3・14河原井・根津2008年処分控訴審判決公判闘争

3・14 「河原井・根津2008年『君が代』不起立処分撤回控訴審」判決公判闘争

 

 3月14日、東京高裁で、河原井さん・根津さんの2008年度卒業式での「君が代」不起立の闘いに対して、都教委が下した停職6ヵ月処分の撤回と損害賠償を求める控訴審の判決公判闘争が闘われた。

 この「2008年河原井・根津停職処分(2008年処分)」をめぐった東京地裁の判決は、2017年5月22日に出ている。判決の内容は、河原井さんの6ヵ月停職は取り消したものの、根津さんの6ヵ月停職は取り消さず、2人の損害賠償請求は棄却するというものであった。根津さんの停職6ヵ月については、根津さんが「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」というトレーナーを着ていたことを問題にし、「学校の規律や秩序を乱す行為をあえて選択して実行したもの」と言い放ち、是認した。

 一方、前年の2007年度卒業式での河原井さん・根津さんの「不起立」の闘いへの処分(2007年処分)をめぐっては、都教委が河原井さんに停職3ヵ月、根津さんに停職6ヵ月の処分を発令したが、2015年5月、東京高裁が、2人の処分を不当として取り消し、損害賠償も認め(須藤判決)、2016年5月には、最高裁が都教委の上告を棄却し、確定している。

 当然、「2008年処分」をめぐっても、須藤判決―最高裁判決を踏襲し、取り消し判決が出て当たり前のはずだが、東京地裁は、河原井さんの処分は取り消したものの、根津さんの処分を是認し、2人の損害賠償請求を棄却するという不当判決を下したのだ。

 東京高裁の控訴審では、根津さんと同じようにトレーナーを着用していた教育労働者の証人尋問も行なわれた。証人は、「トレーナーを着用していても、管理職から一度も注意されたことはなかった」「『不起立』を行なって処分を受けても、トレーナー着用は処分理由になっていない」という証言を行なった。

 控訴審の判決を前にして、公判廷に隣接する控え室には、多くの教育労働者、支援の労働者が集っている。最近の「日の丸」「君が代」強制をめぐった裁判では、2015年の逆転勝訴判決を覆すような判決が続いている。控え室には、この流れを阻止する決意に燃えた人々の熱気が充満した。

 開廷時間が近づくと、公判廷には、10人以上の警備員が配置され、傍聴席にはテレビカメラまで入り、2分間の「前撮り」を行なった。これまでの判決公判とはまったく違った雰囲気だ。「前撮り」が終わると、裁判長・後藤は、判決主文、そして判決要旨を読み上げた。これもこの種の裁判では異例だ。通常、裁判長は主文しか読まない。結果は、請求を全面棄却するものだ。地裁判決と同じく、河原井さんの処分は取り消したが、根津さんについては、過去の処分歴や不起立前後に「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」のロゴ入りTシャツを勤務中に着ていたことなどを理由に処分を是認し、両者とも損害賠償は認めなかった。傍聴席からは、「不当判決だ」「憲法違反の判決だ」「裁判長は、安倍を忖度している」といった怒りの声が次々と上がった。

                          〈東京・山谷日雇労働組合〉