3・31卒業式総決起集会

「君が代」処分粉砕にむけた闘いの決意を固めた集会
「君が代」処分粉砕にむけた闘いの決意を固めた集会

3・31卒業式総決起集会

 

「不起立」つぶしに奔走する都教委

 

 東京都立学校での卒・入学式で「日の丸」「君が代」を強制する都教委の「10・23通達」と対決する教育労働者の闘いが粘り強く闘われている。2003年の「10・23通達」の発令以来、14年間にわたって毎年『君が代』斉唱時の「不起立」決起が闘われ、都教委によって処分を受けた教育労働者は、延べ482人にものぼっている。482人の中には、18人の「再処分者」も含まれている。しかし、2017年度卒業式に当たって、都教委は、徹底した「不起立」つぶしを強行してきた。これまで不起立決起してきた教育労働者に対して、卒業を迎える学年の担任から外したり、卒業式当日には卒業式会場に入れないような業務を命じるというやり方で「不起立」つぶしを画策したのだ。

 例年、都教委は、卒業式での「君が代」斉唱の際に不起立決起した教育労働者を都庁に呼び出し、事情聴取を強行し、3月下旬に不起立者への処分を発令してきた。3月31日の時点で「日の丸」「君が代」強制と対決して闘う「五者卒・入学式対策本部」に「不起立決起」―「処分発令」の報告は入っていない。「五者卒・入学式対策本部」は、例年開催してきた「卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会」を、「卒業式総決起集会」と集会名称を変更して「日の丸」「君が代」強制と対決する集会を開催した。

 3月31日、午後1時30分から、豊島区生活産業プラザで「五者卒・入学式対策本部」(「五者」とは「『日の丸・君が代』予防訴訟をひきつぐ会」「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」「『日の丸・君が代』不当解雇裁判をひきつぐ会」「『日の丸・君が代』強制反対・再雇用拒否撤回を求める二次原告団」「同三次原告団」で構成されている)が呼びかけた集会には、現役の教育労働者、教職員のOB、また支援者ら60人近くの労働者人民が結集した。

 集会は、開会挨拶に続いて、「五者卒・入学式対策本部」の川村氏が、「今年の卒業式をめぐる状況」の報告を行なった。「都教委は、校長連絡会・副校長連絡会において『教育課程の適正な実施』という文書を配布し、今年も、卒業式にいたるまでの管理職の行動を事細かく規制している。例えば、都教委が『問題がある』とみなす教員の職員会議での発言や同僚教員への働きかけの様子や、個別的職務命令の受け取り状況などを事細かく記載し、報告することなど、教員の思想行動の監視を管理職に要求しているのだ。また、当日の年休行使にも『時季変更権』の活用について言及している」「昨年の入学式から都立看護専門学校でも『君が代』の斉唱が始まった」「改定学習指導要領の『公共』にさきがけて、〝“高校版道徳〟の『人間と社会』授業がすでに都立高校では行われている」「『戦争をする国』へと突き進もうとしている流れを食い止めるため、生徒のための卒業式を取り戻すために、『10・23通達』を撤回させる取り組みを今後大きく展開していく必要があります」。

 

「10・23通達」撤廃にむけて闘いぬくことを決意

 

 4月18日に、東京「君が代」裁判第4次訴訟の控訴審判決を迎える原告の大野氏は、「去年9月の東京地裁判決では、戒告処分は撤回されませんでした。減給処分は撤回させることができましたが、この部分について、都教委は、控訴してきました。控訴審裁判では、戒告にくさびを打ち、減給処分はできないんだということを確定的にすることを目標にしてきました。控訴審は、口頭弁論の後に一発結審になり、計画していた証人の意見などができなくなりました。一回で結審した裁判長に期待はできませんが、どんな判決が出ても、最高裁までがんばろうと思っています。4月18日の判決公判に多くの皆さんが集まってくれるようにお願いします」。

 弁護団の澤藤弁護士は、「昨日まで韓国に行っていました。韓国の人たちが長い闘いを毎日やっていることを知り、びっくりしました。『終末高高度防衛ミサイル』(THAAD)配備阻止の闘いもそうです。私が行った日の闘いが1229日目だと言っていました。そのエネルギーと明るさに圧倒されました。『闘い続けることが自分たちができることだ』と言っていました。私たちも『10・23通達』以来15年闘ってきました。憲法に照らせば、行政の違法が明らかであり、『絶対に勝つはずだ』と思い、裁判闘争をやってきました。私たちがかちとった難波判決は当たり前の判決です。しかし、『当たり前』と思えたのは、わずか5ヵ月でした。憲法問題だけではなく、行政の裁量範囲の逸脱・濫用の問題も少し認められました。『日の丸・君が代』の強制は、『国旗・国歌に敬意を表せ』『国家に対する忠誠を表せ』ということです。しかし、国を作っているのは一人一人の国民であり、その国民こそが主権者です。戦前の教育は、イデオロギーの注入の場所だった。国家神道の考えを注入する場だったと思います。日本国憲法は、教育をイデオロギー注入をする場ではなく、人格を育てる場としている。そういうことを明らかにするために、4次訴訟で証人申請をしましたが、採用されませんでした。今後も『個人のために国家はある』ということを主張し、闘いぬいていきたいと思います」。

  続いて、「再処分該当者の発言」、会場からの発言、「都教委包囲ネット」からの今年の卒業式へのビラまき報告が行なわれ、質疑応答では、最近の学校現場の状況として、高校新学習指導要領の新科目である「公共」の危険な問題点などについての活発な意見が出された。また、現職の教員からは、「10・23通達」そのものが忘れられようとしており、「日の丸」「君が代」の強制の意味すら理解されないという危機感が訴えられた。

 最後に、集会参加者は、再処分該当者への処分発令を許さないファックスを都教委に集中すること、4月18日の「4次訴訟」判決公判への結集などの行動を確認し、集会を終えていった。4月18日、都教委は、都立武蔵丘高校の今年度卒業式で「君が代」不起立を闘った教育労働者に対して、戒告処分を発令している。

                         〈東京・山谷日雇労働組合〉