6・28、6・29「働き方改革関連一括法」成立阻止闘争
「反革命翼賛国会粉砕」の旗幟を鮮明に闘う)
6月27日、参院本会議が開かれ、前日に出されていた厚労相・加藤に対する問責決議案の採決が行なわれ、否決された。いよいよ、参院厚生労働委員会での採決の動きが強まる。反安保労研全国センターの呼びかけに応えた闘う労働者は、6月28日、参院前での闘いに決起した。東京・山谷日雇労働組合と東京都地域連合労働組合も、この闘いに結集し、闘い抜いた。
この日は、午前10時から審議がはじまった。2時間審議をおこなった後の午前12時、立憲、共産、自由、社民の野党四党が厚労委委員長・島村(自民)の解任決議案を提出した。このために、議院運営委員会が開かれ、委員会は中断する。そして午後6時45分になって委員会が再開される。島村の解任決議案が提案された以上、これを翌日の本会議で採決するのが慣例のはずだが、この日の参院議院運営委員会は、参院本会議で扱わないことを決めたというのだ。これは、参院の野党第一党であり、「対決より解決」を「売り」にする「国民民主党」が、翼賛政党ぶりを発揮したことによって起きた。再開された委員会は、午後7時20分に採決を強行し、可決した。
参院前で闘う部隊は、委員長の解任決議案を本会議で扱わないなぞという「荒業」まで繰り出して「働き方改革関連一括法(一括法)」の成立強行を狙う安倍政府と、アリバイ作りさえ投げ出して翼賛政党への道をひた走る野党への怒りを込めて可決弾劾のシュプレヒコールを叩きつけていった。
前日の参院議院運営委員会が厚労委委員長・島村に対する解任決議案を本会議で扱わず、委員会採決を強行したことによって、「一括法」案の成立は、参院本会議での採決を残すだけとなった。闘う部隊は、29日早朝から「一括法」案粉砕の最終決戦攻防に決起した。
この日は、午前9時半から参院議院運営委員会が開かれ、10時から本会議を開き、「環太平洋パートナーシップ協定」関連法案などとともに、「一括法」案の採決を行なうことが決定された。午前10時50分から厚労委委員長・島村が委員会報告を行ない、続いて、民進、自民、立憲、維新、共産の各党が「反対」「賛成」の討論を行なった後、採決を強行し、可決―成立した。参院前で闘う部隊は、参院本会議での採決強行―可決・成立の一報を聞くや、ただちに弾劾のシュプレヒコールを叩きつけた。
「働き方改革関連一括法」案の成立強行徹底弾劾
「高度プロフェショナル制度」の創設をめぐっては、厚労相・加藤が、1月段階で「労働者のニーズがある。聞き取り調査をおこなった」と答弁し、「立法事実」があることを強調していた。しかし、参院の審議で明らかになったのは、その「聞き取り調査」は、東京都内の、わずか12人を対象にしたものでしかなかった。また、その「聞き取り調査」の時期は、12人のうちの3人は、2015年3月であり、残りの9人は2018年2月であったことが明らかになった。2015年2月には、「高度プロフェッショナル制度」創設を含む「労働基準法」改悪案が労働政策審議会(労政審)に諮問されている。たった3人の「労働者のニーズの聞き取り調査」でさえ、労政審への諮問後にアリバイ的に行なわれていたのだ。2018年2月の「聞き取り調査」も、国会審議での追及に対する対策として行なわれたものでしかない。さらに、その「聞き取り調査」の方法も、企業に「聞き取り」の協力を依頼し、企業内の一室で、企業側が選んだ労働者を対象にし、企業側も同席して行なわれていたことが判明している。労働者が反対意見を言えない状況で行なわれた「聞き取り調査」なぞ「調査」には値しない。これらのことから言えるのは、「高度プロフェッショナル制度」を創設する「立法事実」なぞ無かったということだ。「労働者のニーズ」をデッチ上げて「一括法」の成立が強行されたのだ。
安倍政府は、衆・参ともに改憲に賛成する議員が3分の2を超え、「出せば通る」という翼賛状況を利用し、「一括法」案の成立を強行した。「一括法」は、「残業代ゼロ化」の「高度プロフェッショナル制度」の創設だけではない。今後の労働政策の目的を「生産性向上」とし、そのために、「非雇用型の就労」を拡大するための施策を行なうとしている。労働者階級から「団結権」「団体交渉権」「争議権」を奪い、「お国のため、企業のため」に、「過労死するまで働け」という攻撃だ。「一括法」は、原則2019年4月から施行される。労働現場での闘いでこれを粉砕することは自明の方針だが、これに加えて、今国会で急速に進行した「連合」の翼賛労働運動への転落、自称「野党」の翼賛政党化を見逃してはならない。ますます翼賛政党に成り果てている「野党」に期待した「野党共闘」なぞ敗北の道でしかない。
〈東京都地域連合労働組合〉