特集「『連合』、全労連を突破し、全労交の躍進を

「一括法」の衆院委員会採決阻止を闘う全労交に結集する労働者(2018年5月25日)
「一括法」の衆院委員会採決阻止を闘う全労交に結集する労働者(2018年5月25日)

特集「『連合』、全労連を突破し、全労交の躍進を

 

〈「連合」第七八回中央委員会〉 

 

 「連合」(675万人)は、2年ごとに開催する定期大会の中間年にあたる今年、10月11日に千葉県浦安市内で第78回中央委員会を開催した。

 会長挨拶で神津は、「改憲」をめぐっては、「連合三役会としては、『一定の時期を念頭においた憲法改正ありきで拙速な議論が進められることは認められず、まずは国会で国民的な合意形成につながる丁寧な議論を十分に行なうことを求めていく』との認識を確認した」とした。「連合」の三役には、「改憲推進」を主張する「UAゼンセン」の逢見や「金属労協」の相原がおり、「改憲反対」の自治労・川本もいるという状況のなかでの「確認」だ。「入管法」改悪をめぐっては、「われわれは、あくまでも働く者・生活者の視点から、この受け入れ制度の問題点などについて広く世論喚起をはかって対応していく」とした。「外国人技能実習生」が強制される人間外の扱い、〝奴隷労働〟の状態には一言も触れず、日本労働運動の責任や国際連帯についてもまったく言及しなかった。そして、安倍政府が10月5日、「未来投資会議」に設置した「政労使協議会」に神津が参加することを明らかにした。「生涯現役社会の実現」と称して、「死ぬまで働け」という攻撃に加担することを表明したのだ。

 「一括法」の成立をめぐって神津は、「罰則付きの時間外労働の上限規制や、雇用形態間における不合理な格差の解消に向けた同一労働同一賃金の法整備など、連合が求めてきた事項が実現する点はおおいに評価できる」と言い放った。そして、「高度プロフェッショナル制度」の創設については、アリバイ的に「極めて遺憾」としたが、「労働政策審議会の連合側委員を中心とした連携を軸としながら、しっかりと取り組んでいく所存」とした。「一括法」制定の過程で、「労働政策審議会」の「労働者側委員」をつとめる「連合」の「総合労働局長」・村上が、「高度プロフェッショナル制度」創設を含む「労働基準法」改悪を受け入れ、「連合」事務局長・逢見が「政労使合意」形成のために蠢いたようなことを、今後も続けるというのだ。

 神津は、「3月6日を、日本全体が認知する『三六(サブロク)の日』にする」と息巻いている。「長時間労働是正、過労死・過労自殺ゼロを願うありとあらゆる人たちに結び合う運動」のシンボルとするというのだ。「長時間労働是正、過労死・過労自殺ゼロ」を実現するというのであれば、「八時間労働制」の例外規定として資本の事情を考慮した「三六(サブロク)協定」を削除させ、八時間の労働で生活できる賃金を闘いとることが筋ではないか。「非正規雇用」労働者や外国人労働者を踏み台にして平然とし、「本工主義」「企業主義」「国益主義」を基調とする帝国主義労働運動・「連合」を突破する階級的革命的全国統一センターの建設を一日も早く成し遂げねばならない。

 

〈全労連第二九回定期大会〉

 

 全労連(約77万人)は、7月26日から3日間、都内で第29回定期大会を開催した。

 大会開催にあたっての挨拶で議長・小田川は、1ヵ月前に成立した「一括法」をめぐって、「すでに政省令策定の論議が始まっているが、経営側は付帯決議の無視を迫っている」とし、とくに「高度プロフェッショナル制度」について、「労使関係で職場に入れさせなければ、というだけでは事足りない。政省令段階でも徹底して矛盾を追求し、制度の運用に徹底して反対すると同時に、廃止を目指す決意を固め合おう」と呼びかけた。

 運動方針では、「職場の仲間の働き方実態調査」の実施を打ち出すとともに、「職場の労働時間管理の在り方と三六協定の内容チェック」「勤務間インターバル協定の締結などに取組む」としている。また、大会で併せて確認した当面の「2018年年秋季年末闘争方針」では、「法制度闘争」の中で ① 「労働政策審議会における省令・指針の策定プロセスのチェック」 ② 「高度プロフェッショナル制度の廃止・残業上限規制の引き下げと適用猶予・除外の廃止など、『本物の働き方改革』を求める署名活動」 ③ 「全労連としての統一要求・政策推進と春闘前段での『労働法制討論交流集会』」の開催」などを進めるとした。

 全労連が力を入れている「最低賃金」をめぐっては、「26円の引上げ、加重平均で874円とする内容では、年収200万円以下のワーキング・プアが1100万人人を超える状況は改善されない」とし、かねてから全労連が提唱している「最低生活保障を求める国民運動と、社会的賃金闘争(最賃、公契約、公務賃金)の連携は不可欠だ」と訴えた。

 また、2020年に全国一律の最賃制度創設のための法改正を目指す「全国最賃アクションプラン」を柱に置いた運動に取組むとしている。当面の運動の具体策としては、「2018年秋季年末闘争方針」は、「最低賃金10万人大学習運動に取り組む」、「労働組合や経営者団体などとの懇談」、「5割以上の自治体での『最低賃金法』改正に向けての決議の実現を目標として取り組む」、「ディーセントワーク統一宣伝行動」の実施などを盛り込んだ。

 組織拡大をめぐっては、2016年の定期大会で「組織拡大強化4ヵ年計画」を策定したが、2018年6月時点の組織人員は、「年金者組合」、オブザーバー加盟労組などを含めて130万人で、前年より1万5000人減少している。これに対する方針では、「残り2年間で150万全労連への飛躍を作り出す」とし、「 ① 10人に1人の割合で組織建設委員を選出する。 ② 組合員拡大と要求実現の二本柱を一体的に追及する。 ③ 単産と地方が一体となって取組み、すべての都道府県組織で調整会議を行なって地域労連での調整会議へと広げる」などを打ち出した。

 大会ではこのほか、「憲法闘争の強化」や「社会保障闘争」、「持続可能な地域経済・社会への転換を図る全労連独自の『地域活性化大運動』」などを確認した。

 議長・小田川は、「衆議院選挙区ごとの市民連合の結成が進み、日常的な市民と野党の共闘・連携が深まってきている」とし、「市民と野党の共闘での役割発揮についての意思統一をお願いする」とした。

 全労連の「法制度闘争」や「全国一律の最賃制度創設」の「運動」は、すべて日共の「野党共闘」路線に集約されていく。「自衛隊容認」「日米安保容認」「天皇制護持」を内容とする小ブルの「国民主義」「議会主義」の路線に利用し、物理力化するものだ。全労連は、「一括法」制定を阻止する国会前行動に出てきたものの、それはアリバイ作りでしかなく、衆・参での採決時点では、姿はまったく無かった。階級性を蒸発させ、労働者階級の実力の闘いを制動する全労連を突破する革命的労働運動の建設を急がねばならない。

フィリピントヨタ労組の解雇撤回闘争に決起した全労交の労働者(2018年6月14日)
フィリピントヨタ労組の解雇撤回闘争に決起した全労交の労働者(2018年6月14日)

〈自治労第91回定期大会〉

 

 自治労(約79万人)は、8月23、24の両日、岐阜県岐阜市で第91回定期大会を開催した。

 昨年の「地方公務員法」改悪によって、地方公務員の臨時・非常勤職員について、2020年4月から新たな職員制度が開始される。この「会計年度任用職員」制度の創設は、自治体で働く64万人の「臨時」「非常勤」などの「非正規雇用」労働者について、一般職の非常勤職員を「会計年度任用職員」とするものであり、名前の通り、「一年を限度として採用しろ。一年で首を切れ」と不安定雇用を強制する攻撃だ。これまで自治体労働運動によって、「臨時」「非常勤」であっても反復雇用されていた労働者を「会計年度任用」を盾にして合法的に「一年解雇」する攻撃だ。

 しかし、自治労大会で示された「統一対応方針」は、「会計年度任用職員制度の構築に向けた本格的な交渉・協議を開始する」としている。自治労本部は、自治体で働く「非正規雇用」労働者を「正規雇用」化するために闘うのではなく、「自治体で『非正規雇用』とされ、〝ワーキング・プア〟として働く労働者がいるのは当たり前」という姿勢なのだ。「統一対応方針」では、「妥結基準」として「労働者性の高い臨時・非常勤等職員については、常勤職員、もしくは会計年度任用職員等に移行し、継続雇用とすること」「会計年度任用職員の給料については、常勤職員(任期の定めのない常勤職員いわゆる「正規職員」)と同一基準での運用(給料表の適用、前歴換算)とし職務内容を踏まえて均衡・権衡させること」としている。自治労本部は、「会計年度任用職員」への移行対象となる労働者を「正規職員にせよ」とは要求しない。例え「妥結基準」が実現しても、「一年解雇」は合法的に行なわれるのだ。定期大会では、「制度の目的は、総務省も言うように、非正規職員の処遇改善だ」と「会計年度任用職員制度」を積極評価する単組からの発言も出ている。自治労運動に「本工主義」が根深く存在していることを示している。

 大会で提起された「方針」では、「協議と並行して会計年度任用職員の組織化も早急に進める」としている。自治労本部は、「会計年度任用職員」に一時金が支給されることに飛びつき、「組織化のチャンス」と捉えているのだ。委員長・川本はあいさつで「臨時・非常勤等職員の雇用の継続と正規職員との均衡をはかる『同一労働同一賃金』の実現に向けて、全単組が産別統一闘争として、処遇改善を図るとともに、『非正規労働者10万人組織化』を加速させていくことを強くお願いする」と組合員に呼びかけた。自治労本部は、これまで「もはや臨時・非常勤職員の存在なくしては公共サービスは提供できない」なぞと言い、政府―総務省が進めてきた公務員制度改革―定数削減を受け入れ、「臨時」「非常勤」などの「非正規雇用」の拡大を容認してきた。そのことへの一片の反省も無く、「『官製ワーキング・プア』を増やす『会計年度任用職員制度』粉砕」を掲げ、全国統一闘争を方針化することもせず、「一時金」というカネで組織化を行ない、「自治労も『非正規雇用』問題に取り組んでいる」というアリバイ作りを行なおうとしているのだ。

 今年8月、人事院が、「国家公務員の月例給655円(0・16パーセント)、一時金0・05月分引き上げ」「国家公務員の定年について、段階的に65歳まで引き上げ」を内容とする勧告を行なった。自治労本部は、この勧告について、「組合員の期待に一定程度応える勧告と言える」と評価し、「総務省に対して自治労および地方自治体の意見を十分踏まえた上で、国に遅れることなく定年を引き上げるよう必要な対応を求める」としている。安倍政府の「定年引上げ」策は、「少子・高齢化」に対応する「働き方改革」の一環であり、年金支給年齢の引き上げと一体のものだ。「非正規雇用」問題でアリバイ作りに終始し、安倍の「働き方改革」に深々と取り込まれる自治労本部を許さず、現場での反合闘争を復権させ、生活苦に直面する労働者人民との地区共同を闘いぬく自治体労働運動を前進させなければならない。

 

〈日本郵政グループ労働組合(JP労組)第11回定期大会〉

 

 日本郵政グループ労働組合(JP労組、約24万人)は、6月13、14の両日、香川県高松市で定期全国大会を開催した。

 委員長・増田はあいさつで、2018年春闘で正社員の一時金水準が年間4・3ヵ月の回答を得たことや、「非正規雇用」社員に年始手当や夏期・冬期休暇等で処遇改善がが図られたことを強調した。しかし、実際の妥結内容は、3年連続のベースアップゼロだ。さらに、一般職の住居手当廃止(最高月額2万7000円、年間30円以上)、寒冷地・隔遠地手当の半減(年額4万5000円~6万5000円削減)、年末勤務手当の廃止(12月29日~31日の1日4000円)など、正社員の手当剥奪・賃金切り下げ・労働条件の大改悪を受け入れた内容であり、それを財源にした「非正規雇用」社員の処遇改善だ。これを追及されると、増田は、「私たちは、処遇の引き下げを易々と受け入れたわけではありません」「正社員の処遇を引き下げて、同一労働同一賃金を実現しようとするわけではありません」と弁明した。しかし、一方では、「ただし、厳しい事業環境におかれている状況から、全ての処遇を引き上げてバランスを図るのは困難と言わざるを得ない。仮に一つひとつの手当をそのような形で引き上げていけば、基本的な処遇を引き下げなければならない状況が生じかねない」と、日本郵政資本の窮状を盾にして妥結内容を正当化した。

 増田は、2019年春闘で日本郵政資本の意向に沿った妥結を行なうことを予告している。「処遇への影響の大きい扶養手当、基本的な給与と大きく係わる(65歳)定年制など、より大きな課題と向き合っていくことになる。続いて難しい判断を迫られることも想定されるので、組合員との丁寧な情報共有と連携をもって、しっかりと将来を見据え、確かな方向性を見いだしていく」と言う弁がそれだ。

 JP労組本部は、2018年春闘と2019年春闘で「働き方改革」に対応していくとしている。それは、安倍の言う「同一労働同一賃金」にむけて、「訴訟リスク」を避けるための「合理的な格差」となるように、賃金、手当て、一時金などについて、日本郵政資本の提示する財源の範囲で調整するというものでしかない。これは、安倍の「働き方改革」の「手本」となるような運動をやっていくということだ。

 そうであるが故に、JP労組本部の方針は、安倍が叫ぶ「生産性向上」を受け入れるものとなっている。日本郵政資本は、4月に「集配体制の見直し」という合理化策を打ち出した。郵便事業が行き詰まる中、人員を増やすことなく郵便・荷物の配達効率を高めて生産性を向上させようとしている。増えるゆうパックや大型化した定形外郵便に対応し、配達効率を高めるために、集配労働者は、長時間の配達労働が強制されることになる。

 2019年の参院選をめぐっては、組織内候補として擁立する副委員長・小沢雅仁を、立憲民主党から出馬させる方針を明らかにした。

 年末年始勤務手当の見直しと一般職の住居手当の廃止、寒冷地手当の見直し、アソシエイト社員の夏期休暇・冬期休暇付与、期間雇用社員の病気休暇期間見直し、新規採用社員の年休発給日数見直し等については労働協約の見直しを行う必要があることから、春闘の妥結内容とともに採決を行ない、本部が提案した運動方針案には、昨年の倍近い92票の反対票が投じられた。

 「労使協調路線」で組合員を生産性向上に狩り立て、改憲攻撃を容認するJP労組本部を突破して闘う郵政労働運動の建設を何としても実現しなければならない。

 

〈国労第87回定期大会〉

 

 国労(約8700)は、7月26、27の両日、静岡県伊東市で第87回定期大会を開催した。

 大会では、「JRや関連会社で働く労働者の労働条件向上や処遇改善、安全・安定輸送の確立、JR三島・貨物会社と地方交通線の維持・活性化など継続可能な総合交通政策の実現にむけた取り組みを全力で進めていく方針」を確立した。

 さらに「2019年春闘勝利、『戦争法』廃止と憲法改悪を許さない闘い、沖縄・辺野古新基地建設と原発再稼働阻止、働き方改革一括法の修正・撤廃」など、当面する国民的課題についても確認した。

 2017年度執行経過報告は、「平和と暮らしを守る国民的課題」、「JRの労働条件改善」「2018年春闘」などが行なわれた。協約・協定の締結承認については、全国一社の貨物会社・鉄道運輸機構・ソフトバンク会社と締結した10件が提案された。一括して行なわれた質疑では、代議員4人が発言した。これに対して、本部側からの答弁が行なわれ後、経過報告と協約・協定締結については、それぞれ拍手で承認となった。

 規約の一部改正(議題三)は、大会2日目に無記名一票投票が行なわれ、代議員定数44名中、43名の出席を確認し、有効投票43票、賛成39票で承認された。

 役員改選では、「党員協」系の菊地が中央執行委員長に再選された。

 書記長集約では「①組織拡大は喫緊の課題であり、全国統一闘争本部を基に全組合員が全力で取り組む。②JR発足30年が経過しても、JR西日本での新幹線台車枠の亀裂など重大インシデントや事故が発生する中、安全輸送を守る闘いが重要である。③JRと関連労働組合の労働条件改善に向け創意工夫した闘いを構築する。④JR三島・貨物問題は、国の付け焼刃的な支援対応は限界、JR30年検証委員会報告を活かし、関係箇所への働きかけを強化する。⑤反戦平和、脱原発、憲法を守り民主主義擁護の闘いに全力をあげる」とし、方針(案)が拍手で承認された。

 特別決議は、「安倍政権打倒、憲法改悪阻止、『働き方改革』一括法の修正・撤廃、国民生活と平和・民主主義を守る特別決議」が提案され、拍手で採択された。

 

〈UAゼンセン第7回定期大会〉

 

 繊維や流通、医薬品、食品、介護などで労働組合を組織し、「連合」加盟で最大の産業別組織・「UAゼンセン」(約178万人)は、9月19、20の両日、神奈川県横浜市で定期大会を開催した。

 「UAゼンセン」の前身だった「UIゼンセン」の会長・宇佐美は、日本最大の右翼組織・「日本会議」の代表委員を務めていた。2012年に「サービス・流通連合(JSD)」と統合して「UAゼンセン」となった現在も日本会議の役員等に組合員を送り込んでいる。「UIゼンセン」時代の会長室には「日の丸」が掲げられ、定期大会では、組合旗と「日の丸」の入場から始まるという、「反共労働運動」を一貫して推進してきた。

 今大会の特徴は、「国の基本問題に関する中央執行委員会見解」を打ち出したことと、「入管法」改悪を〝既定方針〟として、中華料理チェーン「日高屋」などで働く外国人労働者の組織化を打ち出したことだ。

 「中央執行委員会見解」は、「改憲推進」と「原発再稼働・新(増)設推進」を打ち出している。その内容は、「世界の現実を踏まえれば、平和と国家の独立を維持するためには、外交努力とともに、適切な防衛力が必要である」「武力行使を含めた平和維持のための行動ができるよう、国民的な合意を前提に、憲法と法律の必要な整備をおこなっていくべき」「憲法の改正に向けて議論を進めなければならない」、「エネルギー安全保障・安定供給、経済性、地球環境保全の各面で優れているが、福島第一原子力発電所事故のような甚大事故につながるリスクとともに、高レベル使用済核燃料の最終処分方法が未定という課題がある。安全確保とこれらの課題への対応を進めながら活用すべきである」というものだ。2015年の「戦争法」=「安保法制関連法」をめぐって、「UAゼンセン」は。「憲法の解釈を閣議決定で変更するのではなく、憲法そのものを変えて、集団的自衛権を行使できるようにすべきだ」「それが立憲主義だ」と、安倍のやり方を「右」から批判した。安倍は、「UAゼンセン」を尖兵として日本労働運動を戦争翼賛の労働運動に作り変えようとし、「UAゼンセン」の側もそれに呼応している。

 また、定期大会では、「この1年で約3万人を組織化」と成果を強調している。特に「入管法」改悪を〝既定方針〟とした上で、外国人労働者の闘いを封殺するための組織化に入っていることに注意しなければならない。大会の報告では、中華料理チェーン・「日高屋」を運営する「ハイディ日高」で「ハイディ日高労働組合(9000人)」を結成したことが報告された。その内訳は、パートやアルバイトなどの「非正規雇用」労働者が8000人超を占め、このうち約3000人がベトナムや中国、ネパール、ミャンマーなどの出身で、週28時間以内なら働くことができる日本語学校や専門学校で学ぶ留学生が多いという。「UAゼンセン」は、経営者に労働者の職場決起を鎮圧することを「売り」にして労組結成と「ユニオン・ショップ協定」締結を持ちかけ、「UAゼンセンから脱退すれば、解雇される」と脅し、組合員に経営者の「言いなり」になることを強制してきた。同じことを「入管法」改悪で拡大する外国人労働者にもやろうとしているのだ。

 「日の丸」を掲げ、資本主義経済の防衛に労働者を動員し、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動の尖兵の役割を果たす「UAゼンセン」を許してはならない。地域連合労働組合の前進をかちとり、「UAゼンセン」を突破して闘う労働者を組織しなければならない。

 

〈金属労協(JCM)第57回定期大会〉

 

 「自動車総連」、「電機連合」、「JAM」(金属・機械産業の中小企業を中心とした産別労組)「基幹労連」、「全電線」の金属関連五産別労組で作る「金属労協」(JCM、約199万人)は、9月4日、東京都内で第57回定期大会を開催した。

 議長・高倉(自動車総連・日産)は、あいさつで「政・労・使が生産性運動・生産性三原則の意義について再認識し、実践していくことが重要であり、働き甲斐と希望を実感できる社会の実現に向けて人間尊重を基軸とした、真の生産性運動のために尽力する」とした。「生産性三原則」は、合理化を推進する「日本生産性本部」が唱えたもので、「「①生産性向上は究極において雇用を増大する。②生産性向上の具体的方式は労使が協力して研究・協議する。③生産性向上の成果は労使及び消費者に、国民経済の実情に応じて公正に分配する」というものだ。

 この発言に端的に示されているように、「金属労協」は、「健全な労使関係」の下で生産性向上を実現すること、その成果を賃金上昇などの「公正な分配」を実現することを労働運動の目標としている。これは、「アベノミクス」が掲げる「経済の好循環の実現」や、「働き方改革」で掲げる「生産性向上」と共通するものだ。「金属労協」の路線は、マルクスが「労働者は、労働者が富をより多く生産すればするほど、労働者の生産の力と範囲とがより増大すればするほど、それだけますます貧しくなる」( 『経済学・哲学草稿』)という資本主義的生産の本質を無視する。日本労働運動を「生産性向上」と労使協調で染め上げようとするのが、「金属労協」だ。

 定期大会で提案された「2019~2020運動方針案」では、「労使紛争への海外労組からの支援要請に対し、当該労使間の話し合いによる早期解決が重要であり、現地での労使協議の場の設定に向けた支援を行う。その際、中核的労働基準を踏まえ、当該産別との連携の下、紛争解決に向けた積極的な役割を果たしていく」としている。

 「金属労協」では、一般会計の支出実績の5割近くを、国際産別組織である「インダストリオール」への加盟費が占めている。「インダストリオール」は、正式名称を「インダストリオール・グローバルユニオン」と言う。二〇一二年に「国際金属労連(IMF)」、「国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)」、「国際繊維被服皮革労働組合同盟(ITGLWF)」が統合して発足している。イラクで「非正規雇用」制度に反対し、臨時労働者の権利を要求して2月から政府との交渉を開始し、デモや発電所での座り込みを継続している「イラク電力部門労働者総連合(GTUESE)」も「インダストリオール」に加盟している。

 昨年の「金属労協」の定期大会では、議長・相原が「日本企業の海外事業拠点における労使紛争が、増加・複雑化する傾向にあり、憂慮する状況にある」と言い、「話し合いで諸問題を解決できる建設的な労使関係づくりにむけて、国内外での活動を強化する」と言っていた。海外の労働者が日帝資本が強制する低賃金や劣悪な労働条件に対して闘っていることを「憂慮する状況」と言い、「建設的な労使関係」の名の下に、その闘いを鎮圧する側に金属労協は立つということであり、海外の労働者に対しても労使協調路線への屈服をせまると言い放っているのだ。絶対に許してはならない。

 「金属労協」に加盟する「基幹労連」は、原発再稼働を安倍政府に要求している。武器輸出、原発輸出を日本経済の「展望」とする「金属労協」は、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動の尖兵そのものだ。この帝国主義労働運動の跳梁を許さない革命的労働運動の一挙的な前進を実現しなければならない。