6・19 関西生コンに対する大阪第一次弾圧第4回公判闘争
6・18滋賀県警―6・19京都府警による新たな弾圧を許すな
6月19日、午前8時半から、大阪地裁一帯を闘う労働組合が制圧して、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西地区生コン支部)」に対する大規模な弾圧の一環である「大阪第一次弾圧」の第4回公判闘争が闘いぬかれた。
この日の闘いの前日、6月18日、滋賀県警は、フジタ、セキスイハイムにつづく三つめの建設現場に対する「関西地区生コン支部」によるコンプライアンス活動を「威力業務妨害」とデッチ上げ、4人の組合員や元組合員を逮捕した。さらに、公判闘争当日の6月19日には、京都府警によって、京都府木津川市の生コン業者の社長に対して「関西地区生コン支部」が「『非正規雇用』の組合員を『正社員』として雇用しろ」と強要したとして、「強要未遂」をデッチ上げ、武委員長や湯川副委員長をはじめ5人の組合員が逮捕されている。滋賀県警に逮捕された組合員は、昨年11月に「セキスイハイム事件」で逮捕―起訴され、6月初旬に6ヵ月半ぶりに保釈されたばかりの組合員だ。京都府警に逮捕された武委員長と湯川副委員長は、すでに10ヵ月の勾留が続いている中での4度目の逮捕だ。
あくまで闘う労働組合を潰すという攻撃が続く中、この日の闘いは、法廷内での公判闘争と同時に、急遽「労働組合への大弾圧を許さない実行委員会」が呼びかける「緊急座り込み集会」として闘われた。
午前8時半、大阪地裁前の西天満若松浜公園に闘う労働組合が結集し、「大阪生コン広域協組」が動員した黒服集団が傍聴席を制圧することを許さず、ストライキを「威力業務妨害」とデッチ上げた弾圧を粉砕するために、法廷での闘いと裁判所前での抗議の座り込み集会をやりぬくことを確認する。午前9時になると、結集した労働者は、裁判所敷地に移動し、傍聴券の抽選に向かう。この日も「大阪生コン広域協組」は、100人近い黒服集団を動員している。しかし、黒服集団からは「何時に帰れるんや。抽選に外れたほうがええ」という〝本音〟が漏れてくる。「上からの命令」と「金」に縛られた連中の〝やる気のなさ〟はアリアリだ。傍聴券の抽選が終わると、結集した労働者は、法廷内と西天満若松浜公園に別れ、終日の闘争に入っていく。
この日の公判闘争は、2017年12月12日~13日、「関西地区生コン支部」が運賃引き上げを要求する輸送ゼネストを闘った「宇部三菱SS(サービスステーション=貯蔵出荷基地))と「中央大阪生コン」の2ヵ所の現場での争議行為を、大阪府警が「威力業務妨害」とデッチ上げたことに対する闘いだ。二つの現場にいた組合員8人が起訴され、さらに、現場にいなかった組合役員3人が起訴され8人とは分離されて裁判となっている。
セメントの注文もなく、出荷もないのに「出荷妨害」「威力業務妨害」をデッチ上げ
現場にいた組合員8人を「被告」とした「大阪第一次弾圧」は、2月1日に第1回公判が行なわれ、この日は第4回公判だ。5月15日に行なわれた第2回公判では、検察が、「宇部三菱SS」の監視カメラや会社側や警察が撮影した動画を4時間近くで再生した。しかし、法廷で映し出された映像は、組合員がバラセメント車や生コンミキサー車の斜め前方で運転手にストライキの趣旨を説明して協力を呼びかけている様子ばかりだ。威力をもって車両の進行を阻止しているようには見えないものばかりだった。5月22日に行なわれた第3回公判では、「宇部三菱SS」の輸送専属会社・「植田組」の社長の息子で総務担当の江袋が証人として出廷した。江袋は、「関生支部の組合員らが、SSに入場しようとする車両、あるいはSSから配達先に出場しようとする車両の前に立ち塞がって入場、出場を妨害したので業務ができなかった」などと証言した。
ところが、これに対する弁護人の反対尋問によって、この「威力業務妨害」は、会社の自作自演だったという真相が明らかになった。江袋は、「スト実施の3日前、会社関係者が事務所2階の食堂に集まり、当日の役割分担を決めた。自分は、SSにやって来る車両の前面に立つ役割になった。同じように車両の前に立つ役割となった会社側の人間は5から10人いた。『関西生コン支部』の組合員は、車両の斜め前方から運転席に向かってストライキへの同調を呼びかけ、ビラを渡そうとしていたにすぎなかった」と証言した。さらに、江袋は、「ストライキ当日、SSにはセメントの注文がほぼなかった。積み込んでSSから出場した車両が1台あるが、配送先はその時点では決まっていなかった」と証言した。結局、車両を止めていたのは会社側、注文もなかった。つまり、「威力業務妨害」は「自作自演」だったということだ。
検察側は、「出荷妨害」「威力業務妨害」のデッチ上げのストーリーが破綻する危機に直面した。そのために、この日の第4回公判では、公判日の直前になって「セメントの注文があった」「出荷の日報が出てきた」なぞと、新たなデッチ上げ資料を提出してきた。
大阪地裁前で終日の座り込み集会
公判開始時刻である午前10時になると、大阪地裁前での座り込み集会が開始される。結集した労働者は、大阪地裁に対してシュプレヒコールをあげる。「不当弾圧を許さないぞ!」「大阪府警は、勾留した仲間を返せ!」「滋賀県警は、不当勾留をやめろ!」「京都府警は、不当勾留をやめろ!」「裁判所は、不当逮捕を許可するな!」。集会では、「全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)」の書記長・小谷野氏、全港湾大阪支部前顧問・山本氏、全金港合同など闘う労働組合が次々に発言に起った。
正午になると、裁判所から傍聴者、弁護士が出てきて、午前中の報告を行なう。傍聴に入った大阪全労協の労働者は、「検察側から〝後出し〟の資料が先週の金曜日に出されたそうです。弁護団は、『そんなことは止めてほしい』と抗議したけれども、裁判長は、『記憶喚起のためですね』と言って容認しています。前回の裁判では、江袋は、『出荷先が決まっていなかった』と言っていたんですが、今日は『出荷の日報が出てきた』なぞと言って出してきました。『その日報は、どこで作ったんだ』という感じですね。植田組の江袋は、『関西生コン支部』がやっていた組合活動をすべて報告書にして西成署に出していたとも証言していました。警察と一体となって労働組合に対処するのが当たり前のように言い、『いい加減にしろ』という感じでした」。弁護団の佐伯弁護士は、「検察側もあまり準備できていない感じでした。何を立証したいかわからない主尋問でした。不意打ち的に資料を出すという場面が何回かあったので、弁護団は、何回か検察に注意しました」と報告した。 その後、今回の弾圧に対する抗議署名の提出行動が取り組まれた。「関西地区生コン支部」の武書記長が、「6月5日、滋賀県警と大津地裁に対して、1300団体、2万筆の個人署名を提出しました。今日は、大阪府警と大阪地裁に提出します」と報告した。
午後1時半からの午後の集会では、全金畑中支部、大阪メトロで「ひげ裁判」を闘う労働者などが共に闘う決意を述べ、途中では、署名提出行動の報告が行なわれた。大阪府警は、署名提出団に対して「ここからは3人しか入れない」という規制に出たこと、大阪地裁の対応は、「裁判所に署名の提出があったことを伝えるかどうかも含めて検討させてもらう」というふざけた対応であったことが報告された。
この日の公判は、午後2時半には終了し、午後3時からは記者会見が行なわれた。
午後4時から行なわれた収約集会では、国連人権理事会に申し立て予定であること、関西で全国闘争を準備していることなどが報告され、結集した労働者は、新たな弾圧を許さず弾圧粉砕をかちとるために闘いぬくことを決意し、当日の行動を終えていった。
〈反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会〉