8・9 関西生コンに対する大阪第1次弾圧第6回公判闘争
7・17京都府警―滋賀県警、7・22和歌山県警による新たな弾圧を許すな
8月9日、午前8時半から、大阪地裁一帯を闘う労働組合が制圧して、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関西地区生コン支部)」に対する大規模な弾圧の一環である「大阪第1次弾圧」の第6回公判闘争が闘いぬかれた。
「関西地区生コン支部」を壊滅させようとする不当弾圧が続いている。7月17日には、京都府警が、「関西地区生コン支部」が3年前に工場閉鎖―解雇攻撃に対して工場占拠闘争を闘い、雇用保障をかちとった争議を「恐喝」とデッチ上げ、武委員長と湯川副委員長を不当逮捕した。二人はともに5回目の逮捕であり、昨年8月28日の逮捕からの不当勾留は一年になろうとしている。同じ17日には、滋賀県警が「東横イン」の建設現場でのコンプライアンス活動を「威力業務妨害」とデッチ上げて組合員4人を逮捕した(1人は再逮捕。7月19日、3人は検察側の勾留請求を裁判所が却下し、釈放された)。さらに、7月22日には、和歌山県警が、「関西地区生コン支部」が行なった「和歌山県広域生コンクリート協同組合」に対する抗議行動を、「威力業務妨害」と「強要未遂」にデッチあげ、T書記次長と執行委員二人を不当逮捕した。
「関西地区生コン支部」に対する不当弾圧は、滋賀県警が、コンプライアンス活動の「現場ごとに事件にする」と宣言し、その言葉通りに次々に事件を作り出している。不当弾圧を仕掛ける警察も、京都、和歌山へと拡大している。不当逮捕された組合員を、未だ裁判の判決が出ていないにも関わらず解雇する企業も出てきている。組合員と家族に〝兵糧攻め〟をかけ、組合脱退をせまり、「関西地区生コン支部」そのものを壊滅させようとしているのだ。
産業別労働運動を推進する「関西地区生コン支部」は、コンプライアンス活動を産業別労働運動の基本的な日常活動として取り組んできた。このコンプライアンス活動は、世界的に見れば、海員、港湾、建設などの国際労働組織では労働の安全と適正な雇用条件、産業別労働協約を守るための基本活動として行なわれている。これに対して、もともと暴力団担当である滋賀県警組織犯罪対策課などは、「労働組合がなぜ会社の外で活動するのか」なぞと講釈し、介入をくり返している。
7月8日、長期勾留されている武委員長ら組合役員6人が、国連人権理事会「恣意的拘禁ワーキンググループ」に「申立書」を提出した。団体行動権の行使などの正当な権利行使に対する政府機関などによる不当逮捕や長期勾留などについて、「ワーキンググループ」が調査し、当該政府に対して是正勧告を出す組合破壊を目的にした「恣意的拘禁」に対する是正勧告を求めたものだ。
昨年7月から始まった不当弾圧は一年を超え、逮捕者は延べで80人近くになっている。しかし、「関西地区生コン支部」を先頭にして、共に闘う労働者は、ひるむことなくこの日の公判闘争に決起した。午前8時半、大阪地裁前に闘う労働組合が結集し、「大阪生コン広域協組」が動員した黒服集団が傍聴席を制圧することを許さず、ストライキを「威力業務妨害」とデッチ上げた弾圧を粉砕するため公判闘争を闘いぬくことを確認する。
黒服集団と対峙し、「威力業務妨害」デッチ上げ粉砕にむけ闘う
午前9時からは、傍聴券を獲得するために裁判所敷地に移動する。この日も「大阪生コン広域協組」は、100人近い黒服集団を動員している。黒服集団は、「『関西地区生コン支部』を潰すために10億円用意している」と〝豪語〟している。この資金は、「関西地区生コン支部」が先頭に立って元請けゼネコンと闘い、かちとった生コン価格の上昇分であり、「大阪生コン広域協組」が生コン運転手の賃上げの原資とすると約束していたものだ。ところが「大阪生コン広域協組」は約束を反古にし、組合潰しの資金にしているのだ。しかし、何億円用意していても、労働者の階級的怒りと闘いを挫くことなぞできはしない。結集した労働者は、黒服集団と対峙して傍聴券の抽選に臨む。
この日の公判闘争は、2017年12月12日~13日、「関西地区生コン支部」が運賃引き上げを要求する輸送ゼネストを闘った「宇部三菱SS(サービスステーション=貯蔵出荷基地)と「中央大阪生コン」の二ヵ所の現場での争議行為を、大阪府警が「威力業務妨害」とデッチ上げたことに対する闘いだ。二つの現場にいた組合員8人が起訴され(「大阪第1次弾圧」)、さらに、現場にいなかった武委員長など組合役員3人が起訴され、8人とは分離された裁判(「大阪第2次弾圧」)となっている。
現場にいた組合員8人を「被告」とした「大阪第1次弾圧」は、2月1日に第1回公判が行なわれ、この日は第6回公判だ。5月15日に行なわれた第2回公判以降、検察は、証拠として「宇部三菱SS」の監視カメラや会社側や警察が撮影した動画を再生し、続いて、「宇部三菱SS」の輸送専属会社・「植田組」の社長の息子で総務担当の江袋に「出荷妨害」の証言をさせた。しかし、江袋は、「ストライキ当日、SSにはセメントの注文がほぼなかった。積み込んでSSから出場した車両が一台あるが、配送先はその時点では決まっていなかった」と証言した。注文がなければ、出荷がないのは当たり前であり、「出荷妨害」なぞ成立しないことは明白だ。「出荷妨害」「威力業務妨害」のデッチ上げのストーリーが破綻する危機に直面した検察は、この日の第6回公判に「中央大阪生コン」の延山を「威力業務妨害」の証人として出してきた。延山は、「動員かけられて迷惑をかけられた」「今後二度とこのようなことが起きないよう、厳罰に処するよう望みます」なぞと検察が用意したセリフどおりの証言を行なう。しかし、検察の「『動員かけられて』とはどういうことですか?」という質問に対してさえも「詳しいことはわかりません」としか答えられない。慌てて検察が「『多勢で押しかけて』ということですね?」と誘導するしかないといった始末だ。さらに、弁護人の反対尋問に移り、「昨年12月のストライキに対して、『中央大阪生コン』が刑事告訴をしているのは知っていますか?」という質問にも「えー、会長に任せてあるので」としか答えられない。「民事訴訟を起こしていることは知っていますか?」という質問にも「会長に任せてあります」としか答えられない。結局、延山は、事実に基づいた「威力業務妨害」の証言は何一つできなかったのだ。
〈反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会〉