乾坤一擲(けんこんいってき)
2月27日~28日の2日間、ベトナムのハノイで行なわれた第2回米朝首脳会談は、「非核化」をめぐった合意に達することなく、決裂した。▼会談の前には、「米朝実務者協議」の米側の責任者・ビーガンが、「非核化」と「制裁解除」を「同時並行」にすることを示唆し、トランプの軟化が取り沙汰されていた。▼しかし、フタを開けてみれば、トランプは従来からの主張である「非核化リストを出せ」、つまり「丸裸になれ」と要求した。金正恩にとって「非核化リスト」を出すということは、米軍に自国の攻撃目標を教えるに等しい。到底、呑むことはありえない。▼この会談の決裂で、朝鮮半島での戦争の危機はますます高まっている。米・韓は、これまでの米韓合同軍事演習の中止を発表しているが、より実戦的な小規模演習に変更するだけだ。3月4日からは「キー・リゾルブ」代替の指揮所演習を行なっている。▼会談の決裂を一番喜んでいるのが、安倍だ。決裂直後には、「安易な譲歩を行なわなかった決断を、全面的に支持する」と言い放っている。▼安倍は、朝鮮半島での戦争の最前線に自衛隊を出撃させ、「日本を取り戻す」こと、すなわち敗戦帝国主義から脱却し、「大日本帝国の栄光を取り戻す」ことを悲願としている。▼安倍は、「2020年改憲」にむけて、翼賛国会での改憲発議を虎視眈々と狙い、空母の保持と最新鋭ステルス戦闘機の搭載、「殴り込み部隊」=陸自・水陸機動団の新編といった軍備増強に突き進んでいる。これを打ち砕く反戦闘争がますます重要になっている。(木村)