6・23 「老朽原発・美浜三号機を動かすな 美浜現地緊急全国集会」
美浜町で現地行動
6月23日午前10時、運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が、10年ぶりに再稼働された。この暴挙に断固抗議するために、「老朽原発動かすな!実行委員会(実行委員会)」の主催で、現地行動が取り組まれ、「福井の原発再稼働に反対する実行委員会」も参加した。正午、美浜町保健福祉センター・「はあとぴあ」駐車場に、全国で反原発を闘う団体など350人が集まり、抗議行動が開始される。
実行委員会の呼びかけ人である木原壮林氏が、あいさつと行動提起を行なう。「コロナに負けず、大きな声で抗議行動をやろう」「今日の行動は歴史的な意義を持っている。関電の暴挙を許すのか、民意で抗議し、次々と目論まれる老朽原発の再稼働を阻止するのかが問われている」「今から美浜町内をデモし、関電原子力事業本部前抗議行動を行ない、車で移動して、美浜原発の先のシーパーク丹生(にゅう)で14時から抗議集会を行ない、集会後デモを行なう。最後まで参加を」。
「福井の原発再稼働に反対する実行委員会」も、横断幕を広げ、青ゼッケンと赤ハチマキをつけて隊列を整え、全国各地から結集した団体と共に関電原子力事業本部に向けたデモに出発する。先頭の宣伝カーがシュプレヒコールの音頭をとる。「美浜3号機の再稼働絶対反対!」「危険な老朽原発を動かすな!」「四〇年廃炉の約束守れ!」「関電の約束破りを許さないぞ!」「使用済み核燃料の貯蔵地を示せ!」「使用済み核燃料を増やす再稼働を許すな!」「若狭のすべての原発を廃炉にしよう!」「腐った原発マネーの還流を許さないぞ!」「美浜3号機をすぐさま止めろ!」「原発のない安心な社会を目指そう!」「原発のない社会を作ろう!」。途中で「日本第一党」がハンドマイクで弱々しい敵対をしてくるが、デモ隊はこれを吹き飛ばす大きな声でシュプレヒコールを繰り返し、福井県警機動隊の不当なデモ規制を許さず、進んでいく。
美浜原発へ向けた1・5キロのデモ
関電原子力事業本部前に到着すると、怒りのシュプレヒコールを叩きつけ、代表団が申し入れ行動を行なう。その間、抗議声明が読み上げられる。「関西電力は、本日、6月23日、国内初の40年超え老朽原発・美浜3号機の原子炉起動を強行した。福井県民、周辺住民、全国の人々の反対や不安の声を踏みにじるものであり、強く抗議する」「美浜3号機は、『テロ対策等施設』の完成が間に合わないため、10月23日には運転を停止することになっている。それにも関らず、4ヵ月間の危険な運転を強行し、老朽原発再稼働の実績作りを最優先にし、住民の安全を脅かしている」「政府は、25億円の新交付金で、老朽炉の再稼働を後押しした。原発の新規立地の見込みがない中、『40年廃炉』の原則を形骸化させ、寿命延長によって、なんとか原発を維持し続けようとしている」「福島原発事故の教訓を顧みることもなく、老朽原発の再稼働という超危険な道に踏み出すことを到底許すことはできない」「6月21日には、美浜3号機運転禁止を求める仮処分が大阪地裁に提訴された」「この裁判を支援し、福井、関西、全国の運動との連携をさらに強め、40年超原発の運転をすべて止めていく決意である」「関電は、ただちに美浜3号機の原子炉起動を中止し、運転を停止せよ」。代表団がもどってくると、木原氏より報告を受ける。「関電の担当者は、抗議文を『社内で共有する』と受け取った」「脱原発は、圧倒的民意だ。老朽原発の再稼働を望む声は、圧倒的に少ない。原発を動かせば、必ず事故は、起こる。事故を起こす原発を許すのか、原発のない社会を目指すのか、私たちは、闘いを通して新しい歴史を切り拓こうとしているのだ」「断固老朽原発反対の闘いをやっていこう。もっともっと大きな規模で反対していこう」。ヨーシの声と拍手が響き渡る。次の行動のため、参加者は約10キロ先のシーパーク丹生に車で向かう。
眼前にはっきりと三基の美浜原発が姿をみせる。頭が丸い形の物が3号機だ。参加者全体で再稼働を強行した3号炉をにらみながら集会を開始する。オール福井反原発連絡会の林氏が主催者あいさつを行ない、福井をはじめ、福島など全国各地で反原発を闘う人士が発言を行なう。最後に、木原氏が、「今後も世界の人たちに、日本の運動は、権力や資本に負けないんだとアピールし、連帯して闘っていこう」とのまとめと行動提起をうけ、1・5キロのデモに撃って出る。デモ隊は、最後まで声を張り上げてシュプレヒコールを続けた。
原発再稼働・新(増)設絶対阻止へ
今年4月、50億の交付金が入るとわかるなり老朽原発・美浜3号機の再稼働に賛成した福井県知事・杉本達治や美浜町長・戸嶋秀樹は、報道各社の取材に対し、「(国と関電は、)安全最優先で必要な工程を経てほしい」などと語った。また、福井県高浜町の町長・野瀬豊は「高浜原発1、2号機の再稼働も控えている中、国には引き続き原発の重要性や必要性について国民理解の促進に努めてほしい」とコメント。おおい町の町長・中塚寛も「原発利用に関する国民理解促進に向けて国の努力を」とコメント。政府、地方自治体、電力会社が一体となって、あくまで老朽原発の再稼働を推進し、原発利権をあさろうとしている。
原発を動かせば必ず使用済み核燃料が発生する。この問題も解決していない。県は、40年超原発の「地元同意」の表明にあたって、関電の「県外中間貯蔵施設」の候補地選定を巡る問題を事実上先送りする形で再稼働を容認した。東京電力福島第一原発の事故のあと、国内の原発は、法律で運転期間が原則40年に制限されているが、国の審査に通ると例外的に最長60年まで運転延長が可能となる。菅は、「2050年カーボンニュートラル」をかかげ、原子力政策の維持を図り、原発を再稼働させ、既存の原発を長く利用しようとする動きを加速させている。断じて許してはならない。労働者の被曝なしに動かすことができない原発エネルギーなぞいらない。重大事故が起これば避難も不可能だ。ましてや「コロナ禍」での避難場所の確保なぞできやしない。何より原発再稼働・新(増)設は、核武装のためだ。プルトニウムをためこみ、いつでも核兵器に転換させ、核の使用も辞さず、米帝と共に反革命戦争を強行しようというのが狙いだ。日帝の核武装を阻止する闘いとして、反核・反原発の闘いをやりぬいていかなければならない。すべての原発を廃止しなければならない。今後も原発再稼働・新(増)設阻止を断固闘う。
資料:関西電力、ますます原発依存(「老朽原発動かすな! 実行委員会」資料より)
・高浜1号機…46年の老朽原発(1974年11月14日運転開始)
関電は、2021年3月再稼働を企図するも、特重施設の設置期限が6月9日(完成 は期限から約2半遅れる見込み)と間に合わないため、営業運転を前提とせず、原発 の安全性を確認するために燃料装荷など、再稼働の準備を目指すとする。
・高浜2号機…45年の老朽原発(1975年11月14日運転開始)
関電は、2021年5月再稼働を企図するも、安全対策の完了時期は、作業員不足で 未定。特重施設も期限までに完了しない(設置期限、完成見込みは高浜1号機と同じ) ことが確定。
・高浜3号機…35年が経過(1985年1月17日運転開始)
蒸気発生器細管損傷の点検を経て、2021年3月7日に運転再開。MOX燃料でプ ルサーマル運転。特重施設は、定期点検中の2020年8月3日に設置期限を迎えたが、2020年12月11日に完成。
・高浜4号機…35年が経過(1985年6月5日運転開始)
蒸気発生器細管損傷で点検、損傷は鉄さびが原因として2021年4月12日に運転 を再開。MOX燃料でプルサーマル運転。特重施設は、2021年3月25日に完成済。
・大飯3号機…30年が経過(1991年12月18日運転開始)
2020年7月からの定期点検で、一次系配管(加圧器スプレー配管)に亀裂が発見 された。「原子力規制委員会」に言われて、しぶしぶ取り替え工事。2021年7月3日に運転再開か。特重施設の設置期限は、2022年8月24日(完成は期限から約一年遅れる見込み)
・大飯4号機…28年が経過(1993年2月2日運転開始)
2020年11月から定期点検。2021年1月15日に運転を再開。
特重施設の設置期限、完成見込みは、3号機と同じ。
・美浜3号機…45年の老朽原発(1976年3月15日運転開始)
関電は、2921年1月の再稼働をアナウンスしていたが、福井県の同意が4月にな ったため、遅延。しかし5月20日に燃料装荷をすませ、6月23日に再稼働を強行。 特重施設の設置期限が2021年10月25日だが、完成は期限から約一年半遅れる見 込みなので、三ヵ月後には運転を停止することになる。
(特重施設…特定重大事故等対処施設。遅れの予測は2019年の新聞報道による。大 飯1号機・2号機、美浜1号機・2号機は廃炉が決定している)
〈反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会〉