基調提起
全労交呼びかけ人・全国寄せ場交流会 山崎 弘氏
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春闘勝利総決起集会に結集した闘うなかまの皆さん!
2019年春闘は、「働き方改革」の法律制定が強行され、安倍が戦争国家体制作りの〝総仕上げ〟として改憲に突き進む中、日本労働運動の将来を決める重要な局面に来ています。それは、日本労働運動が、戦前のような「産業報国会」に転落し、労働者の闘う権利を投げ捨て、貧困生活を強制され、再び「お国のため、天皇のため」と戦争に加担するのか、このような「翼賛労働運動」による制圧を打ち破り、戦争とファシズムへの突撃を粉砕するのかという決定的な情勢に突入したということです。
日本最大の労働組合組織である「連合」は、「働き方改革」を推進する側に転落しています。改憲を推進する産別・「UAゼンセン」を含んでいる「連合」は、「改憲阻止」をかかげることはありません。2019年春闘に対しては、資本家たちと口を揃えて「日本経済の復活」を叫んでいます。残業するのが当たり前のように「三六(サブロク)の日制定」運動を呼びかけ、「8時間労働制」を自ら投げ捨てています。「1ヵ月100時間残業」の強制が合法となることを「成果だ」なぞと自慢しています。「連合」は、失業と貧困、戦争を不可避とする資本主義経済の復活を求めています。このような「連合」のくびきの下に、いつまでも5000万労働者を置くことは許されません。
こういった日本労働運動の危機的な状況の中、全労交に結集する労働組合は、「働き方改革関連一括法」の制定を阻止する国会闘争を連続して闘い、「入管法」改悪阻止の国会闘争を唯一の労働組合の部隊として闘いぬきました。労働現場では、東京清掃の労働者が、賃金確定闘争でストライキを構えて大幅賃下げ攻撃を阻止しました。本日の集会には、組合員延べ56人もの逮捕攻撃を受け、ストライキや交渉を違法とする攻撃と対決して闘う「関西地区生コン支部」に結集していただき、「関西地区生コン支部の労働運動と弾圧との闘い」と題する講演を行なっていただきます。
今、日本労働運動に求められるのは、資本に打撃を強制するストライキを「当たり前」の闘いとして打ちぬき、要求を実現する荒々しい運動です。そして、「非正規雇用」労働者などの最も厳しい立場に立たされている労働者の怒りと要求に基づいた運動です。特に、資本家たちが世界を支配するために、戦争によって労働者を虐殺することを許さない「反戦」の闘いは決定的に重要です。米朝首脳会談が決裂し、朝鮮半島での戦争の危機が高まっています。安倍は、韓国の「徴用工裁判」の判決に非難を繰り返し、戦争責任に居直り、排外主義を煽動しています。また、天皇代替わりを「奉祝せよ」という攻撃が強まっています。戦争に突撃する安倍政府を打倒する闘いを春闘の只中で実現しなければなりません。
本日の春闘勝利総決起集会の圧倒的な成功をかちとり、2019年春闘を「生きて行ける賃金を払え!」「大幅賃上げを実現しろ!」という要求を掲げ、反戦・反合・政府打倒春闘として闘いぬこうではありませんか。
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3月13日、電機や自動車などの大手企業が春闘要求への回答を行なっています。パナソニックなどの「電機連合」の統一要求は、3000円のベースアップでしたが、経営側の回答は、わずか1000円というものでした。物価の上昇や、消費税増税分を差し引けば、実質的な「賃下げ」回答です。自動車では、トヨタやマツダがベースアップ分を非公表にし、トヨタは夏の一時金は回答したものの、冬の一時金については、「トヨタの置かれた状況認識が甘い」と労組を脅し、回答していません。
今年の春闘の大きな特徴は、経営側が労組に対して、ベースアップめぐった交渉からボーナスや手当てを含んだ「年収ベースの交渉」に応じるように強制していることです。春闘を前にして、トヨタ資本は、「ベアの議論は無くしていく方向が望ましい」と言い放っています。日本経団連会長・中西は、「(賃上げ率が)何パーセントというより、生産性を上げる方向で(競争力強化などを)促すような処遇体系にしていかないといけない」と言い放っています。これは、「成果主義賃金体系」への転換にむけた宣言にほかなりません。これに応じるように、トヨタやマツダの労組は、ベースアップの要求額を非公表にしています。「連合」も、「上げ幅から水準へ」なぞと言い、ベースアップ要求を放棄する動きを強めています。
このような、資本による「ベースアップつぶし」と労使協調路線の労組による「ベースアップ要求放棄」の意味するものは、労働者階級の生活に根ざした賃金要求を団結の力でかちとることを放棄するということであり、賃金闘争の放棄にほかなりません。賃金闘争を放棄した職場では、労働者がバラバラに分断され、成果主義にもとづく査定によって賃金が決まってしまうことになります。これでは、労働組合は無きに等しく、団結もありません。これこそが、安倍や資本家が進めようとする「働き方改革」の本質であり、狙いです。
JP労組は、「働き方改革に対応した春闘」を打ち出しています。郵政職場では、2018年春闘で「ベア6000円」の要求を出したものの、内部留保を3兆5000億円も貯め込む日本郵政資本の回答は、三年連続の「ベアゼロ」でした。そればかりでなく、諸手当の大幅削減が強行されています。2019年春闘では、さらに、「同一労働同一賃金を見すえた対応」として、「正社員」の年収を10万円近く減らし、無期雇用の「非正規」社員に手当てを新設する提案が行なわれています。もともと賃金が低い「非正規雇用」労働者に対して、わずかな手当て支給で「同一労働同一賃金」を装うというペテンでしかありません。
ベースアップつぶしをもって賃金闘争を解体し、春闘そのものの解体から、資本の言いなり、安倍の言いなりになる「翼賛労働運動」作りの攻撃が強まっています。これを打ち破る2019年春闘の爆発を実現しなければなりません。
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われわれ全労交は、1947年の「2・1ゼネスト中止」のように、決戦を決戦として闘わない「戦後労働組合運動の根底的突破」のために闘いを開始しました。
結成以来、「非正規」争議を闘い、フィリピントヨタ労組や韓国サンケン労組の解雇撤回闘争や「入管法」改悪阻止闘争を、国際連帯の責務をかけて闘いぬいてきました。改憲を〝総仕上げ〟とする安倍の戦争国家体制作りと一体の「日の丸」「君が代」強制攻撃と闘う教育労働者との共闘を闘いぬいてきました。寄せ場・日雇い労働者は、5000万労働者の最底辺から「アブレ―野垂れ死に攻撃粉砕」をかかげ、「反戦・反失業」を基調に闘いぬいてきました。
これらの闘いの地平をもって、2019年春闘を、「『働き方改革』粉砕」、「『生産性向上』の強制粉砕」、「『成果主義賃金』粉砕」、「大幅賃上げ獲得」、「改憲攻撃粉砕」、「『翼賛労働運動』粉砕」の基調を鮮明にして階級的に闘いぬこうではありませんか。
2019年春闘を反戦・反合・政府打倒の闘いとして爆発させよう。「連合」、全労連を突破して闘う日本労働運動の前進・飛躍を実現するために、公務員労働運動、教育労働者運動、寄せ場労働運動、「非正規」争議の前進をかちとり、闘う原発労働者の組織化を全力で推進し、沖縄・名護新基地建設阻止の現地実力闘争に決起しよう。安倍の戦時国家体制形成―戦争動員攻撃と対決する卒・入学式での「君が代」不起立闘争の爆発をかちとろう。全国寄せ場交流会が呼びかける日建連、日本経団連、厚生労働省に対する3・25寄せ場春闘集中行動を闘おう。この闘いのなかから「連合」、全労連を突破して闘う日本労働運動の新たな結集軸を建設する事業の前進をかちとろう。