5・18
「『君が代』強制に抗して~『戦争する国』への教育と闘う 集会」
5月18日午後6時30分より、エルおおさか(大阪府立労働センター)において、「『君が代』強制に抗して~『戦争する国』への教育と闘う! 5・18集会」が開催された。主催は、「『日の丸・君が代』強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク(大阪ネット)」であった。
はじめに、司会である事務局の仲間より、本集会の位置づけと、2019年における大阪での卒業式・入学式状況についての報告を受ける。2012年の大阪府・大阪市による「国旗国歌条例」施行後の、2018年までの「君が代」不起立処分者が、大阪府、大阪市、大阪府下市町村の各教育委員会の合計で、「戒告」62人、「減給」3人、「文書訓告」3人を数えることが報告された。2019年の卒業式では、E高校・M氏が「戒告」処分となり(2019年3月末で定年)、S高校・Sさんが大阪府教育委員会(府教委)からの「事情聴取」を受けたことも明らかにされた。大阪府下で強行される、「不起立」に関わる再任用拒否の実態も報告される。定年を迎えた教職員の再任用について、2012年以降、「不起立」の被処分者で「意向確認」できなかったとされる教職員に対して、大阪府下の教育委員会は、「個別案件」として審査し、「不合格」や「内定取り消し」とする攻撃を加えている。2012年以降、処分された教職員は、確認できただけで8人を数える。この攻撃に対し、「大阪ネット」が、再任用拒否に対する抗議行動を粘り強く続けた結果、2017年度から「意向確認書」の中の文言にあった「国歌斉唱時の起立斉唱を含む」を削除させ、「上司の職務命令に従います」という文言に変更させた。その結果、2018年に奥野氏が、2019年に井前氏と藤岡氏が、再任用拒否を打ち砕き、再任用をかちとったのである。
2019年2月27日の大阪府内での卒業式における不起立の闘いに起ち上がり、処分攻撃の真っただ中にあるS高校のS氏からの報告を受ける。S氏は、不起立の闘いの〝原点〟として、「中国残留孤児2世・3世の生徒たちが、1989年ヒロヒト『大喪の礼』に怒り、抗議行動を闘ったこと」をあげ、闘うアジア労働者人民との連帯をかけて闘いを続けていることを明らかにした。
府立校の卒業式・入学式でのビラ配布の取り組みの報告を受ける。「大阪ネット」では、「君が代」不起立強制反対のビラを、大阪府下約50校の2019年卒業式・入学式会場で配布した。豊中高校では、2018年卒業式で、校長が「道路交通法」を盾にビラ撒き妨害に入ったことに対する抗議行動を闘いぬいた結果、2019年卒業式でのビラ配布を貫徹したことが報告された。一方、大阪市立放出中学や枚方市立枚方四中で、配布したビラを学校の教職員が回収する攻撃がかけられていることも報告され、「今後の対応が必要」とした。
「戒告」処分に対する共同訴訟に取り組む井前弘幸氏をはじめ、大阪府内の学校でそれぞれの闘いを担う仲間たちが、次々に発言に起つ。このうち、井前氏は、被処分者7人を原告とする「『君が代』不起立・戒告処分取消共同訴訟」について報告する。井前氏らは、5月23日に大阪高裁での控訴審判決法廷を迎えるこの訴訟で、「戒告」処分取消しを要求すると共に、大阪府・大阪市の「国旗国歌条例」「職員基本条例」の不当性を暴露してきた。特に、「職員基本条例」は、同一の職務命令に3回「違反」した場合の「標準的な懲戒基準」を「免職」と規定するという、全国にも例のないものである。大阪府政を牛耳る「大阪維新の会」主導で制定された条例下での、極悪な処分攻撃と、裁判闘争を通して闘う決意を示した(5月23日、大阪高裁は、原告7人のうち、井前氏に対する「戒告」処分を取り消す判決を下している)。
その後、集会は、「国際労働機関」(ILO)の「ユネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会」(CEART)での、日本政府への「日の丸」「君が代」強制に歯止めをかけるための「勧告」を促す申し立て行動の報告や、「国連自由権規約委員会」での取り組みの報告がなされる。最後に、参加者との質疑応答を行ない、活発な意見交換がなされ、この日の集会は閉会した。
〈反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会〉