5・22サンケン電気和田社長宅要請行動
5月22日、「韓国サンケン労組を支援する会(支援する会)」は、サンケン電気和田社長宅要請行動を闘った。6月25日のサンケン電気株主総会で、社長・和田が退任し、会長に就任するという差し迫った状況の中で、韓国サンケンの会社を清算・廃業し、韓国サンケン労働者の全員解雇を強行した和田社長宅への最後の要請行動となった。
また、5月10日、サンケン電気本社前で、「支援する会」の仲間の埼玉県警・新座警察とサンケン電気による、暴行デッチ上げ不当逮捕が強行されたことに対する抗議の行動ともなった。
朝、10時、社長宅の最寄り駅・西武新宿線の田無駅に結集した仲間は、社長宅に向かう。和田社長宅前で、韓国サンケン労組の仲間2人がインターネットを通じてアピールを行なう。和田社長に対して、「支援する会」の仲間が不当逮捕されたことに対する弾劾の声をたたきつけ、「韓国サンケン労働者の不当解雇は、労働協約違反であり、韓国労働者への民族差別だ。和田社長は、話し合いに応じて、この事態を解決しろ」と声を詰まらせて、アピールした。
続いて、「韓国サンケン被解雇者一同」よりの和田社長への手紙(別掲)を「支援する会」のメンバーが読み上げる。
この手紙を和田社長宅の郵便ポストに投函し、和田社長宅要請行動を終了する。「支援する会」は、田無駅に移動し、情宣活動を行なう。韓国サンケン労組からのインターネットを通じたアピール、東京・山谷日雇労働組合などからのアピールがあり、一時間の情宣活動を行ない、この日の行動を終えていった。
サンケン電気が、昨年7月9日、100パーセント子会社である韓国サンケンを今年1月20日に清算・廃業し、全員解雇すると予告し、強行してから、4ヵ月が過ぎた。6月25日の株主総会まで、あと一ヵ月。サンケン電気は、1月20日に、韓国サンケン労組員の全員解雇を強行してすぐ、韓国サンケン前の労働組合のテント闘争への立ち退き訴訟、韓国サンケン社屋の売却など、立て続けに解雇撤回闘争への攻撃を強化してきている。今年に入り、投資ファンド・「エフェッシモ」によるサンケン電気株の公開買い付けの動きや、サンケン電気関連会社のサンケン電設の(株)ユアサへの売却、サンケン電気ものづくり開発センターの4月開始など様々な動きがみられる。しかし、韓国サンケン争議解決への動きは一切見られない。昨年7月から1年近くにも及ぶ韓国サンケン労組のテント闘争や、地域での闘い、ソウル上京闘争、LGへの闘いなど、韓国サンケン労組の不屈の闘いの中、3月、韓国サンケン労組の慶南地方労働委員会への「不当解雇救済申請」をうけて、5月6日、審判会議が開かれ「一週間の和解勧告」が下された。
5月10日の不当逮捕は、一週間のうちに、労使双方の話し合いを持たなければならないのに、韓国内では、韓国サンケンの社長とも連絡がつかず、サンケンコリアも話し合いには応ぜず、会社側は、一切話し合いに応じようとはしていない中での、不当逮捕であった。「支援する会」の仲間は、「韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会」の隔週月曜日のサンケン電気本社前のサイレントスタンディングに参加し、サンケン電気本社に、韓国サンケン労組との話し合いを求めていた。仲間の前に立ちはだかったサンケン電気の警備員は、暴力行為を働いたと大げさに振る舞い、サンケン電気と警備会社は、新座警察を呼んで、不当逮捕していったのだ。5月20日、さいたま地裁で勾留理由開示公判が開かれたが、裁判官は、弁護人の求釈明に何も答えることができず、逮捕された仲間は、意気軒昂に闘いぬいている。5月21日には、さらに、10日の勾留が付き、その日、仲間の自宅と「支援する会」の連絡先になっている中小労組政策ネットワークに家宅捜索が入った。仲間の自宅の家宅捜索では、カギを壊して中に入り、10時から、16時までに及ぶ長時間の家宅捜索がなされ、容疑と関係ないものまで、押収していったのである。許してはならない。日韓労働者の闘いに、追い詰められたサンケン電気は、株主総会までに、何とか争議を押しつぶそうと弾圧を仕掛けてきているのだろうが、闘いへの決意はさらに固まるばかりだ。
慶南地方労働委員会は、韓国サンケン労組の「不当解雇救済申請」に棄却を出しているが、韓国サンケン労組は、中央労働委員会への申し立てを行なうとしている。
「私たちは勝利するまであきらめない」とさらに力強く闘いを継続している韓国サンケン労組と連帯し、解雇撤回、闘争勝利まで闘いぬく。
〈「韓国サンケン被解雇者一同」よりの和田社長への手紙〉
「私たちは、昨年7月9日にサンケン電気の取締役会で一方的に韓国サンケンの解散・清算が決定されたことから、解雇された韓国サンケンの労働者です。私たちは、サンケン電気の一方的な決定さえ何の連絡もなく、サンケン電気のホームページを見てその事実を知りました」「私たちは、300日以上も韓国サンケンの解散・清算の撤回を要求して闘っています。韓国サンケンの工場の解散・清算を日本本社の取締役会で決定しておきながら、韓国の問題だから韓国で解決しろというのは、筋の通らない話です」「闘いを始めた日からもうすぐ一年になろうとしています。これまでサンケン電気の様子は何も変わりません。むしろ売上実績はアップし、韓国で生産・営業・研究開発が活発に行なわれており、さらに韓国内に複数の代理店まで設けて生産・営業・販売活動をしていることが確認されています。それは、何を意味するのでしょうか。サンケン電気は、生産・営業・販売など、もはや韓国内ですべきことがないから韓国サンケンの工場を解散・清算したのではなく、ひとえに労組嫌悪および韓国の労働者への差別・排除を目的に韓国サンケンの工場を偽装廃業したのです」「この事実に憤った韓国の国会議員や自治体の首長や議員、市民らが韓国サンケンの工場の正常化を求めて抗議しても、サンケン電気は、聞く耳を持たず、韓国サンケンの工場について不法に廃業届を提出し、私たちを解雇しました。さらに、サンケン電気の不当なやり方に抗議した日本の市民に対して、虚偽の通報をして警察を呼び、不当に連行・逮捕させるという蛮行にまで及びました。利潤のみを追求して道徳や良心に背を向けるサンケン電気の蛮行は、さまざまなメディアが先を争って報道することとなりました」「私たちは、サンケン電気の和田社長に訴えます」「サンケン電気は、事態の解決のために交渉に応じなければなりません」「これ以上の労組弾圧・労働弾圧・人権弾圧を止めなければなりません」「韓国サンケンの被解雇労働者は、最後まで闘います。私たちは、へこたれません。日本での国際連帯闘争がどんどん広がりつつあることを知るべきです。コロナのワクチン接種も普及しつつあり、いまや韓国の労働者も日本への遠征闘争へと向かう日が近づいています。時間は、けっしてサンケン電気の味方ではないと理解しなければなりません。私たちに必要なのは、慰労金ではなく、韓国サンケンの工場を正常化することです。これ以上韓国サンケンの事態を放置せず、交渉に臨み、解決への道を探ってください」「和田社長は、すべての問題を引き起こした者として一刻も早く決断し、事態の解決に乗り出すことを要求します」。
〈東京都地域連合労働組合〉