特集 「連合」、全労連を突破し、全労交の躍進を
〈「連合」第16回定期大会〉
「連合」(686万人)は、10月10日~11日、都内で第16回定期大会を開催した。運動方針では、「(一)集団的労使関係の追求、(二)政策機能の強化と実践、(三)ダイバーシティ(多様性)・フェアワーク(公正な労働)が根付く職場・社会の実現」を重点分野に設定した。
会長挨拶で神津は、安倍や日帝資本が強行する「働き方改革」について、「働く者のための『働き方改革』としなければ、『仏つくって魂入れず』となってしまいます」なぞと発言している。神津は、日帝が延命するための方策である「生産性向上」を核心とした「働き方改革」が「残業代ゼロ化」や「八時間労働制解体」をもっての極限的な搾取と支配強化の攻撃であることには一言も触れず、「働く者のための」という修飾語をつけて、労働組合運動の名を使って推進すると宣言しているのだ。絶対に許してはならない。
このような基調の下で、「連合」が重点分野としている「(一)集団的労使関係の追求」の具体的方針は、過半数労組がない職場で、労働者の代表が経営側に賃金・労働条件などについて意見を述べる「労働者代表制」の法制化を検討するというものだ。現在、「労働者代表制」は、資本が労働者に残業を強制するために、「三六協定」を締結することなどを目的にして資本主導で作られている。「労働者代表制」は、労働者が自主的に結成する労働組合に敵対するものでしかない。それは、資本による組織作りとなり、「団体交渉権」や「争議権」などの労働者が闘う権利を投げ捨てることを意味する。つまり、「連合」は、資本と闘うことなぞ考えもしない「労働者代表制」によって、安倍が目指す「労働組合のない社会」作りに加担するというのだ。
重点分野の「(二)政策機能の強化と実践」をめぐっては、神津は、「戦後労働運動の総括」として、「一党支配的構造との一体性を持つ共産主義イデオロギーの影響を低減させ、その上に立って、2009年の民主党政権成立により、二大政党制的運営は成就したかに見えた」と言い、あくまで「連合」の目標は反共労働運動であり、「政権交代可能な二大政党制的体制をめざす」としている。
そして、重点分野の「(三)ダイバーシティ(多様性)・フェアワーク(公正な労働)が根付く職場・社会の実現」の具体的方針では、2007年に「連合」内に発足させた「非正規労働センター」を改称して「フェアワーク推進センター」とし、「非正規労働者」という呼称もやめるとしている。これに対して「連合」傘下の「全国ユニオン」は、「当事者は、非正規と呼ばれることではなく、著しい格差とモノのように扱われることに憤っている」と「懸念」を表明し、「UAゼンセン」は、「歓迎」を表明している。
本年5月、「連合」事務局長・相原は、自民党本部に出向き、「消費税増税の着実な実施」を要請した。相原は、「自動車総連」から出ており、出身は「トヨタ自動車労組」だ。消費税増税により、自動車メーカーは、輸出時に消費税が企業に払い戻される「輸出免税制度」で膨大な還付金を利子付きで受け取り、利益となる。自動車資本の利益が自らの賃金上昇となるという「本工主義」の利害に基づいた行動だ。
「非正規雇用」労働者や外国人労働者を踏み台にして平然とし、「本工主義」「企業主義」「国益主義」を基調とする帝国主義労働運動・「連合」を突破する階級的革命的全国統一センターの建設を一日も早く成し遂げねばならない。
〈全労連第58回評議委員会〉
全労連(約76万人)は、7月30日~31日、都内で第58回評議員会を開催し、2018年の定期大会で決めた二年間の運動方針の補強を決めた。補強方針は、「組織拡大新4ヵ年計画(2016年~2019年)」の最終計画年の取り組みの強化、2020年に全国一律最低賃金制度の創設を目指す「全国最賃アクションプラン」の具体化、「働き方改革関連一括法(一括法)」の規制緩和の見直しなどを柱にしている。
評議員会冒頭での挨拶で議長・小田川は、「残念ながら、この一年でも、連続した組織人員の減少に歯止めを打つことが出来ていない」と述べた。その上で、全労連傘下の労組が「非正規雇用」労働者や関連する職場の労働者への組合加入を働きかけ、労働相談を通じた組織化で一定の成果をあげていることに触れ、「実人員の純増に結びついていないのは何故なのか。組織減に歯止めを打つ議論を、この評議員会でも大いに深めあっていくことが必要だ」と呼びかけた。
評議員会では、組織状況について、「11年連続の増勢は達成できなかった」(日本医労連)、「3年連続増を目指しているが、人手不足もあり、若干の減少になりそう」(生協労連)などの減勢を伝える報告が出る一方、「新入職員など44人の組織拡大となり、今は勢いがある」(検数労連)などの報告が出された。
補強方針では、組織強化・拡大の取り組みを最重点課題と位置づけ、2020年の定期大会を増勢で迎えるため、「組織拡大新四ヵ年計画」の最終年の取り組みに総力をあげて取り組むことを決め、組織拡大のための「総がかり推進委員」を1年間で1000人登録することを目指し、「組織内の拡大」については、職場で多数派を維持・形成するとともに、「『非正規雇用』労働者の100パーセント組織化を目指して運動を進める」としている。また、「① 全労連運動の世代交代を図るため、次世代育成とともに、機関会議や役員への女性参加、② 地域労連(約470ヵ所)の組織・運動の強化、③ 労働相談を組織化につなげるため『全国労働相談員・オルグ養成交流集会』の年内開催」を決定した。
「全国最賃アクションプラン」をめぐっては、2020年の通常国会における「最低賃金法改正」を目指し、「10万人学習運動、法改正署名、自治体決議、中小企業経営者との合意づくり、国会議員への要請を強化していき、超党派の国会議員による議連の設立で法案提出を目指す」としている。
「一括法」をめぐっては、「高度プロフェッショナル制度の廃止」、「残業上限規制の引き下げと適用猶予・除外の廃止」、「裁量労働制の拡大反対」、「解雇無効時の金銭解決制度に反対」、「雇用類似の働き方の保護法制の実現」、「兼業・副業における『労働時間の通算制度』の割増賃金の適用除外に反対」などを掲げている。
全労連の「法制度闘争」や「全国一律の最賃制度創設」の「運動」は、すべて日共の「野党共闘」路線に集約されていく。「自衛隊容認」「日米安保容認」「天皇制護持」を内容とする小ブルの「国民主義」「議会主義」の路線に利用し、物理力化するものだ。階級性を蒸発させ、労働者階級の実力の闘いを制動する全労連を突破する革命的労働運動の建設を急がねばならない。
〈自治労第92回定期大会〉
自治労(約78万人)は、8月27日~29日の3日間、福岡市で第92回定期大会を開催した。
大会で提起された向こう2年間の運動方針は、組合員数の減少や加入率の低下に対する危機感をあらわにし、議案では「組織存亡の危機」という表現まで使った。自治労本部によると、組合員数は2000年の100万人から22万人も減って78万人となっている。自治労全体の地方公務員における組織率は、2000年の77パーセントから2017年には67・8パーセントにまで低下している。7年間で一割もの低下だ。とくに深刻なのは、新規採用者の加入率で、2000年までは80パーセント弱で推移していたものが、2016年~2017年は65・9パーセントにまで低下していることである。運動方針は、その背景として、「交渉ができていない単組の増加」「県本部と単組間の関係の希薄化」「若手組合員の運動離れ」を挙げている。この分析に基づき、「今後の運動で基軸とすべき課題」として「①職場要求に基づき、仲間の働き方と生活を改善する、②地域に根差し、『総合力と多様性』の自治体をめざす、③つながり合い・支え合える組合を作り、組織を強化する」の三点を挙げている。
しかし、「①職場要求に基づき、仲間の働き方と生活を改善する」を課題とすると言いながら、自治労本部がやっているのは、全国の自治体で64万人も存在する「臨時」「非常勤」などの「非正規雇用」労働者を切り捨てることだ。昨年の大会で、自治労は、「会計年度任用職員制度の構築に向けた本格的な交渉・協議を開始する」として「非正規雇用」労働者に「一年解雇」を強制することを方針とした。「もはや臨時・非常勤職員の存在なくしては公共サービスは提供できない」なぞと言い、自治体職場での「官製ワーキング・プア」を当たり前の方針としたのだ。大会挨拶で委員長・川本は、2020年4月の制度開始に向け、「2020年4月に会計年度任用職員制度がスタートします。9月議会で条例制定を行なう自治体が多いと思いますが、当事者である臨時・非常勤職員の声を聞き、意見を集約し、最後の詰めの交渉を行なうよう、お願いします」なぞと言っている。そして、昨年の大会で「協議と並行して会計年度任用職員の組織化を早急に進める」とした成果を、新規加盟組合として「自治労町田市会計年度任用職員労働組合」を紹介している。同じ自治労組織の中に、「毎年全員解雇」を強制される単組があっても平然とするまでに自治労は堕落しているということだ。「正規」―「非正規」の格差を当然視する組織が「交渉ができていない単組の増加」、「若手組合員の運動離れ」に陥るのは、自業自得ではないか。大会での議論でも「制度確立のための財源確保にむけた総務省対策のさらなる強化を」「制度導入後も会計年度任用職員の賃金・労働条件の決定については、産別統一闘争として自治労全体で取り組むことが重要。今後、どのように闘争を展開していくのか」などの、制度発足を前提にした発言が続いた。
総務省が「マイナンバーカード」の普及を促進するため、公務員にカード取得を半ば強制するような動きに出ている。「マイナンバーカード」を健康保険証として使えるようにする「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」(2021年3月施行予定)が、5月15日に成立した。これを受け、総務省が「公務員の取得状況の調査」と称して圧力をかけ、それを水路に公務員への事実上の義務化を狙っている。「取得状況の調査」の対象は、共済組合に加入している自治体職員とその家族、一部事務組合や独立行政法人の職員とされ、未加入の非常勤職員や採用予定者にも広げるとしている。自治体労働者に「マイナンバーカード」を強制し、「帝国の官吏」とする攻撃だ。「非正規雇用」労働者問題でアリバイ作りに終始し、安倍の「働き方改革」に深々と取り込まれる自治労本部を許さず、現場での反合闘争を復権させ、生活苦に直面する労働者人民との地区共同を闘いぬく自治体労働運動を前進させなければならない。
〈日教組第108回定期大会、全教第36回定期大会〉
「連合」に加盟する「日本教職員組合(日教組、約23万人)」は、9月14日、15日に都内で第108回定期大会を開催した。日教組は、2年に1回、定期大会を開催している。大会では「修正案」が42本提出されたが、趣旨受け入れ、採択による否決などにより、来年度までの運動方針が本部提出の原案通りに可決された。
大会では、2020年度から文部科学省が見切り発車させようとしている「大学入学共通テスト」の問題点について、多くの反対意見が出た。「大学入学共通テスト」では、「民間英語試験」の活用や国語・数学への記述問題の導入が策動されている。その本質は、安倍政府の下でベネッセなどの民間資本が公教育に参入し、公教育自体の解体を狙っているということだ。2020年度大学入試から導入を強行しようとしていた「民間英語試験」は、文科相・萩生田の「身の丈」発言が猛反発を食らい、導入延期を発表せざるを得なくなった。萩生田の「身の丈にあわせて民間試験を受けろ」という発言は、「親の所得によって受験生に有利・不利が発生しても文句を言わず、受け入れろ」というものであり、絶対に許してはならない。大会では、「民間英語試験」の採用により経済的負担が増加し公正性・公平性が担保できないといった批判が多く出された。
また、「全国学力テスト」によって学校に競争主義が蔓延し、教育委員会が主導して事前対策や自校採点が行われている実態などが報告された。さらに、「学校の働き方改革」と称して強行されようとしている公立学校教員への「変形労働時間制」導入への反対意見、4パーセントの「教職調整額」と引き換えに教育労働者に「定額働かせ放題」を強制している「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の廃止を求める意見が多く出された。
大会では、42本もの「修正案」が出されたが、「参加・提言・改革」を基調とする日教組本部の運動方針が可決された。日教組本部は、一年単位の「変形労働時間制」の導入を「長時間労働を是正していく上で一定寄与するものである」などと美化し「給特法改正案を今国会で成立させる」と称して、安倍政府への支持すら表明している。日教組本部を超えて闘う教育労働者運動の建設を成し遂げねばならない。
全労連に加盟する「全日本教職員組合(全教、約7万人)」は、2月9日、10日、都内で第36回定期大会を開催した。
大会冒頭の挨拶で、執行委員長・中村は、「政府がすすめる教育政策のもとで、民間産業が学校現場に入り込み、教育を営利の対象とする流れが強められている」と指摘した。また、「教職員の長時間過密労働の抜本的な解決は待ったなしであり、そのためには、教職員定数の改善、持ち授業時数の上限規制、競争主義的な教育政策の見直しが不可欠である」と強調した。その上で、「安倍九条改憲を許さない圧倒的な世論を示し、教職員の要求を実現するためにも、4月の統一地方選挙、参院選挙が重要である」と述べた。大会討論は、「憲法に立脚し、すべての子どもの成長・発達を保障する民主教育を父母・国民とともに前進させるとりくみ」など4つの柱に沿って進められた。全教は、「教師聖職論」を唱え、1971年に制定された「給特法」を推進する側に立った。全教は、第27回定期大会において、「教職員の無定量な長時間過密労働の歯止めとして機能しない『給特法』を見直し、教職調整額の維持とともに、計測可能な超過勤務に対しては労基法37条にもとづく時間外勤務手当を要求してとりくみをすすめます」との方針を決定し、第28回定期大会では、「協約締結権の回復の課題と結合して、教職員の無定量な長時間過密労働の歯止めとして機能しない『給特法』改正の要求運動をすすめるため、改正要求に関する組織内討議をすすめます」と決定している。全教は、決して「『給特法』廃止」とは言わない。全教が教育労働者が階級として闘うことを制動し、日共の集票活動に利用することを許してはならない。
〈日本郵政グループ(JP労組)第12回定期大会〉
「日本郵政グループ労働組合(JP労組、約24万人)は8月21日、22日、熊本市で定期全国大会を開催した。
委員長・増田は、大会冒頭のあいさつで、「かんぽ生命保険」の不正契約問題を防げなかったことについて、「労働組合として、十分なチェック機能を果たすことができなかったことは、しっかりと反省しなければならない」と、「反省」の弁を述べた。しかし、その「反省」の弁の舌の根も乾かないうちに、「かんぽ営業のみならず、営業全般にわたる推進管理手法などの誤ったマネジメントの実態、営業や業務の品質に影響を及ぼしかねない目標設定や方針の危うさを再三にわたり指摘し、その是正を求めてきた」と自らを正当化し、果てには「正しい情報が経営トップに伝わりにくい組織構造や、マネジメントの手法を抜本的に改革してこなかった責任は極めて重いと断じざるを得ない」と、責任をすべて日本郵政資本に丸投げする姿勢を示した。
日本郵便は、本業の郵便事業の採算が厳しく、約2万4000局のネットワークを維持するため、収益を保険や投資信託といった金融事業に依存している。そのしわ寄せが過剰なノルマとして現場に重くのし掛かるという構造上の問題を抱えている。しかし、その「ノルマ至上主義」を支えているのは、JP労組だ。JP労組は、2015年度から営業担当者の給与を12パーセント引き下げ、その分を営業手当に充てる会社側の提案を受け入れた。それ以降、「ノルマ至上主義」に拍車が掛かり、一部の局員が手当を稼ぐため無理な営業を繰り返すなど、一連の「不正販売問題」を引き起こす原因になっていたのだ。現場の組合員は、過剰な販売ノルマやそれに伴うパワハラ指導など現場が抱えるさまざまな問題を、ことあるごとに労組側に訴えてきた。しかし、労使交渉での会社側の回答は「きちんと指導した」の一点張りであり、JP労組指導部もそれ以上の抗議はせず、その間にも「不正」が拡大していったのだ。
郵政民営化から12年が経過した。集配職場では、退職者の不補充、欠員欠区の放置、新規採用者の抑制などで要員不足が常態化している。残業や非番・週休の買い上げによって、多くの郵政労働者が疲弊している。そのことが全国で多発する郵便事故・交通事故の原因となっている。日本郵政資本は、「超過勤務をするな、事故を起こすな」と号令し、事故を起こせば「自己責任」を強制している。これらのことを推進していたのは、日本郵政資本だけでなくJP労組本部なのだ。現場では「組合は問題点を把握しながら、何一つ改善させられなかった」というJP労組指導部への批判が渦巻いている。
日本郵便とかんぽ生命は、顧客対応を最優先させるため、保険販売の営業を自粛している。大会では、営業自粛で手当が目減りする社員の給与補填策である「かんぽ商品に係る当面の業務運営を踏まえた給与・手当に係る対応と金融営業の抜本的な見直しに向けた取り組み方針」を決定した。
「労使協調路線」で組合員を生産性向上に狩り立て、改憲攻撃を容認するJP労組本部を突破して闘う郵政労働運動の建設を何としても実現しなければならない。
〈国労第88回定期大会〉
国労(約8700〇人)は、7月30日、31一の両日、静岡県伊東市で第87回定期大会を開催した。
大会では、「JRや関連会社で働く労働者の労働条件向上や処遇改善、安全・安定輸送の確立、さらにはJR北海道・四国・貨物会社に対する恒常的支援策の確立とJR九州の安定経営に向けた支援策の継続、あわせて自然災害からの鉄道復旧や基幹的輸送機関としての地方交通線の維持・活性化など持続可能な総合交通政策の実現に向けた取り組みを引き続き全力で進めて行く方針」を確立した。
また、「2020年春闘勝利、憲法改悪を許さない闘い、沖縄・辺野古新基地建設と原発再稼働反対、さらに社会的格差の是正と非正規労働者の雇用・労働条件改善と労働者保護ルールの確立」など、当面する諸課題についても確認した。
2018年度執行経過報告では、「平和と暮らしを守る国民的課題」、「JRの労働条件改善」「2019年春闘」などが行なわれた。協約・協定の締結承認については、全国一社の貨物会社・鉄道運輸機構・ソフトバンク会社と締結した7件が提案された。一括して行なわれた質疑では、代議員4人が発言し、「外注化と鉄道の安全問題」「三六協定」「青年部委員会開催と青年労働者の育成」「2019年春闘」「5年ビジョン」などをめぐり質問と意見を述べ、これに対して本部側からの答弁が行なわれ後、経過報告と協約・協定締結については、それぞれ拍手で承認となった。
規則の一部改正(議題3)は、「国鉄労働組合議事規則」(代議員と証明)で、「第4条 地方本部(北海道・四国・九州エリア本部)は大会開会の前日までに代議員名簿を中央執行委員長に提出して証明を受ける」などが大会1日目に提案され、代議員の拍手によって承認された。
役員改選では、中央執行委員長、副委員長、書記長各1人、中央執行委員4人、中央委員28人について、定数通りの立候補で無投票当選となった。新中央執行委員長には「党員協」系の松川(東京地本)が選出された。
書記長集約では「中央執行委員会は、昨年12月16日の全国代表者会議を経て、『国労の課題と方向性―今後5年を見据えた組織ならび運動展開』、いわゆる『5年ビジョン』を策定した。『5年ビジョン』の第一の課題は、組織強化・拡大であり、2019年度も最重要課題として取り組む。第二の課題は、労働条件の改善、安全・安定輸送を確立する闘いを全力で取り組む。第三の課題である平和と民主主義を守る闘いについては、『改憲阻止』『自衛隊のホルムズ海峡派兵反対』『安保法制廃案』『働き方改革一括法の修正・撤廃』の闘いに全力をあげる」とし、方針(案)は、全体の拍手で承認された。
特別決議は、「安倍政権の暴走を許さず、改憲阻止、消費税増税反対、国民生活と平和・民主主義を守る特別決議」が提案され、拍手で採択された。
〈UAゼンセン第8回定期大会〉
繊維や流通、医薬品、食品、介護などで労働組合を組織し、「連合」加盟で最大の産業別組織である「UAゼンセン」(約176万人)は、9月10日、11の両日、愛知県名古屋市で定期大会を開催した。
「UAゼンセン」の前身だった「UIゼンセン」は、2005年、「連合」本部に対して、「集団的自衛権を認めるべきだ」「主権国家である以上、徴兵制をとらないということは自ら戦わないということを表明することになり不適当だから削除しろ」と要求した。2015年の「戦争法」=「安保法制関連法」をめぐって、「UAゼンセン」は、「憲法の解釈を閣議決定で変更するのではなく、憲法そのものを変えて、集団的自衛権を行使できるようにすべきだ」「それが立憲主義だ」と、安倍のやり方を「右」から批判した。2017年7月には、「UAゼンセン」会長から「連合」事務局長に就き、会長・神津の後任として有力視されていた逢見が、「連合」総合労働局長・村上陽子とともに、「残業代ゼロ化」の「高度プロフェッショナル制度」の容認と引き換えに、「年間104日以上の休日の義務化」の「修正」を官邸で安倍に要請するという取り引きを行なったことが発覚した。この時、「連合」本部が入るビルの前には多くの労働者が結集し、「連合」を弾劾するシュプレヒコールを叩きつけた。また、2017年の「UAゼンセン」定期大会で、会長・松浦は、「私たちの労働運動は生産性向上を否定しません」と宣言し、安倍が打ち出した憲法9条への自衛隊明記に支持を表明し、「自衛隊の存在がいつまでも解釈によるのではなく憲法に明記されることを積極的に捉えている」「国民的議論が行われ方向づけがなされるよう望む」と言い放っている。さらに、昨年の「UAゼンセン」の定期大会では、「国の基本問題に関する中央執行委員会見解」を発表し、「改憲推進」と「原発再稼働・新(増)設推進」を打ち出している。また、「UAゼンセン」は、改憲を推進する「日本会議」に役員を送り込んでいる。まさに、「UAゼンセン」は、資本と一体となって「生産性向上」を推進し、改憲と戦争翼賛の反共労働運動の尖兵としての位置を持っている。今大会には政党からの来賓として国民民主党の代表・玉木雄一郎が出席した。会長・松浦は、国民民主党と立憲民主党が衆参両院での統一会派の結成に合意したことについて、「国民民主党としての独自政策やスタンスをかなぐりすてて会派を結成することになるなら、私たちはこれを支持することはできない。国民民主党は、「連合」の政策に最も近い政党だ。自信を持って、『この程度の譲歩ができないなら、会派結成も考え直す』くらいの気概で今後の政党間協議を進めてほしい」と注文を付けた。
大会では、「UAゼンセン改革2・0(仮称)」と称する結成10周年(2022年)と200万人組織の実現にむけた組織・運動改革の検討を進めることを決定した。「UAゼンセン」は、「連合」傘下の労働組合の中で、製造業関連の労働組合が組織率を低下させる中、資本と一体となって「第二組合」を作り、「ユニオンショップ協定」で組合員に経営者の「言いなり」になることを強制して組織を拡大してきた。「UAゼンセン改革2・0(仮称)」なるものは、その組織化の戦術をさらに緻密化させ、「生産性向上」と戦争翼賛に労働者を狩り立てる方策に他ならない。
「日の丸」を掲げ、資本主義経済の防衛に労働者を動員し、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動の尖兵の役割を果たす「UAゼンセン」を許してはならない。地域連合労働組合の前進をかちとり、「UAゼンセン」を突破して闘う労働者を組織しなければならない。
〈金属労協(JCM)第58回定期大会〉
「自動車総連」、「電機連合」、「JAM」(金属・機械産業の中小企業を中心とした産別労組)「基幹労連」、「全電線」の金属関連五産別労組で作る「金属労協」(JCM、約200万人)は、9月3日、東京都内で第58回定期大会を開催した。
議長・高倉(自動車総連・日産)は、あいさつで「JCM」の今後の方向性について、「7月参院選」「金属労働運動の方向性」「国際連帯活動」「第四次産業革命への対応」「JC共闘」の5点にわたって提起した。「7月参院選」については、「『連合』が参院選において支持政党が分立したのは、1995年参院選以来24年ぶりであり、今回の様な構図での選挙は今後絶対に回避すべき」とした。これは、「JCM」から3人の候補者を国民民主党から比例区候補として立候補させたものの、全員の当選を実現できなかったことへの不満をあらわにしたものだ。「金属労協運動の方向性」をめぐっては、米・中の「貿易戦争」をはじめとする保護貿易主義の台頭によって通商問題が顕在化しており、「『令和』の時代は、不確実性の高い環境下での船出となった」と言い、「AI(人口知能)」「IoT(モノのインターネット」などの進展による「第4次産業革命」という変革期にあるとして、「これに果敢にチャレンジすることが労働組合に求められている」と言い、昨年の大会で決定した運動方針に「第4次産業革命への対応」を追加した。「国際連帯活動」をめぐっては、アジアの金属労働運動で「健全で建設的な労使関係の構築」を目指すとしている。高倉は、「日系金属産業・企業の現地法人における労使紛争は、アジア地域を中心に依然多数発生している」「労使紛争が発生してからの事後対応でなく、日ごろからの顔の見える労使コミュニケーション、ネットワークづくりが重要」なぞと言い、日帝資本の利益追求のために、アジアの金属労働者が日帝資本が強制する低賃金や劣悪な労働条件に対して闘っていることを潰し、「健全な労使関係」を強制すると言い放っているのだ。絶対に許してはならない。「第4次産業革命への対応」では、「生産性の向上や働き方改革につなげるべきである」と言い、「労働組合と経営や政府との対話の仕組みが必要」「働く側についても意識の改革が必要」と言っている。「JCM」に加盟する「電機連合」では最近、三菱電機の男性新入社員が上司の暴言などの「パワーハラスメント」によって、自殺に追い込まれていたことが発覚している。「第4次産業革命」を「生産性向上や働き方改革につなげる」とする「JCM」の方針は、このような状況をさらに悪化させることは明かだ。「JC共闘」につては、2019年春闘を「生産性三原則の実践による『人への投資』を実現することによって、『強固な現場』『強固な金属産業』を構築すべく、JC共闘を強化しながら取り組みを進め、金属労協全体の3分の2の組合で賃上げを獲得し、全体の底上げ・格差是正に寄与する闘争結果を導き出せた」と自慢した。
「生産性向上は究極において雇用を増大する」なぞという資本主義的生産の本質を無視した「生産性三原則」は、日帝資本が労働者階級に極限的な労働と搾取を強制する合理化を強行するために作った「日本生産性本部」が唱えたデマでしかない。「JCM」は、「永遠の資本主義」を追い求め、労働者階級に「資本と国家に忠誠たれ」と強制する組織なのだ。
「JCM」に加盟する「基幹労連」や「電機連合」は、原発再稼働を安倍政府や国民民主党に対して要求している。武器輸出、原発輸出を日本経済の「展望」とする「JCM」は、戦争翼賛の「産業報国会」型労働運動の尖兵そのものだ。この帝国主義労働運動の跳梁を許さない革命的労働運動の一挙的な前進を実現しなければならない。