと引き換えに「高度プロフェッショナル制度」を容認した。これを政労使合意にするために蠢いたことが暴露されると、「連合」本部は労働者の怒りで包囲された。さらに、昨年の衆院選直前には、民進党から「希望の党」への「改憲反対派」・「安保法制反対派」議員の転入を排除するために蠢いた。
「連合」は、「働き方改革」「労働生産性の向上」に全面協力し、「企業の収益拡大」によって「賃上げ」を手にすることを公言している。「大企業正社員クラブ」として、過労死に至るほどの長時間労働を強制する側に立ち、「非正規雇用」労働者を「踏み台」にすることを平然と行なっている。「ワーキング・プア」の生活を強いられている「非正規雇用」労働者からは、「賃金が上がったら、病院に行きたい」という悲痛な声が上がっているのだ。こんな連中にいつまでも「労働組合」を名乗らせてはならない。
全労連は、「天皇制支持」「自衛隊支持」を内容とする共産党の「野党共闘」方針に傘下の労働者を動員することだけが「活動」となっている。
安倍と共に資本主義経済の防衛を共通の目的にするこれらの勢力が、5000万労働者を制動することを許してはならない。
2018年春闘を反戦・反合・政府打倒の闘いとして爆発させよう。「連合」、全労連を突破して闘う日本労働運動の前進・飛躍を実現するために、公務員労働運動、教育労働者運動、寄せ場労働運動、「非正規」争議の前進をかちとり、闘う原発労働者の組織化を全力で推進し、沖縄・名護新基地建設阻止の現地実力闘争に決起しよう。安倍の戦時国家体制形成―戦争動員攻撃と対決する卒・入学式での「君が代」不起立闘争の爆発をかちとろう。全国寄せ場交流会が呼びかける日建連、日本経団連、厚生労働省に対する3・26寄せ場春闘集中行動を闘おう。この闘いの中から「連合」、全労連を突破してゼネストを展望する日本労働運動の新たな結集軸を建設する事業の前進をかちとろう。